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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
2章 葬儀屋の仕事
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奇妙な会話

 正直言って、見たくないと思ったのは父親の死んだ姿を見た時以来だとディオスはトライアー葬儀店に向かう車の中で思っていた。


 カリーナの遺体は悲惨なものであった。それこそ口で説明が出来ない、したくないと思うくらいに酷く、初めて葬儀店フネーラを訪れて生々しい遺体を見た時の比ではない。

 処置が終えられたカリーナの遺体を見た時、ディオスは言葉を失い、カリーナの母親であるマミューはその場に崩れ落ち泣き出す程に、いくら処置を行ったと言えど状態が酷すぎた。

 遺体を運び出す際はどこかで気持ち悪くなって吐くかもしれないと思った。そんなことを思いながら一階の裏口に停めている霊柩車までモルテと監察した医者と看護師数名で運び出した。

 車に乗せて運ぶ間、ディオスはただただ無言、口を利けなかった。学友の死というものを改めて実感していたからだ。


 そんなことを考えているとゆっくりと車が停まった。

「着いたぞ」

 モルテの言葉にディオスは顔を上げると急いで車から降りた。

 目の前の建物には「トライアー葬儀店」と書かれた看板がかけられていた。

「ここがトライアー葬儀店」

 三つある葬儀屋の内の一つ、新住宅街に店を構えるトライアー葬儀店の建物をディオスは見上げた。

 そんなディオスの様子を気にせずモルテはトライアー葬儀店の扉を開けた。ドアベルは付いていない為に鳴らない。

「オスロー」

 開けるなりモルテは店内に叫んだ。突然の叫びにディオスは驚いてモルテを見た。

 すると一人の体格が細い男が出迎えた。

「モルテさん、お早い到着ですね」

(この人がトライアー葬儀店の……?)

 出迎えたオスローが店長なのかと考えるディオスにモルテが感じ取ってか説明を始めた。

「こいつはオスロー。この店の社員だ」

 違ったのかと思う一方で何故従業員ではなく社員と名乗っているのか不思議に思うディオス。

「オスローと申します。今後よろしく」

「あ、ディオスと言います」

 そう思いながら突然の自己紹介に答えたディオス。

 そう言えばアシュミストの葬儀屋は協力関係にあるとモルテが言っていた。これから先も関わるかもしれないと考えた。

「ガイウスはどうした?」

「社長は寝室で寝ております」

「どうして!?」

 自己紹介が終わるとここにはいないトライアー葬儀店社長の話になった。だが、思いも寄らない回答にディオスが驚いて声を上げた。

「今朝早くに打ったゴルフボールがどうゆうわけか戻ってきまして、それが社長に直撃して倒れたのです」

「………え?」

 オスローの言葉にディオスの表情が硬直した。今朝起きた出来事をよく知っているが故に。

(まさか、あの火の玉ってゴルフボールだったのか!?それをここまで打ち返した!?)

 言葉に出すと詰め寄られると悟ったディオスは言葉の中で突っ込みを入れながら恐る恐るモルテを見た。


 実際は火の玉となったゴルフボールをモルテが受け止めながら打ち上げ、アドルフ、マオクラフの順にガイウスへ打ち返したのだがそうとは知らないディオスはトライアー葬儀店まで距離があるのにモルテ一人でトライアー葬儀店のガイウスまで打ち返したと思っている。もしそうなら葬儀屋フネーラまで打ち飛ばしているガイウスについても気づいて突っ込みを入れないといけないのだがそこまで気づいてはいない。

 ちなみに、打ったゴルフボールがトライアー葬儀店まで打ち返されていると気づいていないのは当店を営んでいるガイウスとオスローだけである。


「雑談はいい。中に入れるぞ」

「分かりました」

「ディオスも手伝え」

「は、はい」

 無駄話だとモルテが二人に運んできた遺体を店内に設けている遺体保管場所に入れると促した。その言葉にディオスとオスローが会話を止めた。

 車の後方部をモルテが開けるとオスローと共に三人で遺体を持ち上げると車から出した。

(お、重い……)

 持ち上げた際、病院で運んだ時よりも重く感じてディオスは驚いていた。

 たか、そんなことを驚いている暇もなく三人で店の遺体保管場所まで運ぶと、オスローが前もって準備していた場所に遺体を置いた。

「重くありませんでしたか?」

「重かったです……」

 オスローの言葉に素直に答えるディオス。その表情には疲労が僅かに浮かんでいた。

「まったく情けない」

 そんなディオスの様子に疲労を浮かべていないモルテが毒づく。

 すると、オスローがモルテを険しい表情で見た。

「それで、どうでしたか?」

 オスローの言葉が何を言っているのか理解しているモルテも険しい表情を浮かべたまま一言。

「喰われていた」

 その一言に一体何なのか何を指しているのか分からずディオスは疲労を浮かべたままモルテ、オスローと見るた。

 モルテは険しい表情のまま、オスローが腕を組んで考え込んでいた。

「あの、一体……」

「帰るぞディオス」

 尋ねようとした矢先、モルテが葬儀屋フネーラへ戻ると言い出した。

「はい」

 店長の命だとディオスは変事をすると急いでトライアー葬儀店を出た。


 葬儀屋フネーラまでの帰り道、ディオスは車に乗っている間、カリーナの遺体の状態を思い出しては死因の原因は何なのか、モルテが一体意味は何なのかを考えていた。

はっきり言いまして飛び降りた遺体についての描写はかなり心が痛いです。

直接見た人から聞いたり調べたりしたので言えることですがすごく酷いです。

細かく書いていたらR15じゃすまないだろうと思っています。

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