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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
12章 覚悟と霊剣
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悪魔、翻弄

 ディオスの目の前で起きた光景は宙に浮かぶ箱が突然いくつも現れたものだ。

「これは死神の……」

 すぐさま死神が領域によって作り出したものと理解した悪魔だが、見える範囲に死神はおらず、どうやって作り出したのかと気になる。

「これもマオクラフが?」

「いいや。マオクラフは別の方だ。これは死神道具によるものだ」

「それって、あれ?死神道具の?」

「ああ」

 ディオスとファズマは箱がどういったものかと認識を共有させた。

「これはマオクラフの準備が終わるまでの時間稼ぎだが、さっきみたいに前に出過ぎるな」

「分かってる!」

 ファズマに釘を刺されながらもディオスは悪魔へと迫ると霊剣を振るった。


「遅い!」

 ディオスの振るう霊剣を避けた悪魔は反撃と手がない腕を突きつけてきた。

 それを今度は見切ったディオスが後退して避けると宙に浮かぶ箱の後へ隠れた。

「逃がさん!」

 追いかけた悪魔がディオスが隠れているはずの箱の裏側へ行くと、そこにディオスの姿はなかった。

 どこにいったのかと悪魔は周りを見渡すと、背後からファズマの霊剣が振り下ろされた。

「がっ!?」

 見事不意討ちが成功したことと悪魔が悲鳴を上げたことにファズマはニヤリと笑ったが、悪魔がすぐに振り返り腕を振るって来たことで回避。違う箱の裏側へと隠れた。

「小癪な!」

 ディオスが見えずファズマを狙うしかないと切り替えたら悪魔は今度も裏側へ追いかけたが、今度はファズマの姿もなくなってしまった。

「どこに行った!」

 焦るというよりは苛立ちを募らせる悪魔。

「ここだ!」

 その時、ディオスの声が聞こえて振り返ると体全体に強烈な一撃が加えられた。

「がはっ!?」

 何が起きたのかと見れば、ディオスの手には霊剣がなく鞘に納められている。

 目を下ろすと宙に浮かんでいる箱と同じ色合いのものが散らばっており、それが小さな粒となって宙へ漂いながら消えていっていた。

「なるほど。この箱をぶつけたのか」

 悪魔はディオスが何をしたのかしると、近くにあった箱に腕をぶつけて壊した。

「……死神の力を微かに感じるが、これは領域ではないのか」

 悪魔の言葉に気付くのが早いと思ったディオスだが、箱の力を全て知られていない為にまだ余裕がある。

「うおぉぉぉぉ!」

 だから、ディオスは悪魔へと迫る。

 最初の時のような悲鳴ではなく、明らかに戦いの時の叫び声である。


 ディオスは悪魔へ霊剣を何度も振るう。しかし、悪魔は全てを見切り回避する。

 そこにどこからともなく現れたファズマも参戦する。

 二対一となったが、悪魔は2人が振るう霊剣を避け続け、隙を突いて力を放った。

「ディオス避けろ!」

「えっ!?」

 力を使ったことに真っ先に気が付いたファズマはディオスへと叫んだ。

 戸惑ったディオスであるが、悪魔の力によって引き寄せられた土の塊、雨に濡れている為に泥と化した塊と木々が迫って来ているのに気が付き大急ぎで逃げ出す。

 周囲を見回し危機を察知するのは実戦を含め戦いなれているファズマの方が上である。

 そのお陰で飛んで逃げ切れたディオスはすぐに箱の裏側へと隠れた。

「またか」

 再び隠れたことに悪魔は苛立ちながらも、今ある力でも箱を壊せることを知っている為に、力ずくで箱を壊した。

 だが、箱の裏に隠れているはずのディオスがいなかった。

「!?……どこへがっ!?」

 驚愕した隙を突かれて悪魔はファズマの霊剣の一撃を受けた。

 すぐにファズマが後退してしまった為に追撃が出来なかった悪魔だが、受けた場所が悪く体の動きが鈍る。


 この好機を逃がしてはならないとディオスは悪魔の近くにある箱から現れた。

「!?」

 予想していなかった場所からの登場に悪魔は声を上げる暇なくディオスが振るう霊剣に首元を切られた。

「がっはっ……」

 それによって悪魔は口から血を吐く。

「……浅い」

 しかし、ディオスは先程の一振りに満足していないのかもう一振りと構えようとするが、悪魔の腕がディオスを地面へと叩き付けた。

「ぐぁぁぁっ!」

「ディオス!」

 ディオスから距離があったことと突然の動きであった為に反応できなかったファズマが駆け出そうとしたが、悪魔の力によって引き寄せられた木々が襲ってきたことで後退する。

「ま、まったくっ……」

 首元を切られた悪魔は呼吸が出来ず声が掠れてしまっていた。だが、悪魔故の生命力により目は未だに力を保っており、そのまま地面に叩き付けたディオスを見下す。

「散々抵抗をしたものだ……」

 強く叩き付けられたディオスが呻くのを悪魔は気にせず腕を伸ばす。


「っ……」

 ディオスは痛い体を必死に動かす。

「ま、まだ、終わって、ない……!」

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