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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
6章 死神と少女
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失った命、救われた命

「ネストレの死神名はネストレ・ハイドン・イェソド。スラム街にいた死神で先代店長の弟子だったんだ」

 死神であったネストレについて話始めるファズマ。それは何故ネストレが堕ちた死神となるまでの話であった。

「ネストレは先代店長の下で働いていたらしいんだが、その先代店長が首都に引っ越すことになって店をネストレに引き渡すつもりでいたみてえだ」

「みたいって?」

「拒否したんだよ、ネストレは」

 当時のアシュミストのとしてネストレの反応は当然だったのかもしれない。スラム街出身のネストレが旧住宅街に構えている葬儀屋を引き継いだとなったらどうなるか。恐らく周りの目は冷たかっただろう。だからネストレは先代店長の申し入れを拒否したのだ。

「そん後は店を引き継いだ店長と距離を置いて色んな職に手を出してたみてえなんだが、裏仕事までやってるなんざ死神の誰も思ってなかったんだ」

 先代店長の元で生真面目に働いていただけにネストレの裏仕事は予想外であったのだ。しかもアドルフは警察でもある為に死神と警察、二つの視線を逃れていたのだ。

「何でネストレがディエゴを死神の力で殺したかは分からねえんだ。もしかしたら本当にディエゴに脅迫されて殺したのかもしれねえが全員悔やんだんだ。特に店長は店を代わりに引き継いだのもあったからしっかり見ていねえといけなかったんだって何度もな……」

 その言葉だけでも死神達がネストレの異変に気づかなかったことの悔しさが伝わってくる。

「しかも、ネストレを止める為に三人の死神が殺されているんだ」

「三人……!?」

 堕ちた死神を止めると言うことは殺すことを意味している。その為に止めると聞いたディオスの表情は歪んだが、三人が殺されたと聞かされ思いもよらないことに言葉が詰まった。

「返り討ちにあったんだ。しかも、通りすがりの三人は死神のことだ」

 最初に説明した通りすがりの三人が死神であると教えるファズマ。

「ネストレは力が強い死神だって店長が言っていた。だから堕ちた死神になった時が恐い。止めるのが難しいからつってたな。そして、堕ちた死神となってその力を無実の人間と死神に振るった」

 強い力を持つネストレが堕ちた死神となったらどうなるか。それは今もその傷跡を残すこととなった。

「ネストレの暴走を止める為に死神全員が探し回ったんだ。朝も夜も関係ねえ、とにかく殺される人が増えないようにするしかなかったんだ」

「だけど、たくさんの犠牲者と三人の死神が殺された」

 死神の必死な行いは虚しく結果的に多くの命が失ったのである。

「ディオスに言っておくが、ネストレを止めたのは店長だ」

「え!?」

 ネストレを止めたのがモルテと聞きディオスの表情が驚いたと変化した。

「ネストレを単身で見つけた店長はそのまま襲われて、殺したんだ」

 堕ちた死神を止める唯一の方法。それが堕ちた死神の命を奪うこと。

 前回ジーナを殺しただけでなくその前に同じ街にすむ死神を殺していたと知りディオスは表情を強張らせた。

 その表情に納得していないと見たファズマは言葉を鋭くさせた。

「殺しに納得してねえのは分かるが、ネストレをその時に止めねかったらもっとたくさんの命が失っていたんだ。もちろん、目の前の命もだ」

「目の前の、命?」

「ミクだ。店長が止めねかったらミクは生きていねえ」

 ミクの名前が出てきたことに先程まで殺すことに納得していなかったディオスの思いはどこかへとぶっ飛びファズマにどういうことかと目線を送った。

「それ、どういうこと?」

「ネストレが最後に入った家がミクの家族が住んでた家で、店長がネストレを殺したんだ」

 最後の現場がミクの家であったと知ったディオス。

「ミクの家族は五人家族だったんだ。父親と母親に姉と兄、そしてミクだ。だがな、ミク以外は全員殺されたんだ」

 ミクの家族が全員殺されたという事実は何よりも酷い。それに、事件が起きたのが6年前。ミクは当時4才のはずだから小さくして親を失ったことになる。

「他に家族は?」

「父親と母親にそれぞれ祖父母がいたみてえなんだがどちらも引き取れねかったんだ」

 予想外のことにディオスはどうしてかと思った。

 仮にも自分の息子、娘の子供なのにどうして引き取らないかと思ったのだ。

「だがな、それよりも俺達にしてみたら大問題があったんだ」

「大問題?」

 引き取れない以上の問題とは何かと尋ねるディオス。

「ミクは死神の目を持っていたんだ」

 聞いたことのないファズマの言葉にディオスは首を傾げた。

10月は予定があやふやです。

詳しく分かったら活動報告に載せます

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