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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
12章 覚悟と霊剣
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悪魔のずる賢さ

昨日は突然投稿を休みにしてしまい申し訳ございません。

活動報告でも記した通り飲み会でぶっ倒れてしまいとても気持ち悪くて執筆も投稿も出来なかったのでお休みとさせていただきました。

本日はその埋め合わせとして2話更新します。

続きは21時を予定しております。

 裏道から逃げ出したディオス達は領域内で止まった時間の中で必死に走った。

 ディオスは初めて目にする領域で動かない人々を見て驚いていたが、すぐに表情を曇らせた。

「ところで、何でディオスがいたの?」

 ミクを背負うエミリアがディオスに尋ねた。

「ユリシアの悲鳴が聞こえたのでそれで」

「そういうことだったのね」

 ディオスの答に3人が納得した。

 しかし、

「でも、悪魔にあんなことを持ちかけるって普通じゃないと思うけど」

「え?」

「そうね。命知らずって言うか何とか言うか……聞いててハラハラしてたわよ」

「えっ!?もしかして、聞いてたんですか?」

「途中からだけどね。その時のマオクラフとエミリアの様子を見せてあげたかったよ」

「茶かさないでよフラン!」

「だからフランって言わないでくれるかな?」

 悪魔から逃げているというのに走りながらいつものやり取りを交わすフランコとエミリア。


 3人がマオクラフと共に駆けつけた時は一足遅かったと言ってもいい。

 状況は悪魔がユリシアを捕まえていたからかディオスが動揺していたことで飛び出すことが出来なかったのだ。

 ユリシアがまだ生きていることは分かっていたが突然出た際に魂か眼球を奪われて命を奪われてしまっては何の為に助けに向かったのか分からなくなってしまうことで安全を考えて隙を見ていたのだ。

 これは別の場所で控えていたアドルフも同じであったのだが、アドルフの場合は隙は関係なくディオスの安全も視野に入れていた。

 悪魔が2人の魂を奪う様子を見せていたらすぐに引き金を引いて一手を防ぐつもりであった。

 それなら一撃で仕留めればと思うかもしれないが、その一撃がもしも気付かれたならディオスかユリシアを囮に使われていた可能性もある。

 だから初撃ではまず悪魔の命を刈らず危険に犯されそうな方、ディオスを守る為に引き金を引いたのだ。

 結果的にその隙を付いてマオクラフが悪魔に追撃、医学生組が3人を保護して逃げ出したということだ。


「正直言って怒ってるのよ」

 フランコとエミリアのやり取りを無視してロレッタが少しだけ怒気を込めた声で言った。

「どうしてあんなことになったのか後で説明してね」

「……はい」

 頷いたディオスであるが、話すとなると過去のことについて話さなければならないと思い今から悩み始める。


 その直後であった。

「避けろ!」

 フランコの言葉にディオスは走っている方向とは全く関係ない場所に引っ張られ、数秒後は先程までいた場所に悪魔が落ちてきた。

「早すぎるわよ……」

 アドルフとマオクラフの足止めを抜けて追いかけてきた悪魔にエミリアが苦い表情を浮かべた。

 悪魔は着地するなり周りを見回した。着地する直前に三方向に拡散してしまったことで今はバラバラとなったと言ってもいい。

 最初に視線を向けたのはディオスと庇うようにして短剣を握り締めたフランコ。

 次に向けたのはエミリアと気を失って背負われているミク。

 最後はロレッタと呪によって深い眠りに落ちたことで抱かれているユリシア。

 医学生組が戦う術を持たない3人に一人ずつ付いて守っている形である。


 しかし、悪魔は全く気にせず、既に狙いは決めているという様子で動き出した。

「……邪魔だ」

「エミリア!」

 悪魔はエミリアへと走り出した。

 エミリアは突き出された悪魔の手から逃れる為に後ろに飛び引いた。

「ディオス、ロレッタの所に!」

「フランコさん!?……!」

 このままではミクとエミリアが危険だと飛び出すフランコ。

 ディオスは突然の指示に戸惑ったが、悪魔が誰を狙っているのか分かっているだけにこのままではいけないと声をかけようとしたがそれは違う人物へと移った。

「ロレッタさん、来たらダメだ!」

 フランコの動きを見てディオスへと駆け出して来たロレッタに悪魔の狙いは自分なのだから巻き込ませてはいけないという気持ちで叫ぶ。

 同時に、ロレッタが動くのを見計らってか悪魔が踵を返すようにして振り向くとフランコの短剣を避け、瞬時にロレッタの前を遮った。

「えっ……!?」

「何で……!?」

 予想外のことに驚くディオスとロレッタ。

 そして、悪魔はロレッタからユリシアを奪うと力を放って吹き飛ばした。

「きゃぁぁっ!」

「ロレッタ!」

「どうして……」

 悲鳴と困惑の中で悪魔はそのままディオスを見る。

「どうしてユリシアを!狙いは俺のはずです!」

 先程までのやり取りを考えるなら一番に狙われてもおかしくはなかった。だが、悪魔はディオスではなくユリシアを狙い、奪った。何故奪ったのか分からない。

「……私の身を守る為だ」

「守るって、何に……?」

 悪魔は何を言っているのだとますます分からなくなるディオス。


 だが、その意味はすぐに分かった。

「無事か?」

「マオクラフ!」

 視線の先でマオクラフが吹き飛ばされて起き上がろうとしているロレッタに手を貸しているが、顔は悪魔を見続けており、どこか悔しそうだ。

「分かったか?」

 悪魔はディオスに語りかけたが、知ったところで嬉しくないと何も言わなければ態度も示さない。

「そういうことだ。この娘は私の生命線だ。今はお前に免じて殺しはしない。今はな」

 そう言って悪魔はその場から飛び上がった。

「ユリシア!」

「また会おう。その時には両目を貰う」

 悪魔は言うだけいうとその場から姿を消した。

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