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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
2章 葬儀屋の仕事
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学友の死

投稿して1ヶ月経ちました。意外に毎日投稿できるものなのだと驚いています。

 朝食後、モルテは先日預けた男が今朝になっていなくなったことを知らないディオスに説明を終えたところだった。

「つまり、気を失っていただけなのに警部さんが二人の警官を試す為に置いた……と」

「そうだ。これはお前にも言えることだ」

 頷いてコーヒーを飲むモルテ。

「葬儀屋は確かに遺体を扱うが過程として触れる機会が多い。医師程とは言わんが直接持ち込まれた際、足を運んだ際に不審な点を見つけ確認をしなければならない。それをいかなる場合も怠ってはならないということだ」

 それを聞いてディオスは今までの出来事を思い出す。それは今にしてみればおかしなことだった。

 マオクラフが預かって欲しいと言う言葉にモルテは強く断わり、ミクは男に水を飲ませようとしていたし、アドルは首を突っ込むなと言い、ファズマはディオスに落ち込むではなくへこむと言っていた。

(もしかして、生きているって分かっていた?)

 思い出される様子にディオスは男の生死が分からなかったのが自分と警官二人であることにたどり着く。

(何か、頑張って説得した意味ってあるのか……?)

 昨日の男の家で男の娘に会うようにと説得した意味があったのかと自問自答をしてへこむディオス。

 結論を言ってしまえば確かに生きていると連絡がされる為に意味はないのだが男の娘自身が自分から会いに行こうと決めた為にけっして無駄ではない。

「すごくへこんでるね」

 ディオスのへこみ様にミクが呟く。

「今回の件に首を突っ込んだのだろう」

 そう言ってモルテはへこむディオス様子を気にせず新聞を読み始めた。ディオスに指でつつくミクを面白そうに見るファズマを気にせず。

 そんな様子が新聞を読むモルテの左目が鋭く変わったことで打ち切られた。

「これはまた……」

「どうしたんですか店長?」

 モルテの呟きを聞き尋ねるファズマ。モルテの目付きはまだするどい。どことなく怖くも感じる。

「読んでみろ」

 そう言って読んでいた新聞の記事を表に出してファズマに渡した。

 新聞を受け取ったファズマはその記事を覗き込むミクと共に読み始めた。ディオスはまだへこんでいる。

 新聞の記事にはこのように載せられていた。



 本日、新住宅街メログラーノ通り建設現場にて10代と思われる女性の遺体が発見された。その後、遺体はカリーナ・ルダンと判明。―――



「カリーナ!?」

 突然、ディオスが驚いた表情で叫んだ。

 その声に記事を口に出して読んでいたファズマと聞いていたミクが驚いてディオスを見た。

「知っているのか?」

 モルテの問にディオスは無言で頷いた。

「……学友です」

 その言葉に短い沈黙が流れた。

「ファズマ、続きを」

「はい」

 沈黙の中、モルテのはファズマに続きを言うように指示。質問されるよりも記事の文を聞かせた方が状況を理解するのが早いからだ。

 ファズマは残りの記事を読み始めた。



 死因は身体を強く打ち付けたものと判明。警察は建設中の建物から飛び降り自殺したものではないかと調査をしている。―――



 そう言ってファズマは新聞を下ろした。

「以上です」

 内容を全て聞いたディオスは知らず知らず手を握っていた。

「どうして……」

 まさか同年代の知り合いが自分から命を落としていたとは思わなかったディオスは顔を歪めて呟いた。

 一体何があったのか。今のディオスにはその理由を知りたくて仕方がなかった。

「いくつか質問をさせてもらう」

 ディオスの表情を見て何かを考えていたモルテがディオスに尋ねた。

「ディオスから見て学友、カリーナはどう見えた?」

「優しく他人思いです」

「嫌う者がいると思うか?」

「いないと思います。カリーナは他の学友から好かれていました」

「なら、自殺をしたいと思うような理由があったと思うか?」

「それこそありえません!」

 モルテの質問につい声を上げてしまったディオス。

「あ……すみません」

「いやいい。話を続けてくれ」

 己のとった行動に謝るディオスにモルテは話を促した。

「カリーナは家族とも仲がいい、家族仲がいいと言っていました。そんなカリーナが自殺をするとは思えません」

「なるほど。最後に会ったのはいつだ?」

「確か……四ヶ月前、仕事を探している時に新住宅街で偶然会いました」

「そうか。その時に変わったと思ったことはあるか?」

「ありません」

 それを聞いてモルテはコーヒーを一口飲むと顔を上げた。

「ならば、今からカリーナに会いに行くか」

「は?」

 いきなりのことにディオスは状況が読めず呆ける。

「行くと言ったんだ。忘れたか?私達は葬儀屋だ。人が死んだらそこに行かなければならない」

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