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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
20章 天体反乱(後編)
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未来予測

探索(シーカー)

 ダグザは得意とする天術を呟く。その目には眼前だけでなく周囲の気配が動き(・ ・)となって目視出来るようになっていた。

 本来、探索(シーカー)は立地や障害物や生き物を把握をする為の術。ダグザはその内の一つ、生命把握を応用させてウェルキエルとバキエルの認識を更に強くするものとした。

 これにより生命ある存在が動こうとすれば、その動きが幻像となっ先が予想出来るようになる。未来視とは違うがこの方法はダグザが独自に昇格させて戦いに役立てた手法だ。

 お陰で四大天族を纏める4人の中で最弱のダグザでも豊穣の天族を纏めるのに見合うくらいに戦えるようになっている。

 最も、他の3人はそれがなくても十分にダグザの実力を評価しているのだが、それを本人は過小評価と受け止めている。

接続(リンク)

 ウェルキエルとバキエルの動きを把握しながら再び接続(・ ・)する。

「突き上がれ」

「っく!」

 そう言って倒れたバキエルの真下から再び土柱が現れたが、バキエルは寸での所で回避。だが、次々に生えて迫り来る土柱にバキエルは体制を建て直しながら避け続ける。

「大地よ!」

 バキエルは大地に切れ目を入れ、ダグザが立つ土柱もろとも崩して落とそうとする。

接続(リンク)風の悪戯(ブリージ)

 土柱が崩れ去る直前でダグザは飛び上がると、足元に出来た風に着地する。

「あ!」

 しかし、風弾(ウィンドウバレット)で突き飛ばしてたはずのウェルキエルが降下しながらダグザに向けて拳を振り下ろされる。

接続(リンク)!」

 すっかり忘れてしまっていた慌てて重みのある風を頭上に発動して防ごうとするも、対応が遅れた為に重さも加えられた風は呆気なく破られ、咄嗟に両腕でカバーするも直撃を食らうこととなり、足場にしていた風の悪戯(ブリージ)も消失したことでダグザはそのまま切れた大地へと落ちていく。

「閉じて!」

 ウェルキエルの攻撃が上手く言ったことでバキエルは地面を操作して切れ目を閉じる。

 先ほどまであった切れ目が跡形もなくなくなる。


 呆気ない結末。だが……

「きゃっ!?」

 静電気でも当たった様にバキエルは短い悲鳴を上げて飛び上がる。

 直後、閉じた地面に再び切れ目が入り、焦った表情のダグザが脱出する。

「危なかった……」

 危機一髪と呟きながらも視線はバキエルに、気配はウェルキエルに向ける。

「はぁぁぁぁぁぁ!」

 いつの間にかダグザに迫っていたウェルキエルは拳を振りかざす。

 今度はちゃんと感じとっていたダグザは回避すると足止めとして風弾(ウィンドウバレット)を放つ。

「木は……やめておくか。風の刃(ウインドカッター)!」

 足止めにならず迫り来るウェルキエルの足目掛けて天術を放つ。

 最速を誇るウェルキエルであるが、先の動きを予想していたダグザがタイミングを見計らっていたことで天術によって右足が切断される。

「なめるなぁぁぁぁ!」

 これで止まることなくウェルキエルは無いなら別の方法でと力を使って義足にして走る。

「マジかよ……!?」

 一瞬にして挽回する判断力に驚いているとあっという間に詰められて、バーンと大きな衝撃を現す音が響く。


 その後、立っているのはダグザとウェルキエル。どちらも倒れてはいなかった。

「くっ……」

「悪いね」

 ウェルキエルの拳はダグザが接続(リンク)によって集めて凝縮した鉱石で受け止められていた。いや、鉱石は幾つもの柱となって体の要所を押さえてウェルキエルを止めていた。

癒しよ(ヒーリング)!」

 バキエルが片足をなくしたウェルキエルに治癒を施す。

 セラフィナ程の早さはないが損失した足を元に戻すだけの力はある。

 だが、治癒は出来てもそこからウェルキエルが脱出することは出来ない。

「大地を伝って鉱石に……」

接続(リンク)

「くっ!?」

 鉱石に同化しようとしたバキエルだが、ダグザから反撃を食らい先程のような反応をまた示す。

「何のつもりだ?」

「何が?」

 両足が地面に付いた状態となってウェルキエルはダグザに問い掛ける。

「今なら俺を倒すことも出来たはずだ?」

 ダグザの防御タイミングはカウンターを仕掛けてもおかしくなかった。にも関わらず防御、その上ウェルキエルの動きを封じたのみ。

 その理由にダグザは……

「気付かなかったな。だって俺、弱いからそこまで回らなかったし」

 まさかの言葉にウェルキエルは絶句。


 そう言うが、実は対ウェルキエルには最善である。

 高速で動き回れるウェルキエルにダグザが攻撃を当てるには相当の苦労がいる。

 そもそも、早く動く的にどうやって攻撃を当てると言うのか。方法としては隙を付いたり作ったりして当てる遣り方があるが、今回はバキエルと言う後方支援がある。一度当てても怪我を治されては、せっかく負わせたにも関わらず振り出しへと戻される。

 ならば、回復させることなくどうやってウェルキエルを攻撃するのかとなると、止めることが手っ取り早い。

 ありそうでない手法は予想に反して大打撃を止めていた与えたのだ。


「それに、勘違いしてないか?俺は搦め手が得意なんだ。正攻法は苦手なんだよ!」

 真正面からやりたい放題の攻撃は終わりとウェルキエルに反撃する。

接続(リンク)……」

「大地よ貫いて……」

「遅いよ!」

 ダグザの宣言がバキエルの言葉と被さるも、ウェルキエルを押さえ付けている鉱石を操りそのまま突き刺して息の根を止めた。

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