表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
7章 幻影浮世の狐火
225/854

領域の魔術師

 深夜まで起きていた者は少なかったであろう。

 その少ない者達は突如空に幻想的に波打つ緑の光を初めて目にして食いついたであろう。

 だが、その光がどう言ったものであり何を意味しているのか知っている者は殆どいない。

 幻想的な光は突如として緑から赤へと不自然な速さで変わっていき、空に広がる波が爆発した。

 そして、そこから何百もの星が流れ出した。



「おい!?」

「やっばいなぁこれぇ~」

「ヤバイに決まってる!!」

 爆発した光から星が墜ちて来るのを目視で確認した死神倉庫街組は大急ぎで周りに領域を展開した。

 その直後、星はアシュミスト上空で跡形もなく消えた。

「え?」

 信じられないと目を見張るつらら。

 何故なら、アシュミスト上空には街全体を覆うかのような領域が展開されていて、それにより何百とあった星全て打ち消されたのだ。

「あ~、さっすがだなぁ」

「やっぱり化物だよ父さんは」

「ええぇ!!」

 その様子に緑色に戻ったオーロラがまだ上空で波打っているが、レナードが領域を展開しているなら安心と自身の周りの領域を解除してのんびりと状況を理解するアシュミスト死神につららの驚きが響いた。

「マオ君、あの領域ってレナードはんの!?」

「ホウラン言葉出てないか?」

「そないなことどうでも……ここまで凄いって思ってなかったよ……」

 この場にいないレナードの実力に脱帽するつらら。

「だがこれ、まだ一部でしかないからな」

「どれだけすごいの!?」

 そして、力の一部でしかないと聞かされて更に脱帽するのであった。


  ◆


 同じ頃、

「流石だな」

 街全体を覆う領域がレナードのものと見たモルテはすぐに自身とディオスの周りに展開していた領域を解除した。

「店長、今のは?」

 突然のモルテの行動に上空の出来事と全く理解が追い付いていないディオスは少しだけ戸惑っていた。

「あれはオーロラだ。本来はかなり北の地で見られるものだが、恐らく倉庫街にいる生霊リッチが生み出したのだろう。そこから更に本来のオーロラではあり得ない火球を生み出し落としたのだが、レナードが街全体に領域を張り防いだのだ」

「え!?」

 まだ存在するオーロラの下でディオスに軽く現状を説明するモルテ。

 だが、ディオスは現状よりも余計なことに驚いてしまった。

「レナードさんが街全体に?」

「そうだ。普通の死神では殆ど出来ないな。出来たとしてもそうとう苦労をするのだが、レナードは領域に関して言えば異常な程に飛び抜けている。これくらい片手でも余るくらい簡単なことだ」

「……人間やめてませんか?」

「死神であり、<領域の魔術師>であるからな」

 救い様のない言葉にディオスは撃沈した。



 実際にレナードの領域の使い方ははモルテを含めたアシュミスト死神組がよく知るところであり、自国であるシュミランに存在する死神の垣根を越えて他国まで知られる程に有名なのである。

 レナードがいなければ考えられないような領域の使い方や応用まで思いもつかないことからレナードの死神名よりも<領域の魔術師>という異名の方が有名である。


 今回領域で火球を打ち消したとなっているが、ただ打ち消して終わりと言うわけではない。

 領域に一定の強度を持たせて耐えればいいと思うかもしれないが、火球の大きさは不揃いであり万が一にも強度が耐えきれないようであればアシュミストへと落下する。

 それを防ぐために領域には一定以下の大きさと威力の火球を打ち消し、それ以上なら近くの渓谷で最も幅と深水が深い場所に領域をてんかいしてアシュミストへ降ってくる火球の出口を作りそこに落とすようにした。

 これによる地形の変化や急激な水温上昇による魚や水草が死んでしまうことになろうが気にしている暇はない。何よりも人命優先なのであるから気にしたら何も出来なくなる。



『聞こえるか?』

 ちょうどその時、何処からともなくレナードの声が聞こえた。

「え?」

「レナードか?」

『聞こえるよ父さん』

「ええぇぇ!?」

 どうしてここにいないはずのレナードの声が聞こえるのか戸惑うディオスに追い討ちをかけるようにいないはずのマオクラフの声も聞こえて驚きの声が上がる。

『あ、その声ディオス?ヤッホー』

『アンナ……』

『ディオス、驚きすぎだ』

「えっ?……ええ!?何で!?」

 更にアンナ、アリアーナ、ファズマの順とどうしていない者の声が聞こえるのかとディオスの頭が混乱する。

「レナードの領域が死神と弟子に声を届けているのだ」

「声って……そんなこと……って、どうして俺にも聞こえるんですか!?」

「それは私が手を握っているからだ」

 ディオスの様子に見ていられないと種明かしをするモルテ。そして、どうして死神でも弟子でもないディオスにも聞こえているのかという理由にはずっと握りしめている手を示した。

 握られている手にディオスはそう言うことなのかと納得する一方でこの騒動に巻き込まれたことを確信したのであった。

本当はまだ続ける予定だったんですが、あまりにも文字数と場面展開の多さから2分割しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ