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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
8章 新郎と人魚の子守唄
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海水浴

 昼食を食べ終えたディオス、ファズマ、ミクは早速売店で水着を選んでいた。

「ねえ、どっちかわいい?」

 数は思っていたよりも多く、ミクが自分に合うサイズの中から目に付いたものを選んではディオスとファズマに頼んでいた。

「ああ、そっちが似合うんじゃねえか?」

 そんなやり取りを幾度も繰り返しているからか、既に水着を決めているファズマはそっけなく答えた。

「本当?じゃあこっち!」

「でもミク、いくら水着が可愛くても似合ってないと駄目だと思うよ」

 喜んでいるところ悪いとは思うが、それを含めて候補が数着となった時点でさすが我慢の限界とディオスが口を挟んだ。それに、さっさと水着選びを終わってほしいと思っている。

「ディオは分かってない!」

「いや、着た時に似合ってない方がどうかと思うから」

「かわいかったらいいの!」

「それで似合ってなかったらどうするの!」

「そんなことない!」

「ある!」

「それじゃディオはどっちがいいの?」

「どっちとかそういうことじゃ……はぁ……」

(そう言えば、ユリシアが服選びでよく聞いてきたっけ)

 この状況が財閥時代にもあったと思い出したディオスは面倒なことになったと肩を落とした。

 それからは早く終わってほしいという思いはどこへやら。ファズマを置いてディオスとミクが討論の末に両者の意見が一致する水着を選び、モルテから渡された必要経費で水着を買ったのであった。


  * * *


 宿のバルコニーから出るとすぐそこは海であった。

「海ー!いっちばーん!!」

 水色の水着を着たミクが叫びながら海へと突撃した。

「思った以上にいるな」

 海に突撃して行ったミクを見届けた緑の水着を着ているディオスと紺色の水着を着ているファズマは海岸に思った以上に海で泳いでいる人達を見て驚いていた。

「やっぱり暑いから?」

「だろうな。つか、暑すぎだろ」

 アシュミストよりも南にあるミノリア島の暑さにファズマがぼやいた。


「ファズ!ディオ!早くー!すごく気持ちーよー!」

 そこに既に海に入っているミクが元気よく手を振って二人が来るのを待っていた。

「なあディオス、泳げるか?」

「泳げるけどファズマは?」

「俺も泳げるぜ」

 ディオスは財閥時代の避暑地に湖があった為にそこで泳いでおり、ファズマとミクはアシュミストを流れる河で暑い時に泳いでいた為に三人共問題なく泳ぐことが出来る。

 どや顔のファズマにだったら何故聞いてきたのかと首を傾げる傾げるディオス。

「ならミクの所まで競争だ!負けたらシャワーは最後だ!」

「えぇぇ!?」

 そう言って合図を出さずに海へ走り出したファズマをディオスが驚きながらも慌てて後を追う。

 海に足を踏み入れたファズマは声を上げた。

「冷てっ!?」

 河ほど冷たくはないが熱くもない。どちらかと言うとぬるい方である。それに水の感覚も河とは違う。

「お先に」

「あ、待て!」

 ファズマが驚いている隙にディオスが追い越す。

 それに気がついたファズマがディオスを押し倒す。

 ルールはミクがいる所までたどり着くこと。妨害をしてはならないというルールはない。

「わあっ!?」

 よって、ファズマと共に海へと倒れたディオスは慌てて顔を上げた。辛うじて深くもなく浅くもない場所であった為に砂に顔を突っ込むと言う事態は避けられた。

 が、それとは別問題がディオスとファズマを襲った。

「しょっぺ!?」

「ひょっぱぁい!?」

 倒れた表紙に海水を口にしたディオスとファズマが吐き出した。特にディオスは海水をもろに口にした為に若干咳き込んでいる。

「海がしょっぱいって本当だったんだ」

 咳がいくらか収まったディオスは昼食時にモルテが言っていたことを思い出した。

「ファズマ、急に倒す何てヒドイじゃないか!」

「ああ?何がだ?」

「ファズマ!」

 白けるファズマにディオスは正面から押し倒した。

 そのままファズマは海水に足を取られていたこともあって踏ん張ることが出来ずに背後から海へ倒れた。

「ぷはっ、ディオス!」

「知らない!」

 海から顔を出して睨んでいるファズマにディオスは仕返しと知らんぷりをする。

 その様子にファズマの表情が一変する。

「ディオス!」

 不気味な笑みをうかべたままファズマはディオスを捕まえるとまた海へと押し倒す。

「やったな!」

 慌てて顔を上げたディオスも何かのスイッチが入ったかのように目が笑ったままファズマを押し倒した。


 それから二人は交互に海へ叩き落とし、時には二人一緒に海に倒れ込むということを繰り返した。

 その様子にすっかり置いていかれて忘れられているミクが頬を膨らませて見ていた。

「もーファズ!ディオ!あたしも入れろーー!!」

 勝手に遊び始めたことに怒ったとミクが二人の元へ泳いで向かい、

「とおー!」

「おおっ!?」

「うわっ!?」

 二人に一緒に倒れ込んで顔を上げようとした所でうつ伏せに倒れ込み、三人一緒に海へと落ちた。


 そのまま三人は二時間程海水浴を楽しみ、有料シャワーで海水を流して部屋に戻った頃には疲れてベッドに横になって寝ていたのである。

ミクと言う華があったからよかったけど、ヤローだけのイチャイチャ海水浴なんか書きたくない

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