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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
15章 店長帰還
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再会の死神達

 その日の夜。エノテカーナでモルテは久し振りにアシュミストの死神全員と再会した。

「ご無沙汰していますモルテ」

「おぉ~、モルテぇ久しぃ振りだなぁ~」

「久し振りではないだろガイウス」

 声をかけてきたガイウスとレオナルドにモルテはガイウスに対してキツい一言を投げ掛けた。

「いぃやぁ~、3週間以上ぉがぁ経っているがぁ?」

「知らん」

 ガイウスが言ったとおりモルテと最後に合ったのはシュミランの首都ランバンから3週間以上が経っている。

 だが、あまりにも忙しかったことで時間の経過を感じることが少なかったモルテにとって極端ながらつい最近の認識である。

 しかも、朝からゴルフボールを火球として落ちてきてしまえば、例え顔を会わせていなくても身近に思っていることに追い討ちをかけている。

「モルテならそう言うよな」

 レナード以外にモルテと会っているのはガイウスだけで他は3ヶ月振りの再会である。

 モルテが時間を感じる認識に僅かなズレがあるのは周知している。それでも、ガイウスに対して予想通りの返答をしたモルテにマオクラフは笑ってしまう。


「ところで、リーヴィオはよく来れたな。いや、クラウディアがよく許したな」

「前もって話してたからだ。あと、クラウディアのことは話をするな」

 久し振りだというのに、いきなりモルテに弄られたリーヴィオはその時のやり取りを思い出して疲れたと項垂れる。

「今回ももしかして……」

「着いて行くと言い出した……」

「本当に何を考えているのですか……」

「仕事とぉプライベートを区っ別しろよなぁ~」

 リーヴィオが疲れきった様子からいつも通りのことが起こっていたと知り、クラウディアから誰かを雇えと詰め寄られているガイウスとレオナルドは呆れた。

「だが、リーヴィオが止めているからこうして俺達だけで話が出来るってことだ」

 それでも、リーヴィオしか止める者がいないからとアドルフが庇う。

「そうですが、止められていることから行っては行けないという認識はないのでしょうか?」

「ないだろうな」

「困ったものですね」

 どうやら、今しばらくはリーヴィオに負担がかかると認識で一致する。



「お待たせしました」

 そうしていると、レナードが全員分のカクテルをテーブルに置いていく。

 久し振りにレナードが作ったコーヒー・ラム・フロートをモルテは味わうように飲む。

「この味は久し振りだな」

「恐縮です」

 モルテの言葉にマスター時の口調でレナードが受け取った。

「そういえば、私がいない間のアシュミストはどうだったんだ?」

「初日にこの2人がやらかした」

 そろそろと話を切り出したモルテにマオクラフはガイウスとレオナルドを指差した途端、2人は一瞬硬直する。

「……何をやらかしたんだ?」

 モルテの疑うような目付きにマオクラフは包み隠さず教え、それと相まってガイウスは反論、レオナルドは申し訳ないと俯く。

「……何をしているんだ」

 当然、話を聞いたモルテは呆れて2人を一瞥する。

「まあ、それからは大きなことはないかな。ディオスの実父が暴れたこと以外は」

「そうか。話は聞いている。迷惑をかけたな」

 マオクラフの言葉にモルテは自分がいない間の騒動集結だけでなく、ディオスを支えてくれたことも含めて感謝した。

「それとマオクラフ、世話をかけたな」

「別にいいよ。ディオスじゃ刈りきれないことは分かってたから」

「そうか」

 ディオスの実父であるバンビに止めを刺したのはマオクラフである。霊剣では死神の武器ほど切れないことは知っており、秘かに始末をしていた。

(しかし……)

 だが、ディオスは自分で止めを刺したと思い込んでいても何らかの切っ掛けで止めを指しきれていないことに気付いているなら、その心境は複雑ではないかと思う。


「ところで、よくシンシアが死神のことを知っているとは行き着いたな」

 先程までの思いを振り払いモルテはレナードとレオナルドに尋ねた。

「ディオス君の義父のグランディオ氏のことがありましたので」

「そこからは何故3人が殺されなかったかという疑問だけだ」

「それだけで行き着くのもどうかと思うが?」

 行き当たりばったり、弱い仮定でだけで目的以上の真実にたどり着いたのだからかなり運が良かったことだとモルテは呆れる。

「ところで、ディオスを弟子にするのか?」

「ああ。霊剣を渡したのがその証だ。ディオスも後悔はしていないだろう」

 アドルフの質問に今さら何をとモルテは断言した。

「しかし、ディオスがな……今でも信じられない」

「でも、こっちが散々巻き込んだから今更ってところもあるさ」

「そうだな。まあ、そうとも知らず首も突っ込んでたからな」

「最初から首突っ込んでたよな?外堀埋まる前から」

 死神嫌いであったディオスがモルテの弟子になったことを今でも信じられないと言うリーヴィオ。

 それにマオクラフとアドルフが弟子になるのは時間の問題であったと言う。



 ディオスの話しに区切りが付くのを見計らいレナードがモルテに言った。

「さてモルテ、話を聞く前で悪いが、そろそろ死神の剣を見せてくれないか?」

 その言葉にレナード以外の死神が一斉にモルテを見た。

「そうだった。死神の剣がどんなものか見たかったんだ」

「伝説とまで言われたものがこれほど近くにあったとは思いませんでした」

「モルテぇ、はっやぁく見せてくれぇ~」

「貴様ら……」

 まるでモルテが持つ死神の剣、血塗られた(ブラディー・)罪人(カイン)を見たさに集まった様だと思い、レナードを見る。

「レナード!」

「見せる約束だろ。それに、その為に持ってきているんだろ?」

「……まったく」

 レナードの言葉に事実であると不機嫌になりながらモルテは持ってきていた剣箱をテーブルに置いた。

「それに?」

「そうだ!」

 マオクラフの尋ねに不機嫌になりながらモルテは剣箱に手を置いた。

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