警察への不信感
お久しぶりです。今日からまた再開ですがまた今月も休みます。詳しく分かったら報告します。
聖ヴィターニリア教会から警察の人間が出て来るのを見たモルテは表情を歪ませた。アシュミストの警察にまだ良い印象的を抱いてはいないからだ。
聖ヴィターニリア教会から出て来た警察の人間をよく見るとアドルフもいた。
(いるのは当然か)
アドルフがいることにモルテはいてもおかしいことではないと僅かに表情を緩ませた。
同じ死神のアドルフは別であるがアシュミストの警察はどこか抜け道を見つけたならばその道へ行き楽しようとする。その楽への道が6年前の事件の重大さに気づかず疎かな対応をしたことでアシュミストの住人から信頼を無くしたということを肝にしっかりと銘じているのか分からない。
「師匠?」
ミクがモルテの表情が歪んでいるのを見て心配になって手を握ると声をかけた。
「……大丈夫だ」
ミクが手を握ったことに僅かに驚いたモルテは一声かけた。
事件事態は死神が起こしたことであるから最小限に防げるかとなると否定せざるをえないが、それでも対応を初めからしっかりとしていたなら失望はどん底にまで落ちることはなかったはずである。
6年前の事件、アシュミストの警察はその事件を起こしたネストレをチャベル財閥殺害の犯人としか捕らえていなかった。
さらに当時の警察は有力財閥と統治議会の繋がりを重要視したこととスラム住人だから重い懲罰を施しても構わないとばかり考えてしまいディエゴが行っていた裏の仕事について全く気づくことも背後を調べることをしようともしなかった。
そのまま第二、第三と同じ方法でディエゴとは無関係の犠牲者が出たのに警察は全く別の事件と意味が分からない区別をしてひたすらにネストレを捜索し続けることを決めた。起こってしまった事件はただの窃盗と適当な事件として放置と適当な対応を取った時には手遅れになってしまった。
ディエゴが殺されてから三日でネストレが残虐した犠牲者が三分の一となった頃に警察はようやく捜査に乗り出したのだが何故かディエゴ殺害とは別と貫いて捜索を始めたのである。
これには理由があり、当時善良であった警察の一部がディエゴの殺害方法と残虐された犠牲者の殺され方が同じことを進言したのだが、それを疎ましく思った上層部がディエゴを殺したネストレ捜索から外すことと犠牲者が財閥でも統治議会の関係者でないことから事件の捜索を押し付けたのである。
ちなみに、ネストレ捜索から外された中にアドルフも含まれている。
ディエゴ殺害と残虐事件の犯人が同じ死神であるネストレが行ったことであると分かっていたアドルフは早くに見つけ出して止めなければならないと急いでいたこともったが、当時は上層部のやり方と警察のやり方に批判的であった為に上層部から煙たがられていた。ディエゴ殺害と直後に起こった事件が関連していることを進言しても聞き入れられることがなかった。だからネストレ捜索から外された時は同じく警察のやり方に批判的だった者達と一致団結して上層部に目に物見せると息巻いた。
はっきり言ってしまえば当時のアシュミストの警察は一部を除いて無能と言える。
その後もネストレ捜索組と残虐事件捜索組に別れて捜索がなされたが手掛かりを入手出来たのは圧倒的に残虐事件捜索組。ネストレ捜索組はずっとネストレを探すだけでディエゴの背後を調べるつもりがなかく手抜き捜索でネストレによる犠牲者は増えるばかり。その犠牲者の中に財閥と統治議会の関係者が含まれるようになるとようやく上層部は重たい腰を上げて残虐事件がディエゴ殺害と同じ手口で同一犯と認めて残虐事件捜索組をネストレ捜索組に入れようとしたら残虐事件捜索組が猛反発。
何を今更と言わんばかりの反発によりアシュミスト警察は真っ二つに割れた。上層部はなんとしても黙らせようとしたが更に追い討ちをかけるようにアシュミストの住人が事件が同一であることと対応の不十分に警察を猛烈に批判をして怒りを露にさせた。
ようやく同一と認めた警察であったが住人の怒りの対処に追われることとなったがどこからともなく新聞記者が仕入れた情報と嘘の組み合わせにより警察の対応の愚かさの真相が財閥と統治議会の繋がりを重要視したからと発覚して火に油を注ぐこととなりさらに怒らせて上層部はその対応の為に二つの捜索組を統一することが出来なくなった。また、住人の対応も今まで楽な方へと向かっていた為に慣れたものでなく墓穴を掘る形となり事件終盤頃には信頼はどん底に落ちデモにまで発展してしまった。
事件はモルテがネストレを殺したこととアドルフ達善良な警察により終息したが住人の不安が消えた訳ではなかった。
対応を疎かにしたことが首都の警察庁にまで伝わりそこから数名の警察官が訪れるることとなりアドルフ達と共に内部改革が行われた。
アドルフ達が内部改革に携われたのは事件が発声した時に人数不足でありながら懸命に適切な対応を行い続けたことと警察署の不正を調べられるだけ調べて提出したからである。
これによりアシュミストの警察は住人の信頼を失う変わりに内部の改革に成功したのだが、大きな改革は混乱をもたらす為に一部の上層部が残る形となりまだ完全に改革に成功したとは言えていない。
モルテは当時の警察のことを思い出すと怒りが湧いてきた。
さすがに6年経ったとはいえ意味が分からない対応と疎かにそれを指示した当時の上層部にはまだ怒りがある。その上層部にいた一部は警察庁から来た警察官とアドルフ達の活躍により不正と汚職と賄賂が発覚して処分された。
怒りが湧いている表情を出さないようにモルテはミクに語りかけた。
「さて、車に行くぞ」
「は~い」
とにかく警察は見たくないと車へと誘導するモルテの言葉に返事をしたミクに僅かにほっとしたモルテ。
「すみません、もしかしてフネーラのモルテさんで?」
だが、そんな気持ちも一瞬で消え去った。




