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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
12章 覚悟と霊剣
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着きつつある決着

 その頃、地下水路では……

「ガイウス、次が来る!」

「おぉよ!」

 レナードの言葉通りに渦から水の塊が現れ飛び上がった所をガイウスがゴルフクラブを振るって落とした。

「見つけました……展開している場から800メートル先に2ヶ所です」

 クロスビーがレナードに目的の物があると伝えるが、表情は苦るしいのか額からこれでもかと汗が流れている。

「なら……!」

 それを受けたレナードは渦の奥へと更に領域を伸ばし、渦を作っている原因を潰した。

「こぉんだけぇ潰してってんのにぃまぁだぁあるのかぁ?」

 領域を使ってアシュミストと周辺に被害が出ないようにと手を尽くしているレナードと代わりに探しているクロスビーが手を尽くしているいるというのに一向に渦が消えない様子にガイウスがぼやく。

「ここから出口まで距離があるからな。それに、出口も複数ある。繋いでいる中間点とそれを可能としている力を潰していくしかない」

「めぇんどうなぁことしぃてくれたなぁ」

「だが、広範囲に被害を出すには効率がいい」

 広範囲と言われ、どれ程の被害が出るのか先に聞かされていたガイウスは異変を排除しようと水の塊を潰す以外にやることがない自分に僅かに嫌気が差した。


 アシュミストで貯められてから送られる水が山から流れればアシュミストだけでなく周囲の町にまで被害が及ぶようになっていることは領域を通してしっていた。

 例えレナードが領域・形質で渦を安定化させたとしても範囲が広くどうしても悪魔の力が残ってしまう。しかも、下手に刺激を加えれば何が起こるのか分からないほど脆い。しかも、ユリシアが渦の中にいたことで状況が変わってしまっていたのだ。

 恐らく渦には純粋に水を貯めて流すことしか出来なかったのだろう。そして、時期が来たら放流して一帯を崩壊するはずが、そこに今回の悪魔がユリシアを隠す為に本来あった力に別の力を加えてしまったことで機能が不安定となってしまった。

 元がどれ程の水を貯めていたかは分からないが渦の大きさと早さから倍になっているはず。


 しかし、ユリシアを救出しなければどうすることも出来なかったことでレナードが考え出したのが人命の救助を優先するるもの。渦に至ってはあえて不安定とさせて力を暴走させて無理矢理抑え込みながら力を潰していくものであった。

 説明の段階で危険性を並べていたのにここに来て危険に踏み込むとは何だと批判も上がったが、レナード一人ではどうすることも出来ない状態となっていたのだ。それを言ったことで全員がようやく納得。それぞれの役割と共に行動を開始したのだ。


 レナードが領域を使ってアシュミストと周囲、悪魔が力を通している場所限定であるが展開して被害がでないようにしながら悪魔の力を潰していく。

 クロスビーがレナードの手助けとして悪魔の力の削減と探索。しかし、クロスビーとしても広範囲を捜索することは初めてであり気力の勝負となっている。

 ガイウスがレナードとクロスビーを守る役目として残り、いざというときはサポートとして回る。

 アドルフは山にある出口から水が大量に吹き上がらない様に領域でを使って色々と工夫をして止めているが、数と量が多いことでレナードに連絡を入れ、今はレオナルドと共にあたっている。

 そして、リーヴィオはユリシアのことがある為に除外している。

 とてつもなく大変なことになっているが今いる人数で出来るのがこれしかない苦渋の策とも言える。



 そうこうしている内に地上で変化が起きているのに気が付いた。

「アドルフとぉレオナルドがぁ、なぁんとかぁ上手くやったぁみたいだなぁ」

「ああ」

「そのようですね」

 連絡が入ってないながらも領域を通して伝わる異変。それはアドルフとレオナルドの2人が山の出口から溢れ出る水を上手く抑え込み、なおかつ放出もしているという分かりやすい知らせであった。


  ◆


 ディオスはファズマと共にアシュミストの郊外へと抜け出た。

 途中で悪魔に追い付かれたりもしたがその都度、弟子達とマオクラフに助けられ、今はファズマと合流して目的の場所まで辿り着こうとしていた。

 しかし、目的の場所に着こうとしているが状況は悪いらしい。

「殆ど切札使ったから通じねえと思ってくれ」

「それじゃやっぱり……」

「ああ。あそこならまだ手はある。ここで追い付かれたら後がねえ」

「だったら急ごう!」

 悪魔の足止めの為に打ち立てていた策は目的の場所以外で全て披露してしまった。その為に早く走ろうと決めた時、ディオスの顔に冷たい水が一滴落ちた。

「雨?」

 空を見上げると雲があり、そこから徐々に雨が降ってきた。

「降ってきたな」

 ファズマも雨に当たりながら言うが、それが何だと思う。

 それからすぐに2人は目的の場所に着くと足を止めた。振り返ると遠くから悪魔が迫って来るのが見えた。

「準備はいいか?」

 思っていたよりも悪魔が追ってくるのが早く、ファズマの言葉にディオスは無言で頷いた。

「覚悟は出来てる!」


 今回の騒動に決着が着こうとしていた。

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