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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
10章 教皇選挙(後編)
336/854

教皇選挙の段取り

本日は短くてすみません。

最初の段取りの説明で力尽きました……

 ロード教の教皇選挙は前教皇の喪服の翌日、14日後に行われる。

 しかし、選挙本番が始まる正午までにはいくつかやらなければならない式がある。

 それが朝の礼拝ミサと棺納めである。


 朝の礼拝ミサは選挙権がない者や一般人等と共にいつもの祈りを捧げると共に前教皇の冥福及び天国シエラへ赴いたことを祝福するのである。

 それが終われば墓地の安置所に置かれている前教皇の遺体を正式な棺に入れて石棺に納める式である。

 それらを正午までに終えてようやく教皇選挙であるが、投票する前にも手順というものがある。


 教皇選挙が行われる場所は北館と東館の間にある「秘密の中庭」と呼ばれる部屋で行われる。

 中庭と部屋の名前に付いているのは、中の壁が植物とそこに集う鳥達、いわゆる天国シエラという楽園をイメージした部屋だからである。

 その部屋まで出馬資格がある枢機卿は列を成して部屋へと入る。そして集まると宣誓文が唱えられて様々なことについて守ることを義務付けられる。

 そうして関係者以外は退出され、部屋の扉に鍵がかけられてようやく教皇選挙開始である。




 今は最初の礼拝ミサが始まった頃。

 いつも以上に多い祭服の姿が目を引くが、祭壇に上がって話をする儀典長の話が長いなと感じてしまう。

 しかし、儀典長の話す声しか響いていないと言うのに大礼拝堂は静粛した雰囲気に包まれていることを感じてしまう。

「話では確か前に座っているのが出馬する枢機卿だったな?」

「そう」

 大礼拝堂を覗き込める場所柄確認の為に尋ねたアルフレッドにオティエノは頷いた。

「しかし、本当に枢機卿から悪魔の気配がしないな……」

「ただ悪魔関係者と関係を持っているだけだと思うのが俺の考えだ」

「……ここから先、手を出せないのは歯痒いな……」

 昨晩あった集礼の儀での様子をオティエノは話してくれたが、それを思い出すとどうしても歯痒く思ってしまう。


 教皇選挙はロード教の重要行事である為にそこに死神が言及及び要望を言うことは出来ない。

 一部を覗いて介入は許されているが、あくまで死神とロード教は別々の存在である。

 死神は死神、ロード教はロード教と区別をしている為に互いに勘づくことがあっても聞くことも手を出すことが出来ないのである。

 故に死神(デス)であるラルクラスを含めて七人の死神(デュアルヘヴン)は介入が出来ず、悪魔関係者でない者が教皇になってほしいと願うのである。


 時間を確認して始まってそれほどたっていないことを知る。

 そして領域を使って外にいるファビオに繋げた。

「ファビオ、悪魔は?」

「ぼちぼちだな。アイオラとハロルドが対処している」

「そうか。こっちは礼拝ミサが終わったら取りかかる。その時にまた連絡を入れるから入口を塞いでくれないか?」

「分かった。気をつけて」

「そっちもな」

 外の状況と今後の対応を話し合うとアルフレッドはオティエノに言う。

「最初は任せる」

「ああ」

 礼拝ミサが終わった直後を任されたオティエノは静かに礼拝ミサが終わるのを待ち構えた。



  ◆



 墓地の安置所ではラルクラスがモルテ、ヤード、ユーグを率いて棺納めの準備に取りかかっていた。

「これで全てか」

「ああ」

「しかし、いつの間にこれを?」

「隙を見てだ」

 こらから必要になるものを全て出し終えるといつの間に準備していたのか気になるヤードにラルクラスは平然として言う。


 ヤードが何故このような質問をしたかと言うと、棺納めがあることをラルクラスから聞いていたことと、ヴァビルカ教皇の弟で影武者として呪で亡くなったキャメロンの遺体を保存出来るようにモルテと共に処置をする機会があって何度も訪れているから、安置所にいつの間にかあったそれらに驚いたのである。


「ヤード、時間がない。すぐに終わらせるぞ」

「……そうですね」

 まだ弱冠驚きが抜けきれていないがモルテの言葉に動けるようになったヤードはこれからの準備に動き出した。


 それから1時間後、上から複数の場所から死神の力を感じるのである。

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