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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
11章 変動の鼓動
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予想外の再会 その2

 ランバンで宿を取ったモルテ達はそれぞれが予定していた行動を開始していた。

「すごい……」

 その道中、ディオスは初めて目にしたものに感動していた。

「話しには聞いてましたが、これが路面鉄道……」

 車が走る道路の真ん中を占領するようにランバンの何処かへと続く線路と中継地点の駅、そして蒸気を利用して走らせる小型列車目の前を通りすぎて行くのをディオスの目に見える場所全てに収まっていた。

「車を作る技術ではまだ人間を大量に乗せて走ることが出来ないからな。だが、列車は車以上の馬力があるからこうして多くの人間を乗せて走らせることができる」

 多くの人を乗せて走るということがどれ程生活の中で大切なことであるかをモルテが言う。


 この世界ではまだ大型の車を作る技術が進んでいない。

 せいぜい6人から8人を乗せるまでがやっとの車しか出来ておらず、それが公共交通機関の車として使われている。

 しかし、大都市では路面電車が普及しているが、地方では路面電車を敷く敷地がないためにどちらかと言うと公共の車の方が普及している。

 ちなみに、五大都市の一つであるアシュミストに路面鉄道が街中に通っていない理由は古い街並みを壊したくないことと線路を通す場所がないからである。何よりも、街並みを誇りとしている住人からの強い反対があったことも付け加えられる。


 そんな話しをしながらモルテとディオスは鉄道に乗ると目的地の駅まで揺られなる。

「鉄道の中はこうなっているんですね」

 初めてのる鉄道に興奮するディオスにモルテは疑問を感じた。

「それにしても意外だな。ディオスはランバンに訪れていると思っていたが?」

「俺は一度もランバンに訪れたことがないんです。いつも父だけが訪れていたので」

 聞いてないことも言うディオスであるが、モルテはそれなら鉄道を見て興奮するだろうと納得する。

「そういえば、ランバンとアシュミストまでを鉄道が通ると聞いたな」

「あ、それは聞いたことがあります。確か今年の冬頃に開通のはずです」

「もうそこまで来たのか」

「え?店長は開通する時期を知らなかったんですか?」

「通ることは聞いていたがいつとは知らなかったからな」

 と、妙に抜けたモルテの発言にディオスは僅かに呆れてしまった。


 アシュミストの街中に路面鉄道を走らせることが出来ないのに何故ランバンまで通る線路を敷けたかと言うと、鉄道の駅がアシュミストの新住宅街に作られるからである。

 実のところ、線路を敷けない場所がアシュミストの昔から存在している場所だけで近年になって開拓された新住宅街は当てはまらないのである。

 そこに目を付けた当時の統治議会がアシュミストを発展させる為に新住宅街に駅と線路を設置して鉄道を通そうと計画をしたのである。

 この構造は20年前からあり、開始したのが17年前。紆余曲折はあったがようやく冬には開通して鉄道が通るようになるのである。



 それからしばらく話をしていると鉄道が突然止まった。よく見ると駅に到着したのである。

 降りる客を先に降ろして鉄道に乗る客が後に入る。

 暗黙のルールなのかとディオスが見とれていると声が聞こえた。

「もしや、モルテか?」

「え?」

 自分に言われた言葉ではないが反射的にディオスは目の前に立つ老人を見た。

 痩せ細った体型で見た目からして70歳は越えている様に思えたがディオスの記憶にはない。恐らくモルテの知る人物なのだろうと思いモルテを見た。

 すると……

「誰だ?」

「えっ!?」

 眉を寄せたモルテの発言にディオスは目を丸くした。

 あまりに予想外の発言に老人は苦笑いを浮かべた。

「まあ、ここまで体が変わってしまっては気づかないですか。先代店長と言えば分かりますか?」

「まさか、ローレルか!?」

「はい」

 ローレルとなっ乗った老人の言葉にようやく誰か分かったモルテは驚きの表情を浮かべた。


 ローレルはそのまま向かいの席に座った。

「まさかランバンにいらっしゃるとは。何か用事で?」

「ああ。ついでにディオスにローレルを紹介しようと思ったから探していた」

「そうでしたか」

 勝手に話を進めていくモルテとローレルにディオスはようやく話しに割って入れた。

「店長、話からしてこの人は店の先代ですか?」

「そうだ。ローレル・フネーラ。葬儀屋フネーラの先代であり元死神だ」

 モルテの口からローレルの自己紹介がされたことでようやくディオスは組合わさらなかったピースが合わさってスッキリした。

「それでモルテ、そっちは従業員と見ていいのか?どうも彼からは……」

「その通りだ。ディオスは従業員だが私の弟子ではない」

「なるほど」

 ローレルもディオスが死神の弟子らしくないことに気づいていたが、モルテの説明に納得する。

「しかし、モルテが死神や弟子ではない誰かを連れてとは思っていませんでした」

「成り行きだ。さっきも言ったがディオスにローレルを紹介したいと思い連れて来たんだ」

「なるほど」

 モルテの言葉に理解したとローレルだがすぐに残念な表情を浮かべた。

「私はこれから用事がありまして今の店の状況も聞きたいのですが……明日都合は空いてますか?」

「さあな」

「それでしたら都合がいい時に来てください。これが住所です」

 そう言ってローレルは自宅の住所を書いたメモをモルテに渡した。


 そして、そのタイミングで鉄道が止まった。

「それでは楽しみにしています」

 ローレルは会釈をすると鉄道から降りて何処かへと行ってしまった。

「店長が会わせたい人ってローレルさんだったんですね」

「ああ。しかし、これで居場所を探す必要がなくなった」

 渡されたメモをモルテが見た時だった。


 ドンっと明らかに鉄道の中では異様な音。そして中に戸惑いと悲鳴の声が響いた。

 何事かとモルテとディオスが視線を向けた先には、一人の男が首から大量の血を流して倒れていた。

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