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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
14章 桜花の恋
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思い込み

執筆に使っているメモの内容をまたもや誤って消してしまった為に投稿が遅くなりました。

申し訳なくございません。

「お前、何でまたここにいるんだ!」

 そう言って宗頼はつらら達へと詰め寄って来る。

 その言葉と行動にしぐれは自分に言っているのだと思った。

 理由はあるとは言えしぐれは侵入して身ぐるみ剥がされ捕まっていたのだ。番所に詰め込まれてもおかしくなかったのにそれがなく堂々とここにいる。

 何を言われてもおかしくはないが全て聞き流すつもりでおり、手を出してきたら返り討ちにするつもりでいた。

「何でお前がここにいるんだ!」

「は?」

 しかし、宗頼が詰め寄ったのはモルテであり全員の目が丸くなる。

「お前、秋人はんの葬式の時も来とったな!何でおった!」

「秋人の知り合いだからだ。しかし……」

 宗頼の言葉に素直に答えたモルテであるが名前以外知らない宗頼が何故知っているのかと内心で首を傾げた。


 モルテが秋人の葬式に訪れたのは最終日の式が執り行われる前であり親族であるつららと小春以外誰とも顔を会わせていない。

 誰とも顔を会わせることがなかった理由は、モルテの都合によるものだ。

 当時、アシュミストで仕事を抱えていたモルテは僅かな時間を作り訪れたのだ。

 その時はつららと小春に驚かれたが、自身が秋人の知人であり、秋人の冥福する言葉を述べて納得してもらい、道草に秋人が亡くなったことを伝える為に外へ出ていることで式には参加していない。

 それでは何故宗頼が知っているのか考えると、恐らく出たところを見られていたのだろうと思う。

 しかし、今の宗頼の様子は余裕がなく必死である。そのことが頭に引っ掛かる。


 モルテが考え込むようにして口を閉ざしたことで宗頼はさらに詰め寄った。

「ほんまにそれだけか?」

「それだけだが」

 いくつも思い浮かんだ候補を捨てていき、何を聞きたいのか思いながら絞るが、既にモルテの中では宗頼の気持ちが導き出しており、内心で楽しみ始めていた。

「ほんまにか?」

「それだけだ。他にあるか?」

 しつこく尋ねてくる宗頼に切り捨てたモルテだが、結論に達してしまったことで楽しく煽る。

「そないならつららとはどういった関係だ?」

「ほう、関係か。面白いことを聞くな」

 ようやく本命を口に出したとモルテは珍しく顔に出るほどに笑って煽る。

「どうなんや!」

「どうと言われてもな。つららとは秋人と同じ知人だ。それとも何だ?つららとはもっと別の関係を思っていたのか?」

 本当のことを言うだけでは面白くないとさらに煽る。


 すると、何かに触れたのか宗頼が何かを言おうとしたが、それよりも早くつららがモルテの言葉を肯定するように口を挟んだ。

「ほんまよ。じいさまと同じでモルテはあたしの大事な知人、友人よ!」

「ゆ、友人!?」

「変な声出して何よ!どんな関係思い浮かんでたか知れへんけれどよくしてもらっとるのよ!」

 宗頼の反応に何を思っていたのかつららは不機嫌になりながら睨み付ける。

 しかし、その言葉は宗頼の中の何かに触れていた。

「友人ってほんまかつらら!?」

「ほんまって、そう言うてるでしょ!」

「嘘おへんよな?」

「そうじゃなかったら何だって言うのよ!」

 疑い深く聞き返してくる宗頼につららは突き返す。

「……それがほんまやったとして、二人で何しとるんだ?」

「何って、何?」

「何でもええだろ!」

「何でもって、言うておきもって何でもええはいでしょ!ちゃんと言うて!」

 聞きたいことを口ごもっていれば分からないとつららが怒鳴る。


 それにより宗頼の中で何かが切れた。

「だぁ!ほんまに分かれへんのか?なら言うてやる!この男と何してるんだって聞いとるんだ!」

「は?」

 その言葉につららの目が丸くなった。

「何言うてるの、モルテは女よ」

「は?」

 そうして、つららの口から出た言葉が本当なのか確認する様に宗頼はモルテを見た。

 初めて見た時と同様に異国の人間を思わせる赤い髪に男性用の着物と袴を来ている。どこからどう見ても男である。

「嘘言うな!こいつが女なわけへんだろ!」

「見た目は男そやけども女なのよ!」

 聞いても見ても信じられないと言う宗頼につららが反論するが、話しは平行線となった。

「仕方がない」

 うるさくなってきたことにモルテは言い争う二人の間に割って入った。

「何や?」

 突然つららとの間に入って来たモルテに警戒を示した宗頼。だが、モルテは無視して宗頼の手を握るとそのまま自分の胸へと当てた。

「ちょっ!」

「なっ……!」

「……!?」

 その行為にはモルテの本当の性別を知る2人が驚愕して硬直し、初めて聞かされたしぐれは声を漏らしはしなかったが頬を赤くしていた。

 普通、女性は自分から男性に胸を触らせたりましない。そうしたのは身をもって宗頼に性別を証明する為だ。


 そして、宗頼はというと……

「……でかい」

 男性と見せるために潰しているとは言え触れば分かる胸の大きさを手で揉んで、口から言葉がこぼれる。

「つららよりもおっきい……」

 つららの中で何かが砕けた。


 次の瞬間、入り口の戸が粉々になるほどまでに宗頼はつららにより蹴り飛ばされていた。

 その様子は仕事が終わり帰宅途中だあった通行人が目撃することとなった。


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