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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
11章 変動の鼓動
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人間を辞めた人間

 ヘルミアの裏道にライハード家の執事とメイドが走って来るのを感じながらモルテはこの先をどう切り抜けようかと考える。

 そんな時間を稼ぐかの様にガイウスはモルテと分断された原因であるセルファロスに独特の口調で語りかける。

「親父よぉ~、な~んでそっこまでぇしって俺を跡取りにしったいんだぁ~?」

「お前が長男だからだ」

「そっれ以外にねぇのか?」

「あるわけないだろう」

「ねぇ~のかよ」

 ガイウスの様子はヘラヘラとしていたが内心ではセルファロスの回答に怒りを抱いていた。

「あっのなぁ~、今のご時世ってのは能力うむんむだぞぉ~。家の為に長男だからってのはぁ~どぉ~かと思うがぁ?」

「お前はまだそんなことを……」

「あぁ~言うな~。そぉ~れで家が潰れたりしったらぁ王様の顔に泥を塗るだろぉ?だっから俺は姿を消っしたんだよぉ」

「王の為だと?馬鹿者が!王の為と言うなら私の跡を継ぐことが正しいことだ!」

「そぉ~れを俺がすっるのが相応しくねぇ~って言ってんだよ」

 完全にガイウスとセルファロスの話しは平行線で纏まる気配を見せない。

「この馬鹿息子が!」

「頑固じじぃが!俺が~跡取りに就いたら、潰れるぞぉ」

 セルファロスに向けてガイウスが先程まですることがなかった鋭い目付きを向けた時だった。


「ガイウス!」

「おぉ~よ!」

 モルテが声をかけると二人は走り出した。モルテは執事やメイドに向けて、ガイウスはセルファロスから逃げるようにして。

「逃がすか!」

 しかし、ライハード家の目的はガイウスである。ガイウスを捕まえることが出来ればそれでいい。

 セルファロスはガイウスを捕まえる為に走り出す。だが、

「なっ!?」

 突然肩に重いものがのし掛かったと思った瞬間、執事とメイド達に向けて走っていたはずのモルテが壁を蹴って建物の屋根へと上がってしまっていた。

 モルテが行ったらことはフェイントを兼ねた助走。セルファロスを踏み台にしたことでモルテはガイウスよりも一足早く屋根に上がることが出来た。

「親父ぃ~、つっかまえるものなっらぁ~捕まえてみろぉ~」

 セルファロスの動きが止まった隙にガイウスも壁を蹴って屋根に上がるとモルテと合流した。

「まったく、身勝手な親だな」

「困ったものだよなぁ~」

 他人事の様に言うガイウスに一睨みするモルテ。

 だが、これで逃げ切れたはずがなかった。


「まさか、兄さんから来てくれるとは思っていませんでした」

 逃げようと足を向けた先には、やはりなのかゴルフクラブを手にしたウェイバーと数人の執事とメイドが立ち塞がっていた。

「悪いがぁ逃~げさせてもらうぞぉウェイバー」

「逃がしません!」

 その言葉を合図に執事とメイドがモルテとガイウスを捕らえる為に襲い掛かって来た。

 捕まえるか捕まるまいかと攻防を繰り広げながらもモルテとガイウスは逃げるために常に移動する。

 屋根から屋根へと飛ぶとそれに続いてウェイバーや執事とメイド達も続く。

「ガイウス待たんか!」

 その間にも裏道にいたはずのセルファロスや執事とメイド達が屋根に向けて飛び上がって来る。

 恐らく誰かが踏み台になったり上へ飛ばしたりしているおり、人を使うよりなら壁を蹴ればいいのではと思うかもしれないが、壁を蹴って屋根まで上がるというのは体力的に厳しくやろうとしても好き好んでやるものではない。

 そうして裏道に数人残りながらもセルファロスはウェイバー達と共にモルテとガイウスを追いかけて来る。

 ライハード家に仕えている者だけでなくウェイバーもセルファロス同様とも言える身体能力の高さにモルテはガイウスに問う。

「ガイウス、お前の家族は何だ?サーカス団か武道家か?」

「俺の実家はよぉ~むっかしぃから体鍛えているだけだぁ」

「ここまで鍛える必要があるか!……まさか!?何故思い出さなかった……」

 ガイウスに意を唱えようとしたモルテだが、ライハード家が十大貴族でどの様な役割り(ポジション)にいるのか思い出した。


 十大貴族の中でライハード家は王家の剣、懐刀、影の剣と呼ばれている。

 つまり、王家を守る傍ら軍事の中枢を担う貴族の1つなのだ。


 そのことを今まで思い出せなかったモルテだが、思い出すと先程まで抱いていた頭痛が一気に引いて自然と納得する形で落ち着く。

「稀に人間を辞めた奴がいるがお前の家族はそういう奴らか」

 いつの時代にも人間でありながら人間が持つ限界の限度がないばかりか飛び抜けてしまっている化け物がいる。

 ライハード家はガイウスも含めてそういう人間であるのだと受け入れ、理解したモルテは確認を取る。

「聞くが、母親も人間を辞めているのか?」

「お袋はなぁ~……」

「見つけましたよガイウス!」

 ガイウスが答えようとした時、ナミアノが進行方向を塞ぐようにして下から飛んで現れた。

 そして、案の定なのか肩にはゴルフケースを背負い、ライハード家の男さながらにゴルフクラブを手にしていた。

「……お袋がぁ家の中じゃぁ~いっちばんつえぇなぁ~」

 ガイウスが途中までであったことを述べたがモルテの耳には入っていなかった。


 ゴルフクラブ、ゴルフクラブ、ゴルフクラブにゴルフケース。ここまでゴルフが続いてしまってはさすがのモルテでも突っ込みを我慢出来ない。

「貴様ら、ゴルフクラブを街中で振るうのならゴルフ場で振るわんかぁぁぁ!」

 ライハード家の者達に囲まれ絶体絶命の状況となったはずなのにいまいち危機感を感じさせない突っ込みが響いた。

気づいたらちんたら書いてる!?

明日にはこの馬鹿騒動は終わります

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