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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
10章 教皇選挙(後編)
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悪魔になる理由

 地に芽吹く回廊では多数の悪魔が待ち構えていた。

「ようやくか?」

「いい加減に待ちくたびれた。早く来い!」

 死神(デス)七人の死神(デュアルヘヴン)が扉を開けて入って来るのを今か今かと待ち構える悪魔達。

 アルフレッドとユーグが扉の前まで訪れた時に待ち構えていたのだが一向に入って来ない為に待ちぼうけされたのである。

 それなら悪魔から打ってかかればいいのにと思うかもしれないが上級悪魔の命でそれが出来ずにいることととある理由により扉を開けて襲いかかることが出来なかったのである。

 また、天眷者が近くにいるはずなのに何故彼等が近くにいる悪魔に気づかないのか。それも含めて悪魔が打って出ない理由でもある。

「来い死神ども!」

死神デスの命も食らいつくしてやる!」

 ギラギラとした獣のごとき目と気合いに扉が開けられる瞬間を待つ悪魔。


 その時、

「潰れろ!」

「くぎやぁぁぁぁ!!」

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

 突如として悪魔の頭上に出現したオティエノが現れるなり領域で付近には悪魔を圧縮してしまう。

 突然の出来事と圧縮に耐えきれるわけなく断末魔を上げて動くことのない肉の塊と変わる同胞の姿に生き残った悪魔がどよめく

「し、死神!?」

「何故扉を開けずにここに!?」

「お前達の考えに付き合うとでも思っていたのか?」

 未だに驚いている悪魔達をオティエノは死神の武器である杖を振るいながら刈っていく。


 どうもこういう場合は目的地付近にはそれなりに強い敵か数多の敵が待ち構えているのがお決まりである。

 そんな常識やお決まりに付き合うつもりはなく、それなら不意討ちをすればいいと乗り込んだのである。

 結果はご覧の通り効果覿面。感知にはいくらか不安はあって悪魔の数は完全に把握出来なかったが常識を考えてしまうと手の内が分かっている為に最良の手である。


 オティエノの出現に振り回される悪魔達だが、突然背後から大きな音と共にものすごい勢いで飛んで来た物体に数体の悪魔が下敷きになる。

「たったこれ程か」

 扉があった場所には重圧そうな扉はなく、変わりに足を上げたモルテがそこにいた。

「うわぁ~……」

 ここまでのモルテの行動を見ていたディオスはフード越しであるにも関わらず見て分かるほどに引いていた。

「死神!」

死神デスだ!死神デスがいるぞ!」

 扉が吹っ飛ばされたことで何事かと見た悪魔がラルクラスがいるのを見て同胞に知らせる。

 その発言に我に帰ったディオスが慌て出す。

「扉を蹴り飛ばしたのは間違いだったんじゃないですか!」

「問題ない」

 しかし、ラルクラスは今のこ状況へと繋がったモルテの行動を咎めることはなく肯定する。

 そんなやり取りを交わす間に悪魔がラルクラスめがけて駆け出すが、僅か数秒で最前線にいた悪魔がモルテによって刈り取られる。

「私を忘れるものではない!」

 間にいたはずなのに完全に見向きされていなかったことへの腹いせにと悪魔を刈り始めるモルテ。

 悪魔は何としてでもラルクラスに近づこうと抵抗をしてもモルテの前にそれは不可能で呆気なく刈られていく。

 さらに……

「ラルクラス」

「後ろからは?」

「今のところはいない」

「そうか。時間も惜しい。やってくれ」

「了解した!」

 ラルクラスの許可を得たアルフレッドが悪魔討伐へと参戦したことでさらに悪魔が刈られていく。

「さすがです」

「予定通りだ」

 刈り取っていく様子が清々しく感嘆するラルクラスとユーグ。


 そんな二人とは別のことを考えるディオス。

「どうして悪魔って存在がいるんだろう?」

 元は人間であったはずなのにどうして生霊(リッチ)不死者(アンデッド)の様に人間を捨てるのか分からないディオス。

 その発言に驚いた様子でラルクラスとユーグが凝視する。

 それからしばらく考え込んでラルクラスが口を開く。

「知らなくても仕方ないことか」

 いくら死神の関係者とは言え力を持たない人間である。しかし、ここまで悪魔、死神デスと関わった人間はおらず、もしかしたらこれから先も関わることを考えてラルクラスは教えることを決める。

「悪魔になるには二つある。悪魔が人間を悪魔にするか、人間が悪魔になるかだ」

「……悪魔が人間を悪魔にするのは何となく分かりましたが人間が悪魔にってどういうことですか?」

「悪魔になる人間は一つの執念に取り付かれて自滅した者達だ」

「自滅!?」

「命を落としたわけじゃない。根深い未練を抱いたまま死に損ねた者達だ」

 全く救い用のないフォローに口を開けてディオスは呆ける。

「そうした者達が抱く感情は共通している。この世への怨みだ。それが様々な要因と合わさり悪魔へとなる」

「……」

 これを可哀想か、もしくは惨めか分からないが、悪魔になってまでも世界を恨む気持ちがディオスには分からない。


 そんな自問自答を心の中で繰り広げていると背後から複数の足音が聞こえてきた。

「遅れて申し訳ございません」

「来たか。早速だがここの悪魔を頼む」

「はい!」

「分かりました!」

 遅れてやって来たアイオラ、ハロルド、ヤード、ファビオがラルクラスの言葉を受けて悪魔刈りへと参戦する。

 こうして七人の死神(デュアルヘヴン)が揃ったことでそれなりに減っていた悪魔は1分かからず全て刈られたのである。

ようやく七人の死神(デュアルヘヴン)が合流した

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