分類
「ふ~ん。そうなんだ」
その夜。夕食後のリビングでミクはモルテから朝の新聞のこととそれが生霊関連の事件であることを教えた。
幼い子に何を言っているのだと思うかもしれないがミクも死神の弟子である。まだ幼いから詳しく教えていないという前書きが付く。
「ねえ、どんな生霊なの?どんなの?」
「それはまだ分かっていない」
「えぇ~!」
「どうして楽しそうに言うんだ?」
ミクのワクワクしている反応にディオスは意味が分からないと呆れ顔で呟いた。
(顔に聞きたくねえって書いてんな)
そんな様子のディオスをファズマが真横から見て思った。
ディオスが初めて生霊に会った時は襲われかけているのだ。加えて死神関連であるから聞きたくないと思うものだと考える。
ミクの言葉を聞いたつららはどんな生霊か考えるも、すぐにまた諦めた。
「火を使う生霊多いから分からないね」
「そもそも、どうやって生まれたのか分からんし姿も予想出来んのでは一つに絞れん」
「それに、火影か怪火も分からないものね」
「全く厄介なものだ」
事が起こってしまってから遅いというのもあるが分からない以上は対応を間違えれば惨事になってしまう。完全に後手に回ってしまうがこればかりは仕方がない。
「あの、火影と怪火って何ですか?」
すると、二人の会話にディオスが恐る恐る尋ねた。
「火影と怪火はね、火を扱う生霊を分けた総称なの」
「総称?生霊にですか?」
「そう。火影は人の姿に似たもので、怪火は人とは違う姿のことね」
「それは、他の生霊でも同じこと何ですか?」
「そうだな。生霊は人形と異形に分けられる。そして、扱う力により呼び方も変わる」
モルテとつららの説明にディオスは腕を組んで考えた。
「見た目と力が違うとどうして分けられるんですか?」
「ディオス君は人と動物が生き物でまとめられるのはどうだと思う?」
「え?」
生霊の話をしていた筈なのにいきなり生き物のことをどうかと聞かれて戸惑うディオスであるが、つららはにっこりと笑った。
「生き物って分類が生霊に置き換わっただけよ。人も動物も人形と異形に換わっただけのね」
「力により呼び方が変わるのはそこから更なる系統が違うからだ。」
「はぁ……」
いわゆる生物学的分類が生霊にも当てはまることなのであり、それに当てはめられて説明をされると分かりやすく納得してしまう。
「つうかディオス、死神嫌いなのにどうして生霊のこと聞いてんだよ?」
「うん」
「うっ……気になったんだから仕方ないじゃないか!」
ディオスが死神嫌いなのにどうして首を突っ込むのか理解出来ないファズマは大きな溜め息をついた。
「でも、分からないのなら探せば……」
「それが出来んのだ」
「え?」
どんな生霊なのか見つければいいというが、それをモルテが否定した。
「今回の生霊は火を扱う。刺激をすればこの街が危ないのだ」
「え……?」
「自然を司る力を持つ生霊はね、すっごく危ないの。火は何でも燃やすし、水は濁流や雨を永遠に降らせて不毛にさせるよ。風なら強風で吹き飛ばすし、地は大地震を起こして大きな範囲で被害をだすのよ」
「それって危険じゃ……」
「危険も危険だ。だから易々と手を出せんのだ」
新たに現れた生霊が思った以上に危険なことであると理解したディオスはこういった生霊には安易に言うものではないと決めた。
「だが、早期に発見をせねば力を付けることも確かだ。だからアドルとガイウスが最初に現れた倉庫街を見回ることにしたのだ」
「それで、店長はどうするんですか?」
「生霊がここへ現れることもあるからな。しばらくは監視を強化するつもりだ」
見回りと監視強化。これが不充分であることを分かっているだけに後手に回されることが不甲斐なく思う。
だが、死神は生霊が事を起こしてから動くのが殆どである。不甲斐ないというよりも惨めである思いの方が強い。
「それで、モルテはどっちだと思う?」
「分からんのに聞くか?」
「予想としてよ。どっち?」
生霊が火影か怪火の予想を尋ねるつららにモルテは溜め息をついた。
「接触をしたのなら火影と思うが、ごく稀に怪火でとんでもないものもいるからな」
「それじゃ今は火影?」
「断言は出来んがそうなるな」
つららにせかされて言ったモルテは立ち上がり監視強化の準備へと向かった。




