剛腕のアスモデル
何やかんやで今になった今年最後の投稿。
遅れて申し訳ございません。
セラフィナはあえて自分とは真逆の戦い方をするアスモデルに勝負を挑んだ。
理由は簡単。ズリエルよりもアスモデルの方がセラフィナにとって厄介であるからだ。
それに、ズリエルの力は強い存在に仕掛けるにはいいが、弱い相手や数が多ければどうしても強味が失われてしまう。
だからこそ部下達にズリエルを任せている間にアスモデルを倒そうとしているのだ。
「岩弾!風弾!」
セラフィナは一度に2つの術を発動させるとそのままアスモデルに向けて放つ。
全く違う現象、こうした力の場合は属性、地水火風を別々に発動することは用意ではないそれをセラフィナはやってのけた。
この攻撃にアスモデルは、まず飛んできた岩を砕きながら吹き飛ばし、それで風弾の位置と風圧を確認してからゆっくセラフィナへと歩みだす。
「言葉の割にはそれだけか?」
言葉と目が本気であったからそれ相応の挑戦と思っていたのだが、対応してみるとそれほど強いとは感じられずに思ってしまう。
そもそも、ズリエルと引き剥がす際に放った攻撃の方が大技で威力があったのに、今は範囲がそこそこの小さな術しか放っていない。
極少数の対人戦の場合であれば大技でよりも小技の方がいいことはもちろん理解している。
だが、小技であっても込める力具合によっては大技と同等になる。
つまり、セラフィナはここにいたって様子見に入ったと考える。
「……挑発には乗りません」
自分の術を利用される形で打ち消されたセラフィナはアスモデルが言った言葉に対してハッキリと言う。
「別に挑発のつもりで言ったつもりはない。ただ、がっかりしただけだ。今の攻撃がな」
アスモデルは何を言うんだと頭の上に疑問符を浮かべる勢いで言うが、残念ながら他が聞けば挑発の様にしか聞こえない。
「では、俺から行こう」
そう言って、アスモデルは何気なく地面に足を踏み出すと、一瞬にして地面が割れた。
「っ!?」
地割れはセラフィナの所まで及び落ちる前に回避して、アスモデルが目の前にいたことに気が付く。
「はぁぁぁぁぁ!」
「守の盾!」
振りかざされた拳を結界で咄嗟に防ぐ。
だが、結界にヒビが入り、次の瞬間には粉々に砕けてセラフィナに当たる。
「っは!?」
悲鳴を上げる隙なく更に2度の攻撃を受けるも、何とか体制を建て直して距離を取る。
(何とか引き離せました)
セラフィナはアスモデルの動きを気にしながら傷む感覚から殴られた場所と具合を把握する。
(問題はありませんね)
動きに支障が出るほどてもなければ手を施す程でもない。そもそも、アスモデルの最初の攻撃で腕の一本持っていかれなくてよかったと思っているくらいだ。
まだ動けることは分かったが、アスモデルが一行に動かない。恐らく、離れたことでアスモデルが攻めあぐねているのだ。
ここで挑発まがいなことを言ってもいいが、それでは先程までの自分と同じで動くはずがない。
最も、アスモデルが動かない今の状況は好都合である。
「火炎槍!」
アスモデルの真正面から炎の槍を放つ。
「なんの!」
それに向かってアスモデルさ高速で腕を突き出した衝撃波で打ち消す。
「くっ」
衝撃波はセラフィナの元にまで及んだが驚きも怯む隙もない。
「風刃!」
衝撃波の風を利用して今度はこちらから仕掛ける。
「これはいかんな」
風刃は対処不可能であるとアスモデルが退避。
「火炎槍!」
それを予測していたセラフィナがタイミングを決めて放つ。
火炎槍の発生はアスモデルが丁度退避した場所であった為に自ら飛び込んできた形で炎に飲み込まれた。
「まだだ!」
しかし、アスモデルは怯むことなく炎の中から出てくる。しかも、火傷などない状態でセラフィナに向けて走る。
「岩弾!」
岩の弾丸を足止めとしてアスモデルの足元に放つが、アスモデルはそれを蹴り飛ばしてセラフィナに返す。
「!?」
これにはさすがに驚いたセラフィナは回避するが、またしてもアスモデルが目の前にいた。
「これで……!」
「火炎槍!光弾!守の盾!」
アスモデルの攻撃をやり過ごす為にセラフィナは至近距離で術を放ち、最後の守りとして結界を張る。
炎と光による攻撃がアスモデルの攻撃と相成って、2人を中心として衝突する。
しばらくして収まるとそこには、セラフィナの頭を掴んでいたアスモデルが立っていた。
「ぐっ……」
攻撃をやり過ごしたアスモデルに頭を捕まれたセラフィナは呻く。
「これで、終わりだ」
そう宣言してアスモデルはセラフィナの頭を握り潰した。
今年の投稿はこれで終わりです。
次回は1月9日です。
よいお年を!




