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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
2章 葬儀屋の仕事
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動き出す葬儀店

 葬儀屋フネーラからチャフスキー葬儀商へ向かう途中でディオスは途中にある商業街の郵便局に足を運ぶことにした。

 大通りを道なりに進めば楽なのだが旧住宅街と富裕街は距離がある。ならば郵便局で手紙を出す方がいいだろうと思い郵便局へ向かうことにしたのだ。

 途中で封筒の送り先の宛名を見る時間があったからじっくりと見られた。

 送り先は「クロッサセス時計商」であった。

(どうして時計商に?)

 葬儀屋と時計商に一体何の関係があるのかと考えていると、

「早く行こ~」

 とミクが急かしたので急いで郵便局へと向かった。

 郵便局に着くとまずは切手を買うことにした。封筒には切手が貼られておらず、モルテから渡された代金で切手を買い、封筒に貼って配達を頼んだ。

 これで後は富裕街にあるチャフスキー葬儀商の用事だけである。

「それじゃ道案内をお願いしてもいいかな?」

「うん」

 チャフスキー葬儀商の場所が分からないディオスの言葉にミクは頷くとディオスを引っ張って案内を始めた。


* * *


 その頃。

「ういぃ~……」

 トライアー葬儀店では気絶していたガイウスが気がついて店内へと足を運んでいた。

「おはようございます社長」

「うぅ~オスロー、どれくらい寝てたぁ?」

「六時間程かと」

「おぉ~、それはよく寝たなぁ~」

 帰ってきたオスローの回答に頭を一、二度振るガイウス。はっきり言って気絶にしても六時間はよく寝たではなく寝過ぎである。

「それと、少し前にモルテさんと新しくフネーラが引き入れた従業員ディオスさんが訪れました」

「顔見せかい?」

「はい」

 素直に答えるオスローにガイウスはガクリと肩を落とした。

「それねぇ、なぁ~んで起こしてくれなかったの?」

「申し訳ございません。起こす隙がございませんでした」

 頭を下げて述べた言葉にガイウスは再びガクリと肩を落とした。

「顔見たかったなぁ~」

 そして、徐々に落ち込んでいくガイウス。流石に見ていられなくなったオスローは励ます為に次の言葉を言い出した。

「近い内に顔を見ることが出来ると思いますが」

「ん?どぉゆうこと?」

「今朝の新聞はご存じですか?」

 オスローの一言に今まで落ち込んでいた表情のガイウスが一瞬にして険しい表情になった。サングラスをしている為に初めて見る者は分かりにくいが、分かる者には感じ取れるほどすぐに分かる。落ち込んでいた時の面影など感じられない程に。

「モルテさん達が訪れた理由はハイネロテ病院から遺体を運んで来て下さったからです」

 オスローはガイウスに二人がトライアー葬儀店へ訪れた理由を述べた。

 ハイネロテ病院とはカリーナの遺体が運ばれ一時的に保管していた病院の名前である。

「あ~、そういやオスロー、車の免許持ってなかったもんな~」

「はい。電話がかかってきましたので頼んで運んでもらいました」

 正確には拒否する前に電話を切り無理矢理運んでもらったのだがそれは言わないオスロー。

 厳密にはモルテがディオスの学友の様子を見たついでにトライアー葬儀店に運ぼうと考えており運ぶための許可を貰おうとしていたのだ。だから拒否することはなかったのだがそうとは知らないオスローが便乗する形で無理矢理頼み込んだと思っているだけである。

 しかし、二人の会話から分かる通りトライアー葬儀店にはオスローが運転出来ないという欠点がある。

 車は15歳から運転出来るのだが運転をする為には許可書となる免許が必要であるのだが、残念ながらオスローは長いこと勤めているにも関わらず修得にいたっていない。よって、ガイウスがいない時に車が必要となる仕事、気絶して動けない際は外に出ることが出来ず完全に開店休業状態である。どうしても外に出なければならない仕事があった場合は葬儀屋フネーラやチャフスキー葬儀商に運ぶのを頼むものだから困りものである。

「それでぇ、モルテはなぁんて言ってたぁ~?」

「喰われていた、と。私も確認をいたしました。」

「そおかぁ」

 オスローの険しい表情にガイウスはうんうんと頷きながら聞いた。

「それでぇ?」

「はい。外出の許可を下さい」

「おう、行ってこい!」

「ありがとうございます」

 オスローはガイウスに一礼すると素早く店から出て行った。

 ガイウスはサングラスをかけ直しながら呟いた。

「さぁ~て、何が出て来るかねぇ~」

 そう言って遺体を保管している保管場所へと向かった。

うっ、これはしばらくお休みするのも考えないといかないのか……?

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