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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
6章 死神と少女
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命日

 この日のアシュミストの天気は晴れていた。外はまだ涼しいがそれでも空が青くすみわたり確実に春へと近づいているのだと感じさせていた。

 そんな中で葬儀屋フネーラは朝食の時間となっており、四人が朝食をとっていた。

 だが、その朝食もここ最近僅かであるが変化が起こっていた。

 ディオスが朝食の会話に質問や突っ込みをすることがなくなり、時々であるが疑うようにモルテを見るようになり、反応が素っ気なくなり空気を凍らせているのである。

 理由についてはディオスが死神の罪についてしり、その罪に堕ちてしまった堕ちた死神を死神自らの手で殺すと聞いたからである。死神は死者の魂を刈る力を有する人間である。その人間が人間を殺していいはずがないとディオスは人殺しに否定的なのだ。

 一応は自身の中で死神の罪とそれに対する対処法に区切りをつけたが、まだ全てを受け入れられず、死神に不信感を抱いてしまいモルテを疑いの眼差しで見るようになってしまった。

 果たして、朝食の席でディオスが質問や突っ込みをするようになるのはいつになるのか。

 そうして、朝食の時間が終わるとモルテが口を開いた。

「ミク、出かける準備を」

「は~い」

 昨晩何杯もカクテルを飲んだ影響はなくモルテはミクに出かけることを促すと、朝食のメニューて食べきれない物に手を出さず食べられる物を食べ終えたミクが元気よく返事をするとモルテと共にディオスとファズマよりも一足早くリビングから出た。

「店長がミクを連れて?」

 モルテがミクに出かけることを促したことにディオスは疑問に思った。

 ディオスが知る限りモルテがミクを連れて行くのは真夜中だけ。それもミクが死神の弟子であるからなのだが、朝から一緒に出かけるところを見たことがない。

「今日は大切な日だからな」

「大切な日?」

「ああ。特に俺らにとってな」

 ディオスの疑問を感じ取ったファズマがどこか遠くを見るように言うと、突然椅子から立ち上がった。

「飯食い終わったんなら片付け手伝え。それと、昼飯任せた」

「え?……え!?ちょ、それは……」

「どうせ店長とミクは今日の夕方まで帰ってこねえ。その代わり厳しく指導するからな」

「いや、そういうことじゃなくて、てか、話の変わり方がおかしい!」

「うっせえ!さっさと皿片付けるぞ!」

「いや、最初と次の話繋がってないから!」

 無理矢理話を変えさせたファズマは持てるだけの食器を手に持つとディオスの文句なんか聞こえないと言わんばかりにキッチンへと駆け出した。

 自分の意見が届かなかったことにディオスはその場に崩れ落ちた。ファズマに料理をしたことがないとカミングアウトしてからスパルタで料理を教えられているディオスにしてみればどうしても避けたいものの一つである。

 どうにかして抜け出せないかと思考をしては結局ファズマに強制的にキッチンに連れていかれ料理の指導をされるためにディオスの居場所が狭くなってきている。

「ディオス、皿持ってこい!」

 キッチンからファズマが促すように叫ぶ声に仕方なくディオスはテーブルに置かれている残りの皿を持つとキッチンへと向かった。


 皿洗いと店前の掃除が終わるとそろそろ開店だとディオスがファズマと共に店内で準備をしていると、奥からモルテとミクが出てきた。

 だが、出てきた二人の服装はディオスが予想していた服装と大きく離れていた。

(喪服?)

 モルテとミクの服装が黒に統一されていたのだ。モルテは仕事の関係で喪服、もちろん男が着る黒いスーツにパンツを着ているのを見るが、ミクまで黒いワンピースの喪服とは予想していなかった。

 てっきりただの外出なのだろうといつもの服装なのだろうとディオスは思っていた。

「行ってくる。店番は任せる」

「はい」

「行ってくるね~」

「行ってらっしゃいミク」

 出かけるモルテとミクを見送ったファズマは振り返るとディオスを睨んだ。

「何ボケってしてんだ」

「え?」

「行っちまったぞ」

「あ……」

 出かけた二人に声をかけなかったディオスにファズマは呆れながら言った。

 ファズマもディオスが最近モルテに対して反応がよくないことを知っているが、ミクに声をかけなかったのがどうしてなのかと思っていた。

「ファズマ、どうして店長とミクが喪服で出かけたんだ?」

「ああ、それか」

 どうやらどうしてモルテとミクが喪服なのか気になっていたのだと知ったファズマはまた遠くを見るような目をした。

「今日はな、ミクの家族の命日なんだ」

 ミクの両親と命日と聞いてディオスは驚いたがそう言えばと思考が変わった。

(そういえば、ミクの家族の話って聞いたことがないな)

 ディオスが葬儀屋フネーラに住み込むようになってからミクの家族に会ったことがないし話も聞いたことがない。

 モルテと姓が違うためにてっきりモルテがミクの両親から預かっているのだと思っていたのだが違ったらしい。

「そもそも、ディオスは今日がアシュミストにとって何の日か知ってるか?」

「今日?」

 ファズマに言われディオスは今日が何の日か思い出すが、分からず首を横に振った。

「思い出せねえか」

 ディオスの様子にファズマは残念そうに肩を下げると答えを言った。

「6年前に大虐殺があったのを覚えているか?」

「大虐殺……ってあれ!?」

 ファズマの言葉を聞いたディオスはそれを思い出すと驚いたまま尋ねた。

「ミクはその事件で生き残った唯一の生存者だ」


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