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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
12章 覚悟と霊剣
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初めての戦い

 ディオスとファズマがいるのはアシュミストの外、つまりは郊外。

 アシュミストからそれほど離れているわけでもないのに木々が多く平野が広がり、もう少し先へいくと畑がある。

 そんな場所へ悪魔は引き寄せられたと知りながらも現れた。

「逃げるのは止めたのか」

 悪魔のまるで全てを知っていると言える雰囲気にディオスは唾を飲み込んだ。

 異形と化した姿は人の形をしながらも姿は大きく離れていた。

 獣の様な出立ち、服の隙間から溢れ出る毛。そして血が固まった跡。

 それ以外に目立つと言えばマオクラフとロレッタが両手を刈り取ったことで手がなく、ホメロンに蹴飛ばされたことで胴体に二ヶ所凹みが出来ていることくらい。

 しかし、逆に言えば、それほどの傷や深手を受けてなお動けるということ。一体どうしたら動けなくなるのかと疑問に思ってしまう。

 だが、ここで決着を着ける気でいるディオスは深く考えず霊剣を鞘から抜いた。

「……霊剣か」

 少し前までディオスの雰囲気が変わったのは死神の弟子を象徴する霊剣を持ったからと悪魔は知る。

「お前をここで倒す!」

 ディオスは叫ぶとまっすぐに悪魔へと走った。霊剣を手にした今、ディオスでも悪魔と戦うことが出来る。

「ようやくか」

 悪魔はディオスが逃げずに立ち向かって来てくれたことが嬉しいのか迎え撃つ構えを取った。

 目的はディオスの眼球。それされ奪えれば後は逃げるだけで死神の弟子達の策に遊ぶ必要がなくなると。


 しかし、ここで水が差した。

「やらせるかよ」

 ファズマの言葉を合図に地面が陥没した。

「何だと!?」

 陥没した地面に足を取られた悪魔は動きを止めた。

 雨が降っているとはいえ量は沈んでしまうほど降っていなければ土も水を多く吸収してしまうわけでもない。

 沈んでしまった足もそれほど深くはないがすぐに抜け出せるともいえないほどに重い。まるで、死神の領域が作用しているかのように。

「うぁぁぁぁぁ!!」

 その隙にディオスは霊剣を悪魔の胸へと突き刺した。

 叫び声が悲鳴の様に聞こえるのは今まで防具等を身に付けた故の対人戦しかしたことがなく血渋きや明らかに殺傷を目的にした戦いをしたことがなくない故の初めてのことに対する恐怖心から。

 しかし、叫び声とは裏腹に動きに迷いや恐れはなく、腹をくくりったが叫び声が悲鳴の様になってしまったというもの。

「ぐっ!?」

 そんなディオスの初めての一撃を受けた悪魔は霊剣を抜こうと両手がないことで腕を使ってディオスを弾き飛ばそうとする。

 だが、そう来ると思っていたディオスは体を屈める動作を使い突き刺さっている霊剣で悪魔の体を切り裂いた。

 体や服に血渋きがかかり、それにより悪魔が絶叫を上げるがお構いなく切り裂くと後に回って霊剣の柄を両手で握ると今度も深く切り裂いた。


「本当に初めてかよ……」

 ディオスの躊躇ない攻撃にファズマが悪魔に追討ちを入れて離れると茫然とする。

 少し前まで殺すことに否定的なディオスがいざ傷を負わせる側に立ったら慈悲がないほどだ。

 内心では怖いと思いながらも腹をくくっているのだと思いたいが、明らかに別人と思いたくなる。

(あそこまで動けたか?)

 悪魔と距離を取り様子を伺うディオスにファズマは訓練時の様子を思い浮かべる。

 特訓の合流はファズマが最後であり特に遅い。少ししかディオスの訓練様子を見てはいないが、どちらかというと攻めるよりも防いで耐えてから見切る、反撃の方が多かったはず。

 しかし、今は悪魔の動きが止まっていることもあり攻めの一手。明らかに違う。

 また悪魔に一撃を入れたディオスの動きに呆気に取られていると、地面がこんもり上がっていることに気が付いた。

(ヤベッ!)

 すぐにディオスを止める為に走り出した。



 霊剣で突き刺しては切り裂くと続けるディオスは一心不乱に続けた。

 だからこそ、悪魔の足が埋まっている地面が浮き上がっていることに本来なら気づけることに気づけなかった。

「調子に乗るな!」

 悪魔は足を地面から抜き出すとその勢いでディオスの腹に膝蹴りを入れた。

「がっはっ!?」

 無防備に入った一撃は深く入り、もろに受けたディオスはそれにより動きを井止めた。

 その隙に悪魔が追撃と腕を叩き付けるが、すんでのところでディオスはファズマに救出され地面へと叩きつけられるのを防がれた。

「ディオス!」

「がはっ……う、うん……」

「……たく、前に出過ぎだ!」

「ご、こめん……」

 ディオスは腹の痛みに耐えるようにして屈んでいたが、少しして腹を手で抑えるようにして顔を上げた。

「たく。ディオスが死んだら何の為にしたのか分からなくなるから考えなしに突っ込むな」

「そんな感じだった?」

「ああ」

 ファズマからの指摘にディオスはそんなつもりはなかったのだがと戸惑った。

 しかし、ファズマはこれはディオスにとっていい薬になっただろうと思い、これで余程の事がない限り前に出過ぎるようなことはしないと思う。


 ディオスの様子を横目で見てからファズマはマオクラフに連絡を入れた。

「マオクラフ、次もいけるか?」

『問題ない』

 マオクラフの言葉を受けて2人は顔を見合わせた。

「次に深追いしても助けねぇからな!」

「気を付けるよ!」

 ファズマの注意を再び危機ながらディオスは目の前で起きた光景を見た。

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