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作者: 稲荷寿司

授業の2限目。窓から青空を眺めつつ、僕は物思いに耽っていた。自分は本当にこのままでいいのだろうか……。そんな風なことについてだ。というのも僕はそんじょそこらにいる学生と何の変わりもない、ただの学生だからである。


母親からおぎゃあと産まれ、やがて大人になり、年老いて死んでいく。世界の万人がきっとこのレールに沿って生きている。

僕が今生きている意味とは何なんだろう。もちろんこの先社会で働く以上、その労働力という意味や、家族⋯はもちろんまだいないが、それを養っていくというのも立派な意味だとは思う。だけどそれだけでは何かが物足りない気がするのだ。いや、足りないだろう。

そんなことを考えているから、先生のつまらない数学の話なんて馬耳東風だ。方程式では人生の問題は解けやしない。

「西山、この方程式を解いてみろ。⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯西山!」

「え…!?」

「立て。」

いきなり先生が僕を指名してきた。最後列だからって油断し過ぎだったのかもしれない。ふと周りに目をやると、クラスのみんながこちらを見てニヤニヤ笑っている。何がそんなに面白いのか⋯⋯。

「わ、分かりません⋯⋯!」

話を聞いていない僕に、新しい問題が分かるはずもない。焦った心を落ち着かせ、逃避を得るための言葉を発する。そうしたら先生は呆れた様子で溜息を吐いた。

「西山〜お前話聞いてなかったろう?駄目だぞ〜ちゃんと授業は受けないと。授業を受けないと成績がさがる。そしたらいい企業に入れない。いい企業に入れなくて結局困るのはお前達なんだからな?」

「⋯はい⋯⋯。」

「とりあえず、廊下に立ってろ。」

そう言われ、仕方がなく廊下に向かう。何も口にはしなかったが、この頃僕は、先生の言葉に疑問を抱くようになった。

大企業なら潰れないという可能性はゼロではないはずなのに。現にリーマンショックは大企業が潰れて起こったんじゃなかったけ?それなのに潰れないという確信はどこから来るんだろう。

その時僕はみんなの考えが気になった。でも後ろを返り見るなんてことは考えられない。もしそうして、ニヤついた顔がそこにあったとしたら、僕の大切な何かが壊れてしまうような気もしていたから。


僕は扉を開いて、廊下に出る。いい機会だと思い、僕は再び、考える。これからのこと、自分の道について。

普段自分が当然だと思っていることに対して、疑ってみることは大切なのではないでしょうか。当たり前だと思っていたことが、実は結構ありがたいことだったり、当然と思っていた価値観は実は思い込まされたものだったり、すると思うのです。

ありがとうございました。

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