表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
6章 死神と少女
140/854

死神の目

「死神の目?」

 死神の目と聞いたことのないディオスは首を傾げたが言葉からそれが死神と付いているのだから死神関連であることは予想が一瞬でついた。

 だが、どういうものかは分かってもどんなものかまでは分からない。

「死神の目ってのはな、生霊(リッチ)とか、普通じゃ見えねえもんが見える目のことだ」

 ディオスの疑問を感じ取ったファズマが自分の目を指して言う。

「見えない物が見えるって、もしかして幽霊(ゴースト)とかも……」

「だからあんなただつっ立ってんのと一緒にすんなって言っただろ!」

「そもそも、幽霊が生霊と違うって言うけど、どこが違うの?」

 生霊と幽霊の違いが何だと言うディオスにファズマは不意を突かれたように口を大きく開けた。

「知らねえのか?」

「知らないから聞いている」

 今まで幽霊に関して詳しく聞かされていないディオスは知っているだろうと言うファズマに力強く言った。

「そういや、俺も店長から生霊と幽霊が違うもんだって聞かされたけど、店長から違いについて聞いてねえのか?」

「詳しく聞かされていないから聞いているんだけど」

 そもそも、生霊の時点で幽霊との違いについて聞かされてもいいはずなのにこの時まで細かい説明を聞かされていなかったのだ。

 ディオスが幽霊について知らないと知ったファズマは頭を軽く掻いた。

「幽霊ってのは魂じゃねく思念が具現化しただけのもんだ」

「そういえばそんなこと言ってたな。だけどそこが違うだけであとは知られてる感じの幽霊なんだ」

 仕方ないからと幽霊の説明を始めるファズマ。その幽霊の説明にディオスは世間が知るような幽霊なのだと知る。

「それと、幽霊は誰にでも見える」

「え……」

 そう思ったら予想外の言葉が飛び出た。

「幽霊が霊感ねえと見えねえとか言われてるがあれはその場所の状況や妙に感受性が高い奴が感じたり見えたと思うだけで条件が揃えば揃うだけ幽霊は誰でも見えんだ」

「そ、その感受性って霊感じゃないの?」

「霊感ってもんはこの世界にはねえって店長が言っててな。見えねえもんは生霊だけでそれを見ることが出来んのが死神の目だけらしい」

「だったら、その死神の目でも幽霊が……」

「だからな、誰でも見えるもんに見えねえもんが見える目は要らねえだろ」

 幽霊を見ることが出来ると言われる霊感を否定し、霊感がディオスにまだ詳しく教えていない死神の目と同じものでもないと言うファズマ。

「そもそも、幽霊が普通に見えることが恐いんだけど!」

「どこがだ?生霊は襲ってくるが幽霊は襲わねえだろ」

「そこにいるだけでも恐いと思うんだけど?」

「あれには魂なんてもんはねえ。思い出に浸って漂ってるだけだ」

 幽霊が誰にでも見えるとひとまず飲み込んだディオスはそれでも見えることが恐いと言うがファズマは幽霊は何もしてこないしむしろ無害であるとその理由を言う。

「追いかけられてるとかそういったものは生前を記憶されている思念が同じことを繰り返しているだけだ。それを見て追いかけられてるだの誤解しているだけだ」

「……そういう物なの?」

「そういう物だって納得しとけ」

 理由を聞いて微妙に納得していないディオスにファズマは無理矢理納得させて覚えておくようにと言った。

「で、話を戻すが死神の目ってのはさっき言ったが生霊を見る目だ。この目は死神が必ず身につける目で死神の弟子を名乗るのに必要なものだ」

 ファズマの言葉にディオスは頷いた。

 死神が生霊を見るのに必要だと言うなら弟子と名乗る者がそれを有していなければな死神としての面子が立たないし教える時にも見えなければ不便と思う。

「死神の目を身につけんのには遺体の近くに居続けたり弄ったりしていることだな」

「ちょ、ちょっと待って!まさか……」

「いずれディオスも身につけるな」

「え……え!?いらないよそんなの!」

「むしろ遺体なんかを扱う葬儀屋や墓守なんかは死神になりやすいんだ。諦めろ」

 死神になりやすいと聞かされたディオスは叩きのめされる感じがした。

 ディオスは死神になりたくて葬儀屋フネーラに入ったわけではない。むしろ死神について分からないことが多い為に警戒しているのに死神になりやすいと聞かされたらどうなるか。

「死神になりたくないんだけど!」

「おい、死神になりやすいとは言ったがなれるとは言ってねえぞ」

 死神になることを全力で拒否するディオスにファズマが話が最後まで言ってないと言う。

「死神の目を持ったからって無理に死神になる必要はねえだがな、死神の目ってのは生霊とか厄介なもんに狙われやすい。だから目を持っても最低限やり過ごす方法を身に付ける必要があるんだ」

 そう言ってファズマは言葉を一区切りした。

「ここまで言えばどうしてミクがここにいるか分かるだろ?」

「その死神の目を持っていたから、そして、生霊をやり過ごす方法を教えないといけなかったから」

「正解」

「だけど、どうしてミクがその目を?ミクってその時4才くらいだよね?」

 ミクが葬儀屋フネーラにいる理由は分かったが、どうして死神の目を持っているのか分からなかった。

 ディオスの質問にファズマは歯切れ悪く答えた。

「ミクが死神の目を持っているって知ったのはミクの一言がきっかけなんだ」

 当時ミクが言った言葉。それは……


『あおいおねえちゃんは?』


「そ、それって……」

 まるで恐い話を聞いたかのようにディオスの表情が青くなった。

「最初は死んだ姉のことかと警察が聞いたんだが違うと言ってな。それを知った店長とアドルフ警部がまさかと思って調べたら持っていたってわけだ」

「だけどそれって……」

 話の流れからその青いお姉ちゃんがどういう存在か分かったディオスはファズマかに答え合わせも兼ねて訪ねた。

「ああ、ミクが言った青いお姉ちゃんってのは、生霊のことだ」

 ディオスの答えは当たりであった。

なんだか死神の目についてのはずが幽霊の説明に……

決して忘れてたわけではないですよ!設定は出来てたのですが入れるのを忘れてただけです!あれ?これって忘れてたってことになるのか……?


そして、前置きが長くてスミマセン。何だかんだで仲がいいと発覚したディオスとファズマの話は多分明日で終わります。

もうそろそろモルテとミクのターンに行きたい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ