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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
4章 葬儀屋である理由
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死神像

 朝食後、モルテは死神について説明する前にディオスに尋ねた。

「まず一般的な死神像をどれ程知っている?」

「一般的?」

 何故モルテが死神というものを聞いてきたのかディオスには分からない。加えて一般的と付けられている。

 どうしてそんなのことを聞くのか知らないがディオスは自分が知っている死神について全て話した。

「死神は死を司る神です。黒いローブを纏った骸骨が手に持った大鎌で死ぬ人間の魂を刈り取る存在です」

「ふむ。多くの者が勘違いをしている認識だな」

 モルテから知っている死神像が間違っていると言われてディオスは驚いた。

「一般的な死神とは生と死を司る神のことだ」

「生と死ですか?」

「そうだ。死だけを司ると誤認されているのは不吉な存在、死を具現化する悪の存在と認識されているからだ。大昔に起きた伝染病で多大な死者が出たからそういった間違った認識が広まった。黒いローブに骸骨とは具現化した姿だ」

 生と死を司ると聞いたディオスが腑に落ちない表情を浮かべた。

「どうして死神が生も司っているんですか?」

「いい質問だ。こればかりは宗教を交えた説明をしなければならない。主にロード教になるが」

「ロード教ですか?」

 宗教と聞いてディオスが驚いた表情を浮かべた。

 どうして宗教と死神が結びつくのか分からないからだ。それに、ロード教は最大宗教の一つである。どこの宗教信者ではないディオスからしてみれば結びつきがさらに分からない。

「他の宗教にも当てはまることだが、ディオスは宗教から見た死神がどの様な位置に属しているのか知っているか?」

「いいえ。それよりもどうして死神と宗教が結びつくんですか?」

 分からないと素直に言ったディオスにモルテは説明甲斐があると感じた。

「宗教から見た死神とは、彼らが崇める最高神に匹敵する存在だ」

「ちょ……」

「なに、驚くことではない」

「お、驚きます!何で死神がロード教が崇める最高神と同等なんですか!」

「当然の質問だな」

 モルテの意外な発言にディオスはいきなりスケールが大きくなったのを感じて驚いた。

「宗教から見ると生と死とは重要位置を占めている。そもそも人間は生まれなければ増えんし死ななければ増える。故に生死とは絶対的現象。常に関係を持ちこの世を廻る輪廻転生。死神は生と死を操り輪廻転生を支えている存在だ」

 宗教的認識から見れば一般的認識とは全く違うとディオスは感じた。

「つまり、宗教では死は必要な現象。恐れるものではないってことですか?」

「そうだ。世界を回すために必要な存在。それが死神だ」

 一般では恐ろしい存在と認識されている死神であるが宗教では死神は必要な存在であることは分かった。

「さて、我々死神から見るなら、この認識も間違っている」

「違うんですか!?」

 前置きも終わりついに死神と名乗ったモルテから死神像と言うものが語られた。だが、それは初めから全く違う方面を行った。

「そもそも死神とは、生死など操れんし生と死など司ってはいない」

「え?……え!?」

 モルテの言葉にディオスは顔を二度見した。

「死神とは死を与える存在だ」

「死を……与える!?」

 予想外の言葉に僅かに血の気が引くのを感じた。

「そうだ。そして、生者の魂を刈り死者にすることをやってはならない」

「やってはならない!?」

 死神なのに魂を刈ることが出来ないと聞かされディオスは驚いた。

「死神が魂を刈り死を与える対象は、肉体の死を迎えた者だ」

  死を与える対象を聞いたディオスは勢いよく椅子から立ち上がると問いただした。

「ちょっと待ってください!死神って死を司るはずですよね?どうして与えるんですか?それに死んだらって、逆じゃ……」

「逆ではない」

 順序が逆ではないかと言うディオスにモルテは至極当然と言う。

「そもそも人間とは……」

 モルテが肝心なことを言おうとしたその時、リビングの扉が思いっきり開けられた。

「店長大変です!」

 ファズマが慌てた様子で入って来た。

「どうした?」

「厄介なことになりました!とにかく外に来てください!」

 外にと言われモルテとディオスは話を中断して店の外へと向かった。

あらすじ詐欺をしてしまった気が……

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