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モテない女に召喚補整で逆ハーレムが付いた(トリップ物、下品注意)

検索除外になってた話しの再利用

 私が思った事はただ一つ。


 「どこ? ここ」


 心で思ったはずのそれが、口から無意識に出ていた。



 視線の先に居る嫌悪さえ抱かせるくらい容姿が整いまくった美形の男いわく、ここは私にとって異世界だという。その言に、しかめていた顔により一層力が籠もった。その力がついでに片尻だけ浮かせていたケツにも作用して、屁が出た。バブプィーとなんとも力強く、後半気の抜けた音が石材と思われる広すぎる空間の部屋に響き渡り、そして反響して戻ってきた。お帰り、マイ・バブプィー。


 「現状はなんとなく分かったんですが、うわっバブプィー臭いまでキッツ! どうして私が異世界という場所に、クッサ!! おえっ、居るんでしょうか?」


 食べ合わせが悪かったのかリアクションせずにはいられない程の芳しいバブプィー。臭いが目に沁みて若干涙目になってしまったが対話相手の、私にとって嫌味でしかない美形にちらりと一瞬だけ視線をはわしてみる。無表情なのに目が汚物を見る目をしてた。

 直感? いいえ、これ確信。


 「私は魔の頂点に長きに渡って存在するが、お前ほどおぞましいと感じるモノは他に存在しないだろう」


 ほらね。ついでに自己紹介乙。この人かなり頭イっちゃってる。ええ、普通だったらそれで終わる志向なのにそうはなれなかった。美形はファンタジー映画の悪役みたいな格好で頭から角まで生やしている本格派だ。今いる場所は悪の魔王とかいそうなおどろおどろしい玉座の間というイメージがピッタリ。お約束で玉座に美形、その手前に悪の騎士としか表現できない全身鎧(すごい、まったく中の人が確認できない!)が左右に一人ずつ。玉座の少し離れた横に参謀チックな衣装の中性的美人フェイスの人が一人。服装は男物だけど実は女性というロマンを多大に期待してます。


 私とのロマンス? そんな考えさえ思い浮かばない。


 「まあ、モテない女ですから。私」


 多分モテる女性はいつ買ったか忘却したヨレヨレのトレーナーと毛玉だらけで所々穴のあいたスウェットなんかを部屋着なんかにしていないだろう。私にとっては部屋着兼寝巻だ。


 「それでどうして私がここにいるんでしょうか?」


 親切にもう一度同じ問いを繰り返す。


 「そんな事も判断出来ぬ「陛下! 言を遮るご無礼、後ほど如何様にも処罰下さいませ! されど申し上げたき言がございます!」」


 やっと本題に取り掛かろうした矢先の、美形の言葉に被せるように誰かが喋りかけた。まあ誰かってか全身鎧で美形の左にいる人だと思うんけど。なんか美形に騎士っぽく跪いてるし。口なんか見えないから行動で判断するしかない。どうでもいいけど早く終わらせてね。


 「己の立場を「自分にはこの者がおぞましい者と、どうしても感じられぬのです!思うことはとても魅力的で、願わくば全身全霊を持ってしてもこの女性を守り、叶うなら彼女が安らげる唯一が自分で在りたいと!! 自分の全てを囚われてしまった所存であります」」


 絶句。その単語しか出てこない。この全身鎧(左) なんつった?


 「貴様抜け駆けとは卑怯だぞ!! 」


 今度は右側の全身鎧が喋りだした。抜け駆けやら俺も一目見た時からやら、うら若き乙女達が頬を染める様な事を言い合っている……あ、真ん中で挟まれてる美形がキレそうだ。


 「お前らいい加減にしろ」


 ひっくい声で言った美形は明らかにキレてる。背景にはゴゴゴゴゴゴってついてそう、てかマジで地鳴りがするのは気のせいだろうか? なんだかよろしくない雰囲気なのに未だに激しく言い合いをしている全身鎧右左は全く気付いていない皮肉。美形さん乙。一番気付いて欲しい奴に限って伝わらないもんだよね。


 私に起きた事態の一部始終知ってるらしい美形との会話が中断してしまった私はただ見てるだけ。早く全身鎧右左を何とかしてくれと心底思う。石畳の上に座ってるとケツが冷えて堪らない。痔になったらどうしてくれる。


 なんとか尻に温もりをとモゾモゾしてたらガッチャンガッチャン100%金属ですと証明出来る音をしながら全身鎧右左が私に向かってきた。しかも徐々に加速しながら。おい、こっちくんな。五月蠅いだろうが、その金属音。しかもそいつらが近付けば近付くほど金属が擦れる何とも言えない不快音が大きくなる。耳が死ぬ!


 間近から聞こえる生理的に受付けないキーキー音に鳥肌が腕にびっしり立った。そして追い打ちとばかりに全身鎧右左が言い放った台詞で鳥肌が首まで進攻してきた。


 「「貴女に求婚する栄誉を私に与えては下さいませんか?」」


 私を駆け巡った衝撃は鳥肌を起こすだけでは収まらず、逃げ場を求める様に最後は尻の肉を激しく揺さぶりながらバップン! と空気を圧縮した様な力強さを持つ高く短い叫びをあげて私から出て行った。


 凄まじい放屁の衝撃に打ちのめされ、一瞬意識が飛んだ。





 こんな大物は久方ぶりだ。放屁に伴う快感に盛大に酔いしれる。このままずっと余韻に浸っていたい、そう思わせる素晴らしい屁である。目の前の全身 鎧右左の存在と発言をそんな考えを巡らせて誤魔化そうとしてみたが、全身鎧右左が私を覗き込むような体勢をとっていた顔をより近付けて来た為、私は甘い考えを捨てざるえない。


 おい、美形。お前上司じゃないのか、こいつらを 即刻下がらせるべきだろう。話しに水を差されて腰まで折られたんだぞ、どうにかしろと美形を見遣れば静観を決め込んでいると即伝わるような玉座っぽい椅子に座り、優雅に足を組み、肘置きに肘を突いて頬杖と、他人事姿勢である。チッと舌打ちを盛大にしてやった。私の舌打ちに動揺したのか全身鎧右左がビクリと揺れて金属の不快音がまた聞こえた。 動くな。


 いや分かってはいたが、結局どんな事があろうと自分には都合良く助けてくれる人物など現れはしないか。そんな事が起こるのは見目麗しい女性の場合と相場は決まっている。例外はあるだろうが。


 その例外にも当てはまらない私は自分でどうにかするしかない。今までそうだったのだから別に何とも思わない。


「少々この場でお待ちください」


 伏し目がちに軽い会釈を付けて、全身鎧右左に声をかける。返事を求めない言葉なので、少し下げた頭のまま私は少し後退し、立ち上がると玉座の美形 に少し近づく為に全身鎧右左を通り過ぎる。すなわち放置だ。この全身鎧右左のやった事は、会話中の人物に対し不躾にもほどがある。断りを入れれば良いってもんではない。さっきの事は幻聴だ、幻聴。


 背後に居る全身鎧右左と2.3メートルとった所で 足は止めた。美形をあまり直視したくないのが理由だが、玉座の左横にいる美人さんの顔が私に向いたので止まったのもある。まあ、玉座までまだ10メートル位あるので若干まだ顔がぼやけているのが不幸中の幸いだ。


「先ほどの続きを聞かせて下さい」


 無造作に突っ立ったまま聞いてみる。私の視線は勿論、美形の頭に生えてる左右の角で固定。嫌でも視界に入る美形の視線が横に動き、参謀キャラな美人さんから発言への返答が返ってきた。


「下劣極まりなく愚鈍な思考を持ち合わせていると見受けられる異人の低能にも理解出来るよう簡単にご説明して差し上げますね」


 美人さんの素晴らく美しい笑顔を浮かべながらのノンブレスで吐き出された嘲りの言葉。一点の曇りのない完璧なゴミを相手にする態度に感服すら抱く 。嘲罵を浴びるとは正にこの事だろうか。まあ、どうでもいいけど。そんな事を思いながら続く説明を黙って待つと、本当に簡単な、一言で終わる説明を頂けた。


「死になさい」


 その単刀直入で馬鹿でもわかる言葉を吐ききってから、美人さんの無造作に下げられていた右腕が私に向かって上がる。その私に突き出している様な右手から真っ白い光が出たと思ったら、なんか炸裂した。


 死んだわこりゃ、と瞬間的に思った。



 炸裂した何かが私に向かってくるのを他人事のように見つめながら、夢ならこれで覚めるなとか考えた。夢じゃなかったら死ぬだろうけど。もう問題の何かは目の前だ、さあ美人さんにぶっ殺されるかな。


 そう少しは覚悟したのに、盛大な金属が擦れ合う音が耳に響いた。耳も痛いが、身体がいつの間にか金属の物体にホールドされている。全身鎧(どっちか不明)に抱き込む様に庇われている、なんて表現は絶対にしない。そんな乙女チックな表現が許されるのは可愛らしい女性限定だろ。


「……お前達、どういうつもりですか」


 不機嫌な美人さんの声が聞こえる。姿が見えないのが残念だ、さぞあの美すぃ顔を歪ませていることだろうが私の目の前には胸当て部分のどアップである。


「それはこちらの台詞ですな。我らは彼女に想いを寄せている者、このような事を見過ごせると?」


 おいお前らまだそんな寝惚けたこと言ってんのかよと軽く鳥肌が立った。夢から覚めたいので邪魔すんなよ。あと金属冷たい、いい加減離せ。目の前の胸当てを両手で押すとキィキィ音が鳴りながらもホールドが解かれた。これで美人さんの激おこな顔が見れたが、見れた瞬間美人さんがキレた。


「いい加減にしなさい!!」


 そう叫ぶと同時に美人さんの周りに黒から青紫のグラデーションがかかった霧が纏わりついた。

なんだこれは、もしやハ〇ーフラッシュ的なものか? お色気系変身を多大に期待して食い入るように見つめてしまう。


「馬鹿馬鹿しい。戯れはお終いです」


 美人さんに纏わりついた霧が晴れたが残念ながらお色気は無かった。露出度は100%全開なのに。服なんか着てないのに。デビールマーンをもっと凶悪にした感じのお姿になられた。胸がまっ平なので実は女性というロマンが崩れ去る。真実はいつも私に非情だ。


 もうどっちが左右か分からなくなった全身鎧左右が元美人さんから私を庇うように前に出て盾と剣を構える。元美人さんがこっちに突っ込んでくるぜって体勢で足に力を入れたと思ったら何故かその場で両手両膝をついて崩れた。ここから分かるほど全身が震えてるぞ、どうした元美人さん。


「馬鹿なッ、この私がこんな低能な生物に、くっ、惹かれているだと?!」


 元美人さんのいきなりの言葉に戦慄した。やめてくれおぞましい! 元美人さんまでそんな戯言いいだして心底絶望する。なんなんだこれは。やはり夢か、夢だな。夢なんだな。もうお腹いっぱいです、夢でもこんな展開とかいいから。本当やめ(この先の文字は滲んでよく読めない)


 

滲んだ文字の解明は遅々として進まず、判明するかは依然として不明なままである。

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