教皇選挙まで
投稿時間をミスしましたが10章開始です!
ロード教の最大の行事は幾つかある。
その内の一つである教皇選挙が二日後と迫った真夜中、その舞台となるサンタリアには殆ど人影がないというのにあちらこちらで影が動いていた。
そして、その影を追う影もまた動いていた。
「オティエノ、数は?」
「二体!立ち向かうようにしてわざと速度を落としている!」
「舐められたものだ!」
オティエノと領域の応用で話しのやり取りをしながらハロルドは走る足を止めることなくハルバードをもったまま真っ直ぐに走って行く。
「挟み撃ちするようにモルテも向かって来ている。だから少し時間をかけても問題はない」
「時間はかけない、すぐに終わらせる!」
そう宣言したハロルドの目前には先への進行を防ぐように悪魔が構えていた。
しかし、それが何なのだと叫ぶ。
「引っ込んでいろ!」
そしてハルバードを振るいだした。
一方のモルテはハロルドが追いかけていた内の悪魔二体を目視で捉えるとその場で鎌を横にして構えた。
「どこへ行こうと言うのだ?」
そのまま前方へ一振り、斬撃が悪魔二体を真っ二つに切り裂いた。
「ファビオ!」
「了解!」
それを見届けてまるで手筈を踏んでいたようにこの場所にいないファビオの声が響いたと思うとモルテが放った斬撃が何処かへと消えた。
消えた斬撃はサンタリアの何処かへと飛ばされ、現れたと思うとすぐに悪魔を五体を切り裂いた。
「うわっ、本当に飛ばしたんですね!?」
「飛ばすだけなら簡単だからな」
突然現れた斬撃に月鎌を手にして驚くアイオラに隣に立つファビオが何ともないと言う。
「そして、これでこっちは終わり!」
ファビオは駆け出すと運良く斬撃を避けた悪魔を籠手で叩き潰した。
これで双方合わせて二桁を越える悪魔を刈り終えた。
「オティエノ残りは?」
「西側に7、北に10。北は今アルフレッドとヤードが向かった……ああ、西側の壁を越えて侵入して来たのが5!」
「そこは私達が向かいます。ファビオ、モルテと交代をお願いします」
「了解」
悪魔の増援を聞いてファビオは別の場所にいるモルテと領域の応用で互いの位置を入れ換えた。
実際、ハロルドのサポートをするためにモルテとファビオは位置を入れ替えたのを元に戻しただけなのだ。
入れ替わって早々にモルテは悪魔がしたことにぼやいた。
「壁を越えるとはな。相当馬鹿をやったものだ」
「正門を通ったらすぐにバレると思ったからでしょう。殆どは正門からでないですし」
「そうであろうがなかろうがオティエノが見ている以上はすぐに見つけられるものだろう?」
「そうですね」
オティエノが三ヶ所の現場にいないのは別の場所で一人でサンタリアに侵入してきた悪魔の行動を把握する為だ。
だから何処から侵入しても無意味なのにだから諦めろと思うも、入って来ては仕方ないと思う。
「さて行くか」
「はい」
領域内無限移動であっという間に西側の悪魔の元へ飛んで行くモルテとアイオラである。
* * *
その様子をエクレシア大聖堂、死神の部屋からオティエノが覗いて見ていた。
「どんな感じだ?」
「今日も順調です。順調過ぎて気味が悪いくらいに何もないです」
「そうか」
今代の死神ラルクラスの言葉にオティエノは変わらないと伝える。
死神達が今回の真相を明かし危惧していることを話した日から七人の死神は行動を変えていた。
エクレシア大聖堂に潜んでいる悪魔とその関係者を探り出すこと、そしてその日の真夜中から押し寄せる様になってきた悪魔の討伐である。
エクレシア大聖堂内の探りは話し合いの末にこちらも向こうも予想できない探り方をするとして、今後に響かない程度の探りが行われるようになった。
そして真夜中に押し寄せる悪魔はオティエノのファビオが交代で位置確認をする以外は二人一組で悪魔を刈るようになった。
どちらも死神の力を使って行っていることである。
「もう三桁をいってるのに……」
「悪魔も本番は教皇選挙と決めているのでしょう」
「それはつまり、これは様子見と?」
「だろうな」
「私もその様に思っております」
討伐した数とは対象に行動を起こして来ないこ悪魔の行動はこれだろうと先代死神ハイエントと偽装死により死んだことになっているヴァビルカ教皇がその背後を見据えて言う。
その話しにラルクラス溜め息をつくとユーグに語りかけた。
「ユーグ、まとめは?」
「今終わった」
ペンを置いてまだインクが乾ききっていない紙をまとめるとラルクラスに渡した。
「これがコルクスと七人の死神が集めたやつ……です」
オティエノがいるから口調を変えたユーグはそのままラルクラスに渡すと、ずっと書き続けていたためか右腕を回して疲れを取ろうとする。
ラルクラスは書かれたものをのぞ仕込むと顔を歪めた。
「数が多いとかそう言う問題ではないぞ!」
あるところが予想以上なことに残りの三人も覗き込むと顔を歪めた。
「……警備員や助祭ならまだいいが司祭達にいるとは思わないぞ」
「これじゃヴァビルカ教皇が危惧するわけですね?」
「はい、命がいくつあっても足りません」
「お前は絶対に死なないだろ!」
重大なことなのに軽口を叩くヴァビルカ教皇にハイエントが鋭く突っ込んだ。
そして、心配そうにラルクラスを見た。
「……しきたりとは言えどうなるか分からない」
「分かっている。だから七人の死神を二人程連れて明日の集礼の儀に出るつもりだ」
死神にとって最初の関門が刻一刻と迫っていた。
明日から時間を元に戻します




