時計台から
店を勢いよく飛び出したのはいいものの、通りには人がほとんどいず、いたとしても犬の散歩途中のおばちゃんだ。
まあそうだよな、こんな真昼間から出歩いてる女の子なんていねえか
そう思って少しは人通りが多そうな駅前で物色することにした。
すると、時計台のところに腰かけている女の子を見かけた。
年は高校生くらいだろうか、私服でいるがまだあどけない。
ショートカットで空を見上げてただぼーっとしてる。
なんだあの子?
不思議に思ったがとりあえずこのへんの飲食店を探しているていで声をかけてみると、親切にもいくつか候補を挙げてくれた。
「誰か待ってるの?」
それとなく聞いてみた。
「いや、別にそういうわけではないです」
「じゃあこれから一緒にご飯とかどう?店紹介してもらったしお礼でおごるよ」
明らかにナンパだったが意外にも即答だった。
「あ、いいんですか?ありがとうございます」
こんなに簡単に引っかかるとは思ってもみなかったので逆に驚きながらもその店に向かって歩き出した。
店は白を基調としたソファとテーブルが置いてあり、ステンドグラスを通って色付けされた太陽の光が差し込むおしゃれな店だった。
窓際のちょうど光が差し込む座席に案内されたのですぐ座ってメニューをとりコーヒーを注文した。
実際コーヒーは苦手だったが、ドリンクにコーヒーとオレンジジュースのどちらかしかないのでここでオレンジジュースというのは恥ずかしかった。
随分極端なメニューだなと内心膨れた。
「君はなに飲む?」
「あ、じゃあオレンジジュースで。」
背伸びしないのは少しかわいいなと思えた。
定員がいったあとで、最初から思っていた疑問を口に出した。
「なんで俺についてきたの?」
女の子は少々驚いた顔をして、
「だって、誘ったのはあなたでしょう?」
とつぶやいた。
えっと、この子は知らない人に声を掛けられてもついていっちゃだめって小学校のときに習わなかったのかな?
自分がナンパしたくせにそう思ってしまう。
とりあえず場を持たせるためにまだしてない自己紹介をすることにした。順番がちぐはぐだがしないよりはましだろう。
「俺は長瀬。君の名前は?」
「キヨ。カタカナでキヨってかくの」
「好きなものとかは?」
「するめいかとロックミュージック」
「ほんとに!?俺もその二つ大好きだよ!俺の二大好物と言ってもいい!!」
好きなものと聞いてまさかこの二つが出てくるなんて!俺のテンションは一気に上がった。
「ロックミュージックは食べれないよ笑」
「そこは突っ込むなよ笑」
そこから二人ともマシンガントークになり、メルアドを交換して彼女を駅まで送って店に帰ってきた。
「おっせーよ~もう帰ってこないのかと思ったぜ~ナンパ出来なかったんだったら三回回ってワンって言ったら許してやるぜ?」
「どうせできなかったんだろ?」
二人にそうまくし立てられると俺は勝ち誇ったかのように自分の携帯をちらつかせた。
「え!?おまえ、まさか、、」
「なめんな?俺もこう見えてもモテキきてたんだぜ?」
実際身に覚えのないモテキだったが、ナンパは成功したとい言えば成功したから、多少見栄をはっても罰は当たらないだろう。
三人でワーワー騒いでるうちにベルの音が背後から聞こえた。
「ただいまー繁盛させてるかぁ?」
消息がなかった店長だった。