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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
7章 幻影浮世の狐火
247/854

閑話 死神、反省会

本日は閑話連続投稿となります。

12時と14時に投稿となります。

 死神の弟子達がトライアー葬儀店でお菓子を片手に反省会を行おうとしている頃、エノテカーナでも死神の反省会が行われようとしていた。


「さて、今回の騒動だが、反省するべきことがあるなら言ってくれ」

生霊(リッチ)見つけ出すまでに死人を出しすぎた」

「時間かっかりすぎたなぁ~……」

「捜索を少数に任せていいました」

「怪火の性格を警戒しすぎて惨事となってしまった」

「生霊の姿を早く確認するべきだった」

「生霊と繋がりがある者の存在を失念していた」

 レナードの前ぶりもない直球の言葉に心当たりがあるアシュミスト死神全員がが呟く。

 さすがに一人につき最低一つ出ると思っていなかったレナードはどうするかと頭を抱えた。

 とは言え、自分にも反省点がある為に他人事の様に言えない。

 ちなみに、つららは桜花の死神であり、この件は協力である為に反省会には読んでいない。あくまでアシュミストの死神の反省会である。


「先ずは死人が出た時の対応だな」

 頭を抱えて、何とかいくつかの反省点を解消する言葉を言う。

「これは最初の対応が駄目だった。生霊が殺すのは一日に一度と言うのが二日目から分かっていた。それをうのみにしたことで怪火でありながら軽率な対応をとってしまった」

「あ~、それ警察の人間としてどうかって思う対応だな」

「アドルフが警察の人間で情報が一番に手に入ると言ったところで生霊の対応と平行してやっているとな」

「おいおい~、アドルフだけのぉせいじゃないからなぁ~」

 アドルフの対応を非難する死神達にガイウスが割って入った。

「俺だってぇ殺しおわったらぁそぉ~れで終わりっと思ってたんだぞぉ~。そぉ~れをアドルフだっけぇ~のせいとは言えないからなぁ~」

「それは認識していた私達も同じです。全ての対応をアドルフとガイウスに丸投げしていたのです。聞かれた質問にだけ答えて自分の監視下を強化していただけで手伝いをしていなければ参加もしていない」

「いやいや、監視も大切なことだから!生霊が倉庫街から出てきたら広範囲に広がっていたかもしれないし、中心で力振るわれたら今頃街はなかったかもしれないんだから」

「しかし、監視以外にやれるべきことがあったはずです。今回はアドルフとガイウスに負担をかけた私達にも原因があります」

「それ言ったら全員同罪だから……」

 葬儀業者としてアドルフから生霊の話を聞いていたはずなのに全て任せていたことをこの場で悔いるレオナルドにマオクラフがフォローを入れるも聞き入れられずに丸め込まれた。

「だから反省会だろう。この一件からどうやって次に繋げるためのだ」

 このままでは全員が自虐に走ってしまうとリーヴィオが反省会の目的、そしてこの様な惨事を起こさせない為の話し合いの場だと言う。

「そうだな。今回は怪火だから慎重さと正体に重点を置きすぎていた。怪火を倒すことは二の次だったな」

「そぉ~いや思ったんだがよぉ、レナードは生霊の場所知らなかったのかぁ~?」

 あっ!と全員がレナードを見た。


 倉庫街の火災でレナードは生霊の気配を見つけていたのだ。見つけていないはずがないと思うも、その意思に反してレナードが首を横に振った。

「悪いがそれは出来なかったな」

「レナードが!?」

 出来ないと言う言葉にリーヴィオが驚いた。領域や生霊の感知は群を抜いており、レナードの専売特許と言ってもいい。そのレナードが出来ないと言うのはよほどのことである。

「正確にいうなら出来る時と出来ない時がある」

「どう言うことだ?」

「生霊がこっちに出ていたなら感知は出来る。だが、時々それが出来ないんだ。俺はこの時は死んだ肉体に戻っているからじゃないかと考えている。元々肉体は魂を閉じ込める枷だ。例え壊れていたところで枷が本来ある魂を納める機能は働いている」

「つまり、肉体に入られると普通の人と同じで見つけられないか?」

「ああ。だが、不死者(アンデッド)は肉体を動かす時に魂が生霊みたいな反応を示す。それが分かるから不死者の存在は分かるんだが……」

「生霊じゃ難しい、不可能なのか」

「いや、俺は不死者の存在が分かるように生霊にも肉体に納まっていても分かる規則性や条件があると考えている。今はそれを考えている」

 補足をするなら、生霊と一般人、その他、全てのものには特徴がある為に見分けが付きやすいのだが、肉体に生霊が入ってしまえば感知出来ないのである。

「それがあったら被害は減るな」

 感知の思わぬ障害にガッカリするも出来る方法を見つけていると聞かされて気持ちを持ち直す。


「話を戻すが、今回のミスは前段階の連係ミスでいいか?」

「ああ。さすがに丸投げはまずかったからな」

「全員が一度は現場に行くべきだったな……」

 大惨事の理由はやはり連係不足だとこの場に居る全員の意見が一致した。

「それで、モルテの反省点が残ったんだが……」

「あれは不可抗力だろう。生霊の全体像も分かっていないなら誰の魂かも分からないのだから……」

「すまんが魂だけは予想がついていた」

「はぁ!?」

 モルテの爆弾にリーヴィオが突拍子もない声を上げた。

「現場に出てから色々と予想を立てていた。そして、私が知る限り倉庫街で行方不明になった者はスカロウしかおらず、生霊がそれではと考えていた。だが、マミューを刈った時はそれで引き金を引くとは思っていなかったのだ」

 様はアドルフ達とは違う考えの疎かから事態を悪化させてしまったのだとモルテは言う。

「いや、何度も言うがそれはモルテのせいじゃなく俺達が原因だ!」

「それは結果論だ!それに、現に事態を悪化させたのは私が原因だ!あの家族の繋がりを考えたならあり得た可能性がある!」

「ストーープ!二人とも落ち着いた落ち着いた!」

 原因は自分にあるとモルテとアドルフの言い争いをマオクラフが慌てて止めた。

「今回は皆の対応が悪い!それ以上掘り返すな!」

 それで終わりと言い放つマオクラフに何処か不満そうにするモルテとアドルフに全員が頭を抱えて、話の流れを変えた。


「とりあえず、これからのことを考えましょう」

「賛成だぁ~」

 これ以上自虐はごめんと言うところでモルテが何かを突然思い出して言った。

「すっかり忘れていたが、しばらく店を閉じる」

「はあ!?」

 突然の爆弾発言に店内はまた騒然とかした。

「何、そんなに長くは閉めん。数日だけアシュミストを離れるだけだ」

 何かを誤解している死神達に言い放つモルテであった。

これで7章完結です。次回投稿は17日です。

後程活動報告にを更新します。今回は裏話多いです

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