第5話 終わりは始まりへと繋がる
目の前が眩い光に包まれる。
俺は正直終わりだと思った。
だが、終わりじゃなかった。
白い光に包まれる中、突如黒い何かに包み込まれていく…。
死ぬと思ったが、辺りに異変は何もなく俺達がいて、その前には国王の神道 紫電が立っていた。
確かに俺達は神道 紫電の魔法を受けたはず…、なのになぜ?
そう言えばあの黒い何かは何だったのだろうか。
「言っただろ?まだ終わりじゃないって」
この人はこうなる事を予測していた?いや、確信だったのかもしれない。そもそも宮城会長が仕組んだ何かなのか?
「会長、あの黒い魔法はいったい?」
あれが魔法だと?あんな属性の魔法を俺は知らない。
「よく見抜いたな、神崎。…、もういいぞ!出て来い!」
宮城会長は後方の校舎に向かい誰かに声をかけた。
すると校舎の屋上から飛び降りた誰かは華麗に着地し、俺達の前、つまり国王と俺達の間に立つ。
「私の名前は一ノ宮 瑞希!さっきのは闇属性魔法で、一ノ宮家だけが使えるんです!」
それはもう、超美少女と言っていいほど可愛いくて、セミロングで茶髪の女の子だった…。
「彼女は新入生で、この学校に首席で入ってきた。この子もここに残るってメールがきたから、奥の手で残しておいた」
この人はどこまで読めるんだ。凄すぎにも程があるだろ。
「会長、そういうのはちゃんと私達にも教えてください。ちょっと怖かったじゃないですか…」
「悪いな。まあ、サプライズって事で!」
ほんと、悪い人だ。
「とりあえず時間を稼げばいいんですね?」
時間を稼ぐ?
「ああ、そうだ。後、5分稼いでくれるか?」
「あいつ程度なら余裕です!」
国王の事、あいつって言っちゃたよ…。そんな事より。
「宮城会長、時間を稼ぐってどういう事ですか?また俺達の前に何者かが現れるんですか?」
一ノ宮と神道 紫電が交戦し始める。
「ああ、国王が隣国を制圧すると宣言した時の放送を録音して、隣国のファランクス国に提供した。だからもうじき、早めに手を打とうと考えこっちにくるだろう」
嘘だろ…。あの状況でここまで読んでいたのか?俺は絶対に敵にまわしてはならない人だと思った。
その頃、一ノ宮と神道 神道は…。
「私の闇属性魔法はどうですか?国王!」
「くっ…、一般人の分際で生意気な」
すげぇ…。あの子、国王さんをボコボコにしてる…。
「そろそろ終わりにしましょうか!暗黒 波動!」
一ノ宮の手から闇属性の波動がとび、神道 紫電を飲み込む。
「ぐはぁーーーーー…」
神道 紫電はその場でひざまずく。
「会長ー、そろそろ時間ですか~?」
勝って当たり前みたいな態度とってるな。
「ああ、いいタイミングだ、一ノ宮!」
タイミングなんてあるんですか?
すると上空からヘリがざっと50機ぐらい現れる。
「会長、来たようですね。でも私達は助けてくれるんでしょうか?」
神崎の言う事はもっともだ。俺もそう思った。
「今、この時点でひざまずいた国王を見れば、さすがに信じるだろう?」
この人はどこまで読み通す気だ?一ノ宮が神道 紫電をダウンさせるタイミングまで読んでいたのか?
「俺達の役目は終わりだ。後は、ファランクスの人達に任せよう…」
ヘリが着陸し、兵が続々と降りてくる。
「我が、こんな所で死ぬわけにはいかん。瞬間移動」
国王である、神道 紫電はこの場から消えた。
「君達大丈夫か!?」
1人の兵が駆けつけて来た。
俺達はファランクス国からやってきたヘリに乗り、この国から去っていった。
少し寂しい気もするが、あの国王を思い出すだけでその思いは吹っ飛んだ。
これから俺達はこの国、ファランクスの人間として生きていき、俺達が生まれ育って来たウィルネス国を敵として戦っていく事になるのだ。
次回から新章に入ります!どうかよろしくお願いします!