相性最悪
執筆時間がないから眠い……
今年の年末休みは早めになります。
「あなた方は手を出さないでください」
セラフィナは部下達に言うと目の前にいる敵を慎重に分析する。
1人は調整のズリエル。敵味方関係なく力を持つ存在全ての力を均等にしてしまう。
もう1人が剛腕のアスモデル。強力な握力を持つ。
当たり前の情報であるが重要な情報を整理して他にいないことを気配で確認してから、この組み合わせの意図に気付く。
(恐らく、短期決戦)
ズリエルとアスモデルといった組み合わせからセラフィナはそう読み取った。
ズリエルの力は時と場合によって大きな力にもなれば逆に小さくなる効果を及ぼすこともあって使い道の判断を求められる。そして、ズリエルがこの場で力を使う可能性もありえる。
敵味方にも及ぶ力であるが、やられて困るのは敵側だ。理解していればある程度の嫌悪感はなくなるが、それでも普段から出している力が出せないことは辛いことだ。
だが、アスモデルはウェルキエルと力の方向性が同じで自分自身の握力を上げるもの。例え均等にされてもそれが出来なくなるわけではない。
つまり、少なくともアスモデルやウェルキエルはズリエルの能力に左右されにくい。完全にないと言えないのは、ズリエルの力で均等にされてしまうからである。
とは言え、影響が少ないのでセラフィナと対峙するに申し分ない。
「ゆくぞ!」
アスモデルが距離を詰めてきていることに気が付いたセラフィナは瞬時に力を使う。
「石の巨柱!」
足止めとアスモデルの進行方向に向けて岩の壁を出現させた。
本来ならこれ一つ、しかも、四大天族の1人であるセラフィナが作り出したものであるから簡単に壊れることもないのだが……
「はぁ!」
腕を突き出して粉々にしてしまう。
「光弾!」
「ぐあっ!?」
だが、それはセラフィナにとって想定内であったのか、破壊と同時にアスモデルの目に強い光を放って視界を一時的に奪う。
そして、それは足留めにも繋がってセラフィナが追撃する。
「岩弾!」
「風弾!」
セラフィナから発射された岩の弾がズリエルが放った風の弾と衝突して砕かれる。
最初の戦いは引分けに終わったが、それでも収穫はあった。
「確かに、アスモデルであればズリエルが力を使っても問題ありませんね」
今のままでも強いが、岩の巨柱を壊した一撃は僅かに力が乗っていたはずと予想する。
例えアスモデルが力の一部を封じられても力を乗せれば対処が可能であることは確信となった。
(しかし、アスモデルだけでよかった……)
いつもならこれにムリエルかウェルキエルのどちらかが同行するのだが2人だけという珍しい組み合わせにセラフィナは感心して言うが、影響が少ないということは強敵とも言える為に対処をどうするかと悩む。
(厄介な組み合わせを押し付けられましたがね……)
何で自分にこの2人なのかと叫びたいのをぐっと堪える。
少しでも均等に割れたら2人を一度に相手できかどうかは微妙な所。しかも、アスモデルの力が上昇してしまてば負けが見えてしまう。いや、今が2人だけで良かったと思うべきかもしれない。
セラフィナの話や考え込んでいる様子が異様に長々と感じたズリエルは何の為にそうしているのか分からかったが、長話はもう終わりと切り出す。
「お膳立てはいい。ハッキリと言えばいい。俺達とお前では相性が悪いのだからな」
ズリエルの言葉にピクリとセラフィナの眉が動く。
アスモデルがズリエルといるのは明らかにセラフィナのことを考えて配置されているからだ。
(私とは逆の戦い方ですからね)
セラフィナは遠距離であるのに対してアスモデルは近距離の戦い方。
近距離であれば殴る蹴るで攻撃できるが、セラフィナは力を使った遠くからの攻撃が主だ。力を均等されるということは減らされるのと同じで多くの術を放つことが出来ない。最悪、力がなくなってしまえば殴り潰されることだってある。
互いに取るべき戦い方や防ぎ方も全く違う。敵にどうやって掌に招きのせるのか、どれがやられたら困るのか等々。
「ええ。相性は最悪です」
実際にその通りであるのだが覆すことも出来る。だが、その取るべき手段、つまりはどちらの首を先に取るかで勝負が決まるのだが、まだ答えは出せていない。
アスモデルだけならどれ程よかっただろうか。ズリエルも後方支援ではあるが攻撃を仕掛けてくる。しかも厄介な力まであるのだなら相性は最悪ではなく大最悪である。
時間稼ぎ改めて考える時間はもうないのだと静かに諦めてセラフィナは2人に注意する。
「しかし、あなた方がやろうとしていることは止めなければなりません。ですから……」
セラフィナがそう言うと周囲に幾本もの岩の槍が出現して一斉に放つ。
「ここで止めます!」
相性が悪かろうが関係ない。神の元へ行かせてたまるものかと攻撃を再開した。




