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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
10章 教皇選挙(後編)
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切り落とされた混乱

 ラルクラスの突然の申し入れは枢機卿が重要であるから現在行われていたことであり、静まり返っていたざわめきが再び沸き上がり先程にも増す。

「皆さん静粛に!静粛にお願いします!」

「何故その様なことをおっしゃいになるのですか」

死神デスどういうことかご説明を!」

「死神、何故その様なこといきなり申すのですか?」

「お答えください!」

 セルが冷静にと促して呼び掛けるも一部枢機卿からは怒号がラルクラスに向けて飛ぶ。

 その反応に七人の死神(デュアルヘヴン)は声を荒らげる枢機卿を軽蔑していた。いくら高齢であろうがこの場は冷静になって説明を聞くことが最適である。何故怒鳴りながら聞くことしか出来ないのかと嘆かわしく思う。

 しかし、ラルクラスはフード越しからであるが澄ました様子である。

 ある程度の反応が予想出来ていたことと投票結果が発表される直前で間に合ったということもあって気持ち的には余裕。しかし、ここで本命を口にすれば火に油を注ぐようなものであるから落ち着くまで黙り込むことを決めているだけなのこと。


「静粛にお願いします!落ち着いてください!」

「皆さん、話が聞けません。どうかここはお静かに!」

「喚いている者達よ落ち着きなさい。このままでは死神デスがこの様なことを言った理由を言えないだろう」

「場をわきまえ言葉を慎めよ」

 祭壇から降りて呼び掛けるセルとメッドだが鎮まる気配がなく仕方がないとヘイゼルとルナマリアが一括するとざわめきは徐々に小さくなっていった。

 静かになったことでセルは改めてラルクラスに尋ねた。

死神デス、中断とはどういった理由でその様なことを?」

「率直に言おう。この中に悪魔とその関係者が紛れ混んでいる」

 瞬間、枢機卿からどよめきが起こる。

「あり得ませぬ!悪魔がいるというなら我々が分からないことなどないはずです」

「……二人とも」

「はい」

 一人の枢機卿の最もな発言にラルクラスはあらかじめ領域ので連絡を入れていたオティエノとファビオに声をかけた。

 そして二人は予め領域を使って確認をした扉の両端にしゃがむと床下に埋められていた悪魔の道具を引き抜いた。

 二人が手にする黒い塊。それを近くで見ていた枢機卿の顔が僅かに青ざめた。

「悪魔はこういった道具を作り出して此度の教皇選挙に入りこんだんだ。自らが教皇となり私を殺す足掛かりとしてだ」

 目の前の物体から悪魔の気配が感じられた以上は枢機卿の中に悪魔がいることを認めなければならず、さらには目的が枢機卿であろうが天眷者にとってしても不都合であることを押し付けられる。

「こういった道具はエクレシア大聖堂の至る場所に埋め込まれている。これだけで悪魔の存在を全て感知するのは難しいことだ」

「では、何故この中に悪魔がいると申されたのですか?いえ、そもそも如何様にして天眷者である既にが悪魔になっていると申すのですか?」

「調べたからと言おう。元々はしばらく前に悪魔が不審な行いをしていたのを目にした程度であったが、まさかこの様なことを考えていたとは思いもよらなかった。そうであろう?ササイ、シャルマン、カルミニアン、コーデル、ライネラ、ヘーゼ……」

 そう言うとラルクラスは声を鋭くさせて悪魔とその関係者の名前全てを読み上げ始める。

 名前を言われた枢機卿は驚き、他の枢機卿から注目を浴びることとなった。

 その数は出馬している5分の1であるが、中には有力者も含まれていたり実績を残した者がいる為に驚きはさらに増す。

「以上の者が悪魔と関係者だ」

「お待ちくだされ!」

「何故我々が悪魔であると言われなければならないのですか!」

「いくら調べたと申しましても根拠がないではありませんか!」

死神デスがその様に申しましても我々が納得出来ません!」

 一斉に反発を起こす悪魔認定された枢機卿。

 名前を上げられなかった枢機卿は既内心でホッとするが、反発する同じ枢機卿を疑心の目で見ている。

 悪魔の気配が感じられない今は自分で調べる術はなく、ラルクラスの言葉が混乱をもたらしただけである。


「では、納得するものがあればよろしいのですか?」

 混乱に陥った場に更なる混乱の種が埋め込まれた。

 枢機卿全てが聞き覚えている声、もう聞くことがないと思っていたばかりにまさに不意討ちのようにして聞こえた言葉に教皇選挙に関わっている全てが声がした祭壇へと振り向く。

「お久しぶりです」

 そこには死神を示す黒ローブを羽織る先代死神(デス)ハイエントと教皇の祭服を着たヴァビルカ教皇が場を見渡すようにしてそこにいた。

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