朝一番の報告
翌日。アシュミストの天気は曇り。雨であった昨日程ではないが空には灰色がかった雲が広がっており僅かに空は暗い。
そして、その暗さはまるで悪い知らせでも教えるかのように朝一番に葬儀屋フネーラに一本の電話がもたらされていた。
「やはりそうなったか」
モルテは店内に設けられている電話から危惧していた内容を聞かされた。
「現場には誰が行くことになっている?……そうか」
電話の相手から聞かされる詳しい情報からこの後の予定を頭の隅で考える。
「分かっている。どう見ても降りて来る方が大きい。こちらは任せろ。……そちらもな」
そう言って受話器を置いて電話を終えた。
モルテは無言のままリビングへと向かった。
リビングへ向かうとそこにはすでにディオス、ファズマ、ミクの三人が朝食を食べていた。
「師匠ー!」
「電話終わったんですか」
「ああ」
モルテが電話を終わらせてリビングに来たのを見たファズマとミクは尋ねた。
「朝早くから電話って仕事ですか?」
「葬儀屋の仕事ではない」
「それじゃ一体どこから……」
「シュメライット山で土砂崩れが起こったらしい」
「えっ!?」
予想していなかった内容にディオスの手が止まる。
「その土砂崩れで西側からの登山道が閉鎖されたようだ」
「閉鎖ですか……誰か亡くなったかと思いました……」
閉鎖と聞かされ嫌なことを考えていたディオスはモルテの口から違うことを言われたために肩を落とした。
「そして、その近くにいた人間が驚いた拍子に足を滑らせ河に転落したらしい」
そう思ったらやはり亡くなっていた。
朝から生々しい話に朝食を食べていた三人の手は止まっていた。
「昨日の雨の影響で河は増水しており捜索に手が出せんらしい。落ち着くまでは何も出来ないだろう」
「可哀想に……」
モルテの話を全て聞いてディオスは心の底から亡くなった者を哀れんだ。
「新聞にはそれほど詳しく載っていないと言っていた。聞いたその時に近くにいた者からの話と言っていた。後は現地でどの様な状況だったか検証するらしい」
モルテはそう言うと朝食を食べ始めた。
「それで店長はどう思っているんですか?」
朝食を食べ始めたモルテにファズマは尋ねた。
「降りて来ると思いますか?」
(降りて来る?)
モルテに向けてファズマが言った言葉を聞いたディオスは一体何が降りて来るのか不思議に感じた。
「降りて来るだろう。登るとは考えにくい」
そんなファズマの言葉にモルテはどうゆう意味かと聞くことも考えることもせず、まるで始めからこうなるであろうということが分かっていたかのように答えた。
「どれ程の速さでここまで来るか分からんが、しばらく夜は注意をしろ」
「はい」
「は~い」
モルテから発せられた注意にファズマとミクは返事をした。一方で話が何を指しているのか意味が分からないディオスは返事が出来なかった。
置いていかれていたディオスは慌てて尋ねた。
「あ、あの、今の話と夜に一体が……」
すると、モルテはディオスに悪戯でもしそうな笑みを浮かべた。
「今は知らなくていい。時期を見計らいディオスには私と共に夜に出かけるつもりでいるからだ」
「……え?」
さっきは夜に注意しろと言っていたモルテが今度はディオスを夜に連れていくと言われ、指名されたディオスはまたも話に着いて行けず、必死に理解をしようとして頭の中がパンクしてしまった。




