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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
2章 葬儀屋の仕事
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閑話 夜空に

本日は閑話三本立て。8時、14時、20時の投稿です。

 ふう、と息を吐いたモルテはすでに暗くなっている夜空を見上げた。

「星というものはいつも変わらないものだな」

 何千、何万と変わらない星空に向かってそう呟くともう一つ白い息を吐いた。

「まったく、初めはどうなるかと思ったが、ファズマとミクと上手くやれそうな道筋が出来たな」

 そう言って新しい従業員として雇い住み込ませているディオスのことを考え始めた。


 全くもってモルテにはディオスがおもしろいと思った。

 一つ一つの行動に驚くディオスはモルテにとって久々に新鮮に感じた。ファズマとミクも昔はモルテの行動に驚いていたが今ではあんまり驚いていない。それでもおかしいと所には突っ込みを入れるがディオスのような新鮮さはない。

 その一方で脆いとも思っている。

 アドルフに言った時はディオスのどこが脆いのかと首をかしげていたが、ディオスと行動を共にしたファズマはディオスの脆さに気がついたらしい。

 そう、ディオスは清すぎる。そう言う人間は一度何かがあると折れてしまうもの。それなのに人間の負を沢山見て洗礼も受けたはずなのに不思議なほどに清い。何故かと考えてしまうが答えはまだ出さない方がいいだろう。ハズレたら嫌であるから。

 それに加えて危うい。ディオスは出来ること出来ないことの区別がついていないらしくいつでも足を踏み込んでしまう。

「まあ、それも時計を渡したことで考えをある程度変えただろう」

 ディオスに懐中時計を渡しながら言った言葉はどうやらよかったようだ。

 雇ってからディオスの態度はどうもよくなかった。驚くところはいつも通りであったがどこか遠慮をしている。加えて仕事以外、私的で関わりたくないからか頼ろうとすることをしない。裏を返せばそれは信用されていないと言うことだ。

「清いのに信じていないとは。矛盾しているな」

 ただの警戒心か、それとも別の何かなのか楽しく考える。それでも最近はファズマとミクに遠慮する素振りを見せず私語で話している。

 いい傾向だと思いながらモルテは肩を下ろした。

「なんにしても、これで一段落ついた。後は死神について言うだけか」

 恐らくディオスには近いうちに死神について言うつもりだ。驚いたり疑ったり質問をするのは範囲内である。

 それに、モルテは弟子を一度にとるのは三人までと決めている。ディオスが死神を知り三人目の弟子になるかどうかは本人の気持ち次第であろう。

「いずれにせよ、ここにはもう少しいるんだ。秘密を知った上でもここで働き続けてくれればそれでいい」

 モルテには店に勤められる制限がある。その制限の中に店を継ぐ者や死神となる弟子を育てるのが現在モルテに課せられた課題。それはすんなりと果たせそうだと思いながら再び星空を見上げた。

「私はそうあってほしいと願う」

2章完

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