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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
10章 教皇選挙(後編)
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いきなりラスボス

「古からの誓約により我らが主よ、天眷者が力を振るうことを許されたもう」

「天眷・我らに救いをもたらす者に(ドゥルフィティリア)祝福を」

 悪魔の大量乱入に合わせて枢機卿が天眷術を使う為に祈りを捧げ、早くに祈りを捧げ終えた枢機卿は天眷術を使って悪魔の力を削減させる為に動く。


 そんな中でモルテを除く七人の死神(デュアルヘヴン)は黒竜を見て困惑していた。

「ドラゴンって冗談だろ……」

「予想外ですね」

「予想外って言うよりもこの中にいられる大きさってことが驚きだな」

「驚く場所が違う!」

 いくら秘密の中庭が広く天井が高いからとはいえ黒竜が入っても問題ないことに余裕な会話を交わすが内心ではかなり緊迫しており既に死神の武器を構えていた。

「しかし、黒竜ですか。一筋縄ではいきませんね」

「いかないと言うけどやらないとならないからな」

 悪魔がドラゴンの形をしていることがどういうことか知っている為にヤードの発言にアルフレッドが自身も含めて喝を入れる。


 悪魔がドラゴンの姿を取れることそれほど多くはなく、それが何を意味しているのか。

 悪魔は相当の力を持つと本来あった異形の姿からドラゴンへと変わる。それは魔王相当の力を持っていることを意味している。

 古来より死神と天眷者でドラゴンは邪悪な存在であると認知されてきている。

 その力は魔王に近いこともあり国一つを一夜で滅ぼすほどと伝承で伝えられているくらい邪悪で禍々しいものである。


 相応な力と巨体を持つ黒竜を前にして握る武器に力が入る。

「魔王に近い悪魔とやり合うのは初めてだな」

「私もです」

「俺もだ」

 ドラゴンを前にして魔王と戦ったことがないアイオラ、オティエノ、ファビオが気持ちが高鳴るのを感じながら構える。

 その時、黒竜が顔を上げた。そこから感じたのは口に力が集まっていることとその動作が明らかにドラゴンを象徴する攻撃の前兆であるということだ。

「逃げろ!」

 ハロルドの言葉が言われるまでもなくアルフレッド達はその場から大急ぎで逃げ出すとその直後に黒竜は口から青い炎をしたブレス吐いた。

 炎はまっすぐに吐かれ壁へとぶつかり周りを巻き込んで一瞬にして燃え上がらせる。

「うわっ……」

 炎が吐かれるまでの動作の短さと偉力にオティエノは驚いて呆然としてしまう。

 壁を壊していてもおかしくなかった。そうしなかったのはあのブレスがただの威嚇であっただけ。もしも先程よりも高威力のブレスが放たれていたならエクレシア大聖堂の一部を破壊してサンタリアが火の海となっていたはずだ。

 そうならなくてよかったと思うべきか驚異と感じていいべきか困るところである。

 しかし、一つで実力は分かってしまう。

「相当なものだなこれは」

「倒すまで時間がかかるな」

 全員でかからなければならない。そう直感した。



 黒竜のブレスが通った近くではモルテとハンプティが間合いを取っていた。

「ハンプティ、貴様まさか……」

「そのまさかだ。あれから俺は力を磨き蓄えた。それにより今は魔王だ!物欲の魔王サルガタナス!」

「やはりそうか」

 ハンプティ改め魔王サルガタナスを刈り損ねてからの年月と先程の攻防が明らかに上級とは違うことから魔王になっていてもおかしくないことにモルテの表情が歪む。

「あの時、貴様が刈られてさえいればこの様なことになることはなかったのだな」

「俺を刈れなかった死神を恨んでいるのか」

「ほざくな!貴様とやり合った死神がどの様になったか知らずに言うな!」

 魔王サルガタナスがまだハンプティとして現れた事件をモルテは当事者として知っていた。


 モルテがまだ流れとして旅をしていた時にその事件は起きた。

 当時滞在していた死神が多くいる街に上級悪魔が下級・中級を引き連れて街に宣戦布告と称して襲って来たのだ。

 流れとして滞在していたモルテも街を守るために戦いを繰り広げて悪魔を退けるも少なくない死神が犠牲となった。

 その中にはモルテと親しくしていた死神もおり、その死神は指揮している悪魔を刈ると言い一人で飛び出して相討ちの末に指揮していたハンプティを刈った。

 そう思っていただけにその死神の命だけが失ったという事実に怒りが湧く。


 モルテは鎌を上げると思いっきり降り下ろして床を粉々に砕いてしまった。

「ちょっ!?」

「ええっ!?」

 突然の音に何かと見た七人の死神(デュアルヘヴン)や枢機卿が驚きの声を出す。

 砕いた床には穴が空いており、そこにモルテと魔王サルガタナスがいるのだ。

 モルテはまだ完全に砕けず落下していない欠片を蹴ると魔王サルガタナスへと向かう。

「無駄なことを」

 魔王サルガタナスは床がなくなったから何だと上に飛ぼうとする。

 だが、そうはさせまいとモルテは先程よりも早く鎌を振るい阻止する。

「行かせるものか!」

「無駄だと言っている!」

 離れまいと魔王サルガタナスの腕に鎌の柄を絡ませるモルテ。

 魔王サルガタナスはモルテから離れようとするも何故か出来ない。

「何故だ!?何故いかない!?」

 魔王サルガタナスは瞬間移動で離れようと試みるも何故か瞬間移動が出来ずに困惑する。

 その間にもモルテと魔王サルガタナスは出来た穴の下へと落ちていく。

「モルテ!」

「来るな!」

 それに気がついたアイオラが叫んで駆け出すもモルテが鋭く止める。

「魔王サルガタナスは私が刈る!」

 そう言ってモルテは魔王サルガタナスを捕まえて急降下して穴へと落ちて行った。

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