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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
6章 死神と少女
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アシュミスト大虐殺

 アシュミスト大虐殺。それはアシュミストの街中を恐怖に震撼させた事件であり、シュミランでも最悪の大事件としてその記録を残している。


「ミクが、唯一の生き残り……」

 ファズマからミクが当時起きた大虐殺の唯一の生存者と聞いたディオスは驚いた様子を浮かべていた。

「どういうことか言う前にディオスはその事件がどういうものか覚えてるか?」

「大虐殺があったってことは思い出したけど、どういうことかは……」

 ファズマはアシュミスト大虐殺がどういう事件であったかディオスに尋ねたが、今思い出したばかりであったから期待はしていなかった。そして、その通りにディオスは事件があったといか思い出してはおらずどういった事件か思い出せなかった。

「そういえば、一家が殺害された、警察も犠牲になったって……」

 そのようにファズマが思っていると少しずつではあるがディオスが思い出したことを口を開いて呟き出した。

(記憶力すげぇな)

 6年前に起きた事件を殆どの人が忘れつつあるのにディオスは説明なく少しずつ思い出す様子にファズマは内心で驚いていた。

「この際、大虐殺のことを話すがいいか?」

 しかし、ミクの話にそれだけでは少ないからとファズマはディオスが頷くのを見ると6年前の事件を話始めた。


 6年前に起きたアシュミスト大虐殺は一人の男、ネストレ・ハイドンが起こした事件である。

 ネストレはスラム街出身で当時ネストレは富裕街に住むディエゴ・サロンナ=チャベルが営む店に運良く下請けを行なう仕事についていたが、裏ではディエゴの依頼を請け受けライバル財閥の経営を妨害する仕事についていた。

 ディエゴはアシュミストで数々の経営業を営む有数の財閥であるが、裏では違法取引を行っており、自身の経営を伸ばすためにスラム街の住人を雇っては汚れ仕事を行わせていた。

 そのディエゴがネストレの最初の犠牲者となったのはある意味必然的であった。

 ディエゴが殺される直前、ネストレはディエゴに脅迫されていたらしい。らしいというのはどういったことを脅迫されていたからか分からないからである。有力なのは裏仕事で思ったように伸びなくなったことに苛立ったディエゴがネストレに無理難題を押し付け、それに否定したネストレが口論、後に殺害したと思われている。

 だが、ディエゴを殺害したことが発覚すると思ったネストレはその直後にディエゴの妻であるロッセッラと息子のウルバーノを殺害。

 三人の遺体は鋭利な刃物で首を切断された姿で発見され、それを見た警察が吐いた程と言われている。

 これで発覚することがなく終わるのではと思われたのだが、何を思ったのかネストレの殺害衝動が収まることがなく、さらに殺害を行ったのであった。

 ネストレは殺害を富裕街からアシュミスト全体に移した。事件を起こしてから12日間の間に老若男女問わず六十三名が犠牲となり、その内八名が警察官である。しかも、死因は首の切断も含め体が無惨に切り裂かれたものまであった。

 何故これ程にも犠牲者が多いかというと、ネストレは住宅に侵入してそこに住んでいる住人を全員虐殺したのである。

 犠牲になった家族が15、五十二名が犠牲。警察が八名にそれらとは関係なくネストレに目をつけられて殺されたと思われるのが三名と関係のない多くの命が失ったのである。

 この事件によりアシュミストの住人は警察とアシュミストを統治する統治議会の無能さに批判、暴動を起こし更なる混乱を招いたのであった。

 そしてネストレは最後に侵入した家の異変に気づいた住人と鉢合わせ、口封じに殺そうとするも住人の抵抗に合い殺害されたことでこの事件が終わったのであった。


 アシュミスト大虐殺を聞いたディオスは一つ疑問を感じた。

「どうしてそんなに詳しいの?」

 ファズマの説明はまるで当時のことを詳しく知っているようであった。

 ディオスの言葉にファズマは素直に答えた。

「その事件に死神も関わっていたからだ」

「死神が?」

 確かにこれ程死者が出たなら仕事も含めて事件が生霊(リッチ)関連かもしれないとディオスは思ったが、直後に違うと思い、何がおかしいのか考えて一つの可能性に行き着いた。

「もしかして、ネストレは死神?」

「ああ、ネストレはディエゴを殺して堕ちた死神になったんだ」

 死神が起こした事件。それがアシュミスト大虐殺の真実であるとファズマはさらにディオスに語りだした。

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