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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
20章 天体反乱(後編)
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厄介な3人組

 マルキダエルは目を細める。

「ムリエル、俺は攻撃に集中するから守りは任せた」

「了解」

 ムリエルが自信を持って言う。

 クレメンスが放った先程の攻撃をマルキダエルが幾分か弱めていたこともあるが、けして防げない訳ではない。

 そもそも、ニヴルヘイムはクレメンスの陣地(テリトリー)である故に力を遺憾無く発揮できる。そこで少ないダメージに抑えられる方がおかしいのだ。

「アムブリエル、引き付け頼む」

「任せてよ」

 ムリエルの言葉にアムブリエルはすぐさま自分の姿をした分身を2体生み出して向かわせる。多くの分身を生み出さないのは広範囲の攻撃を食らいたくないことと、アムブリエルの分身が倒れたら違う分身で来るのが面倒であるからだ。

 それを見届けると、アムブリエルとムリエルは左右別れて大きく回ってクレメンスへと攻め入る。



 新たに生み出された2体のアムブリエルの分身を視認したクレメンスはゆっくり右手と右足を引いて構える。

「多い方がやり易かったのだがな」

 広範囲に放つ大技を得意とするクレメンス。しかも、大技を仕掛けても豊富な水のお陰で少ない力でも放てるのだから惜しいと思う。

 それなら構わず放って追い詰めればいいのかもしれないが、広範囲攻撃は大多数に対して効果を現す。少数ではその意味から力の消費が少なくても美味しさには欠けるのだ。

 だからこそ、クレメンスは広範囲による攻撃から白兵戦に切り替えることにしたのだ。

「ふっ!はっ!」

 手始めに迫って来たアムブリエルの1体の分身に張り手を入れ、次に来たもう1体を攻撃が当たる前に腹に蹴りを入れて吹き飛ばし、その後に張り手を淹れた分身に水弾(アクアバレット)を撃ち込んで、胴体貫通と同時に吹き飛ばす。

 そこに、大きく回って死角からアムブリエルが飛び出す。

光弾(ライトバレット)!」

 至近距離から放たれる光の弾。それも、貫通する威力のものだ。

 クレメンスは紙一重で避けるとアムブリエルの襟首を付かんで放り投げる。何しろ、背後からムリエルが迫って来ているのが分かっており、避けるのが不可能であったからだ。

 後ろを振り返りながら、背後から攻めようとしていたムリエルに向けて投げ飛ばされたアムブリエル。

 ムリエルは上手くアムブリエルを受け止める。

「気づかれてたか」

 受け止められたまま、その対応にアムブリエルは少し悔しがる。

 守りの要であるムリエルが攻撃をせずに守りに徹するというわけにはいかない。攻撃を行ったり気を反らすことも守ることに繋がる。そして、仲間に危険が迫ったら瞬時に庇うのが役割りであるのだ。


氷刃(フローズンブレード)!」

 クレメンスが氷の刃を生み出すと、目の前の2人に向けて十字を斬る様に放たつ。

守りの盾(シールド)!」

 すかさずムリエルが氷の刃の一刀目を上手い具合に受け止める。

 かなりの強度を持った結界は壊れる気配を示さない。むしろ、氷の刃の方にヒビが入る。

変形(トランス)!」

 結界の形を変えて押し出す様にして氷の刃を破壊し、そのままクレメンスへと突き付ける。

凍てかせる吹雪(ブリザード)!」

 氷が壊れたのを利用して2人に大技を放つクレメンス。しかも、2人が固まっていることと、結界が一方向のみということもあって、タイミング的にカウンター。

 代償としてクレメンスは突き付けてきた結界が右腕に当たるも、上手く受け流して怪我を最少にしながら回避して、マルキダエルと正面で鉢合わせする。

氷刃(フローズンブレード)!」

 マルキダエルはクレメンスが使ったのと同じ術でカウンターを仕掛けた。

「ぐっ!」

 そして、回避しても間に合わないと判断したクレメンスは、負傷した右腕で一瞬であるが刃を受け止め、軌道を反らすことに成功する。

(外した!だが、右手は封じた)

 クレメンスの右手がザックリ斬られているのを確認して、マルキダエルは吹雪が過ぎ去った場所を見る。


 そこには、健全とした姿で立つアムブリエルと、森羅万象(ユニバース)を解き放ったムリエルがいた。



 クレメンスが右足でマルキダエル。蹴り飛ばそうと振り上げ、そこに滑り込む様にしてムリエルが入り込んで防ぐ。

「……動けるのか」

「危ないところを間一髪」

 そう言ってムリエルは森羅万象(ユニバース)で力を増幅させる。

反射(カウンター)!」

 瞬間、クレメンスは強い力で弾き飛ばされて片膝を着く。

 今まさにマルキダエルに与えようとしていた攻撃がばいになって自分に跳ね返ってきたのだから当然だ。

「思ったんだが、初めからそれを使っていれば返すことも可能だったはずだが?」

「マルキダエルも分かっているはずだけど、固いってことは威力はかなりある。それに広いから難しい」

 皮肉に不機嫌を張り付けるムリエルは胸当の森羅万象(ユニバース)、エーギルを身に纏っていた。


 クレメンスは右手と右足に治癒を施すも、右足の痛みが引いても右手は少し塞がるだけで完治しない。

「既に発動させるとはな」

「クレメンスの攻撃防ぐには、これくらいしないと持たないからな」

 先程の攻撃が引き金になったことを悔やむも、予想していたよりも早くにムリエルが森羅万象(ユニバース)を使ったことを除けは範囲内であった。

 そもそも、クレメンスは3人を相手しているのだ。どの様な力を使うのか知っていれば厄介さも知っている為に、ムリエルが言った言葉はクレメンスに地味に効いていた。

(全員が使われれば対処出来んな……)

 3人が明らかにクレメンスを封じ込める気の人選である。しかも、アムブリエルは反乱の首謀者でありながら、例え殺られても分身を用いて戦いを再開出来る。

(明らかな長期戦。だが……)

 打開する術がないと言うよりは3人纏めて戦うこと事態が長期戦。ここで下手に手を出して短くしようものなら、それは大量の力を使うこととなる。

 自分から不利な状況に持ち込まない為にもクレメンスは長期戦の構えに出た。

ムリエルの森羅万象(ユニバース)、本来ならオハンと言う名の盾だったのですが、何を勘違いしてか盾をダグザの設定にしてしまった為に調べ直し。

一緒にしたいと言う気持ちを抑えて、アレでもないコレでもないと探して投稿したのが今の時間。

オハンはいい設定だったのに何で誤解したかな……?

遅れて申し訳ございません……。

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