恋文、暴走。そして……
先日突然休みにしてしまいすみません。
急用直前に仕事中に腰を痛めてしまい、歩くことも座ることも、横になっても辛くてとても小説を書く状況でなかったので急きょ3日間お休みとしました。
連休明けにすぐに病院に行って、今は湿布と薬で大夫楽になりました。
皆さんも腰に気をつけてください。
封筒に書かれた文字を見た最初の感想は記憶にしているカリーナの字であるが何かが違う印象を抱いた。
「これは?」
「姉さんの部屋で見つけました」
そう思ってフーゴに尋ねたディオスであったが何かが引っ掛かり気持ちが優れない。
「どうしたんだディオス?」
「何でもないです……」
その様子に気づいたマオクラフの声にも上の空。
よく封筒を見ても分からない。分かるのはカリーナの文字であって文字でないというよく分からない思いである。
「ディオス君、どうかした?」
そこへ戻ってくる様子がないディオスを心配して奥からつららが店内へ入って来た。
つららを見たフーゴは全く知らない服装に目を丸くしている。
「ディオスに手紙なんだがな」
「手紙?」
さっきからこんな様子とディオスに指差すマオクラフ。
そして、ディオスが手にしている手紙を見たつららの目が徐々に変わっていくことに。
「もしかして恋文ね!」
「恋文……ラ、ラブレターですか!?」
つららの悪癖が混じった声と覇気にようやく我に帰ったディオスだが、そこからさらに驚く暇などなくつららが肩を握った。
「ディオス君、開けてみたの?」
「いえ、まだです。でも、どうしてラブレターになるんですか?カリーナはもういないんです。それに何かが……」
「もう、ディオス君は分かってないよ!」
「はい?」
一体何がと尋ねる前につららが自信満々で制した。
「女の子からの手紙に恋文意外ないに決まってるよ!
好きな男の子に募りに募る想いに気持ちを込めて書いた手紙。何度も紙に書いては想いが違うって書いては直して書いて直して、何回書き直したか覚えていないくらいに手と袖を汚してようやく全部の気持ちを出して書いた手紙を渡そうと大切に握りしめて行くと目の前に好きな男の子!
ああ、勇気を出して渡さないと!と思っても足が動かない、声が出ない。せっかく一人でいるのを待っていたのにどうしてと?けど好きって気持ちを伝えたい。それなのに好きな男の子は気づかない。気づいて、気づいてと願うのに気づかないで何処かへと行ってしまう。気づいてもらえなかった、渡せなかった。
気を落としてどうして渡せなかったか考えて責める。それでも次こそはと気持ちを改めて好きな男の子の後を追う。追っているのに呼び止める為の声をかけられない。そして遠くから勇姿を見て今度こそと思っても目にしてしまうと恥ずかしくなって声も足も動かない。鼓動が高鳴って収まってはくれない。勇気を出して、勇気をと言い聞かせても出来ない。どうして気持ちを伝えられないかと責める。
責めて責めて自分が嫌になる。嫌になってこんな自分じゃ好きになってもらえない。想いを伝えられないのでは好きでいてもくれない。好きな想いよりも臆病な自分に負けてしまった気持ちに手紙を渡すことを渋々諦めた。
けれども気持ちを込めたら手紙までは捨てられない。だから、そっと引き出しにしまっていつかはちゃんと口で好きって伝えようと心のそこから決めた。……そう言うことよディオス君!」
「全く分からねえ!!」
マオクラフがバッサリと切り捨てた。
「長すぎだよ!それに何だよその夢にまで見そうな妄想は!早口でホウラン訛りで意味分からないからな!」
「マオ君、これが王道なのよ!遠回りに遠回りしてやっとこ紡がれる想い!どうしてそれが分からんよ!」
「分かりたくもねえし理解もしたくねえよ!そんな恋愛事情こっちはうんざりするほど経験しているんだよ!」
「マオ君何それ!?羨ましいね、そこのところよく聞かせてな!」
「どこがだ!そのせいで今もどれだけ苦労してるか分かるか?恋愛なんかろくでもないしなくてもいいんだよ!」
片や恋に恋して夢見る乙女。片や恋愛のとばっちりを幾重にも受けて飽き飽きした青年。
全く相反する二人がこう言った恋の違いがあるのは見ての通りである。
「マオ君分からず屋!!恋の敵!」
「意味分からないこと言うな!」
溝が大きいことも然り。
「それよりも最後ゆっくりだったから聞き取れたが失敗してるじゃないかそれ!」
「失敗してない!恋には山あり谷ありなのよ。遠回りして実らせていく恋。これが王道なのね!」
「知るか!」
もう手遅れではあるがどんな王道と妄想なのだとマオクラフは一言に込めて叫ぶ。
そんな二人をディオスとフーゴは呆然とした様子で見ていた。
「な、何、これ……」
片や残念美人、片や馬の被り物を被った青年の背後にはただならぬ気配を漂わせている。
「馬が、怒ってる……!」
つららが恋について語るのはまだ分かる。だが、それを否定するマオクラフの馬の被り物を被った容姿はどうもこの場に合うことがなく、むしろ鳴き声を上げながら怒っているように見えてしまう。
「くすっ……」
「ええ!?笑った!?」
そう思ったフーゴは自分で呟いて、笑いのツボにはまってクスリと笑ってしまう。
「だって、馬が、馬が……ははっ」
「あぁ……」
これは追及しない方がいいとディオスは笑うフーゴと未だに言い争っているマオクラフとつららを無視して再び封筒の文字を見た。
「やっぱり開けてみないと分からないかな?」
「どのみち開けないといけないのだからな」
「はい?」
ただの独り言だったのに言い争いを中断して入って来たマオクラフにディオスが不審な声を上げた。
「そうね。中にはどんな恋文が書かれているか気になるね」
「だから何でラブレターって決めてるんだよ!」
「女の子が男の子に上げる手紙の定番だからよ!」
「定番からはずせよラブレター!」
「開けます!開けますよ!だから静かにしてください!!」
このままでは二人の言い争いに流されてしまうと精一杯の抵抗をして、ディオスは封筒をカウンターに置かれているペーパーナイフを使って開けた。
いつの間にか緊張する心で開いた封筒から中に入っている一枚の便せんを取り出して恐る恐る開いた。
「あれ?」
開いて見てみておかしいと思って見直して首を傾げる。
便せんには『ありがとう』の一文しか書かれていなかった
つららの一気読みはメモ帳2ページ以上使いました。
書いてて痛い人だなと思ってしまいました。




