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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
12章 覚悟と霊剣
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決まりゆく対策

 モルテからの電話は一方的であった。

 それこそ言いたいことを言っただけでありディオスの反応はと言うと……

「え?」

「あ、あの……」

「……はい」

 と何も言わせないもので僅かな返事を返すことが許されるのみであった。

 しかし、それに対してディオスは何一つ不満を持っていないし抱くこもとなかった。

 モルテからの一方的な連絡は一言で言えば厳しいもの。けれども不思議と心にすんなりと受け入れられるものであり、心の靄が晴れていくようであった。

 そうして5分程経った頃にモルテがファズマに電話を代わるようにと促したことで話しは終わった。

 電話を代わったファズマもディオスと同じ程度の時間を会話した。

 ただし、ディオスの様に一方的なものではなく話しをしてから返事といかにも会話らしい会話をして終わった。

 最後にレナードが受話器を受取り短い会話を交わして電話は終わった。


「モルテの方も何かあったんだな」

「詳しいことは分からないが面倒と言っていた」

 アドルフの疑問に答えたレナードに一同が戸惑う。

「モルテから聞かされなかったのか?」

「ああ。頼み事の為に連絡をしてきただけだ」

 どうやら話す暇などないほどの状況になっているのだと理解し、モルテが戻って来たら聞き出そうと決める。


「モルテの方はそういうことだ。集会を再開するぞ」

 レナードがそう言って死神集会は三度再開された。

「ディオスの方で何があったかは領域で確認している」

「話が早くて助かるよ」

 説明する必要がないと言ったレナードにマオクラフは安堵するが、説明しようとしていたディオスは出鼻を挫かれた気持ちになる。

「ディオスの母親だが……アドルフ、リーヴィオに任せる」

「ああ」

「分かった」

 人選されたアドルフとリーヴィオは頷いた。

「クラウディアさんに誤解されないように気を付けてくださいね」

「ここで言うなレオナルド!」

 レオナルドに茶化されたことで突っ込みを入れたリーヴィオ。だが、すぐにレナードに視線を向けた。

「だが、悪魔の方はどうする?」

「ああ。問題はそこだ。死神から逃げる以上は対策が必要になる。それに、マオクラフが見失ったのにも理解した」

「理解って、どんなだ?」

 全員の視線を集めたレナードは何とも思わず下に指を指した。

「地下水路だ」

「地下水路?」

「ああ。どうやら悪魔は水路を使って地下水路に身を潜めているようだ。マオクラフは表面までしか領域を展開していなかったから途中で見失ったんだ」

「……申し訳ございませんでした」

 自分の力不足と盲点にマオクラフはレナードに謝罪した。

「いや、マオクラフでなくともあれがある以上は見つけれことは出来ねえ」

「そぉ~れはぁどぉいうこっとだぁ?」

 まだ含みがある言い方にガイウスが問う。

「どうやら地下水路が張り巡らされている一帯に悪魔が存在を悟らせない為に手を打っているようだ。恐らくだが、1年前に戻って来たにも関わらず現れなかったのには存在を認知されない為の準備をしていたからだろう」

「それで、レナードは分かったのか?」

「探っているがまだ分からない。分かったら教える」

「そうですか」

 悪魔が潜んでいるということはユリシアもそこにいる可能性が大きくなったことで安堵する。

(だがこれは道具によるものじゃねえな。力だけでこれをするとなると……下級からしたら相当に努力が必要なものだ)

 一方でレナードは存在の確認に邪魔となっている力を分析していた。先程気が付いたばかりだというのに既に幾つか分かっていることもあり、領域の魔術師の異名は伊達ではない。


「だが、問題は悪魔をどうやって仕留めるかだ」

 そこに今回の難関がアドルフ口から出た。

「罠を仕掛けて捕らえるか誘き出すしかない。地下水路に乗り込んだとしてもディオスの妹を盾にされれば手が出せない」

「悪魔が地下水路から出て隙にユリシアさんを救い出すのが最良でしょう。しかし、それでは悪魔が自分から出てくるのを待つしかありません」

 どうしても悪魔が地下水路から出てくるのを待つしかないことにどうしたら誘き出せるかと悩む。


「あの……」

 そこにディオスが控えめに声を出した。

 しかし、その目は何かを決意したようなものだ。

「……ユリシアを助ける為に皆さんの力を貸してください。お願いします」

 ディオスは懇願する様に頭を下げた。

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