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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
5章 アシュミスト連続殺人事件
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不可解な行動

 ジーナがモルテとマオクラフから逃げるように遠ざかるのを遠くから見ていたリーヴィオは不審に思っていた。

「変だな」

「たぁしかにぃ変だねぇ~」

 リーヴィオの呟きに同じ考えを抱いていたガイウスの声が道具から発せられた。

「本来なら堕ちた死神は何があっても無差別に殺しにかかるはず。それなのにどうして逃げる?」

 ジーナが逃げるのに合わせてリーヴィオも走り出した。

「数がぁ多いからかねぇ~」

「それはないだろう。堕ちた死神は獣だが本当の意味で獣とは言えない。数の優位関係なくどこまでも追いかけ息の根を止めるのが堕ちた死神だ。だから不可解なんだ」

 今回の堕ちた死神となったジーナの行動に不信感を抱くリーヴィオ。

「かぁ~りになんだけどぉ、堕ちた死神になっていないってことはぁ……それはないかぁ~」

「最後まで言ってたら怒るところだったぞガイウス」

 始めからあり得ないことを言おうとしたガイウスにリーヴィオは冷たい口調で言った。

 ここでは何故ジーナがモルテとマオクラフから逃げるのか分からないままであった。


 モルテとマオクラフはジーナを追っていた。

「待てぇぇ!!」

 消えたジーナが次に現れるであろうところをモルテから聞いていたマオクラフは急いでその場に行くと、見事にジーナが現れ、逃さないとばかりに鎌を振り下ろした。

 それをジーナが鎌で受け止めるとガシャンと鋼と鋼が鋭くぶつかる音が響いた。

 そこにすかさずモルテがジーナに向けて鎌を振るった。

 だが、ジーナはマオクラフから離れるとモルテが振るった直後にすかさずモルテへ距離を積めて鎌の刃を振るった。

 それをモルテは振るったはずの鎌を素早く自身に引き戻すと刃で受け止めた。

「まったく。私はお前に怨まれる理由を作った覚えはないのだがな」

 そしてそのまま押し返した。

「そこ!」

 ジーナが押し返されふらついた隙にマオクラフが追撃をかけた。

 だが、それもジーナは鎌の柄で防ぐと力業で押し返した。

「っと。やっぱり堕ちた死神は半端じゃないな……」

 まさか力業で押し返されると思ってもいなかったマオクラフは改めて堕ちた死神の力をその身に刻み付けた。

 直接関わったことはないが遠くから初めて堕ちた死神を見た時は残虐非道な行いに恐怖を感じて体が震えてしまったが今は違う。その理由は今はこうして直接に堕ちた死神と関わり対峙しているからだ。

 ジーナはマオクラフが着地するのを見ずにすぐさまその場から離れるように走り出した。

「逃すと思うか!」

 逃げようとするジーナをすぐさまモルテは領域内無限移動を使いジーナが遠く現れた直後にその場に現れ追撃をした。

「お前は殺す!」

「既に聞いているが不可能だ!」

 そのままモルテとジーナの対決へと入り込んだ。

 お互いに鎌を振るっては領域内無限移動を使い奇襲をかけたりと殺すために力を振るう。

「だから、俺を忘れるなぁぁ!!」

 その殺し合いにマオクラフがジーナに鎌を振るい入り込んだ。

 突然の割り込みにモルテとマオクラフ、ジーナとの間に距離が生まれた。

「モルテ、おかしくない?」

「マオクラフも気づいたか」

 ジーナと対峙していたモルテとマオクラフはジーナが取る行動に違和感を抱いていた。

「殺す為にモルテを狙うのは分かるけど、どうして俺を殺そうと襲いにかからないと思う?」

「知るか。それは後で考えろ」

 ジーナがモルテばかりを狙いマオクラフから避けていることがおかしくかったのだ。それに、マオクラフが追撃をかける度に戸惑っているようにも見えた。

 殺す本能はあるのにマオクラフを見て戸惑いの様子に堕ちた死神ではあり得ないと意見が一致する。

「……もしかして、やっぱり俺足手まとい?モルテ一人の方がやりやすかった?」

「確かにそうだな」

 自身が狙われないと感じたマオクラフは恐る恐るモルテに尋ね、すぐに肯定されて傷付いてしまう。

「だが、これからのことを考え覚悟をした上でここにいるマオクラフを私は尊重する」

 そんなマオクラフにモルテは声をかけた。マオクラフの覚悟をモルテは理解をしているのだ。

 だから直接マオクラフへ足手まといと言っていない。

「さて、私が惹き付ける間にマオクラフが止めを刺すのでもいいのだが……」

「俺が近づくと逃げるよなぁ、遠くに」

「とはいえ、どうも私が近づくのも分かっているようだ」

 一区切り終えるとモルテとマオクラフはジーナとの距離を保ちながら作戦会議を始めた。

 戦い慣れていないはずなのに危機能力が高く未だに仕留められていない。

「やっぱり展開してる?」

「何重かは分からんが多くはないだろう」

 モルテとマオクラフの追撃に対応しているのがジーナが自身周りに何重にも展開した領域と見るモルテとマオクラフ。

 領域内で領域の展開が出来る為に不可能でもないし、領域の性質を利用れば敵の存在を把握するのも不可能ではない。

「それでどうするの?」

「領域を削るしかないだろう」

 そう言うとモルテは鎌を持ち直した。

「削りと止めは私がやる。マオクラフは縛れ。方法は任せる」

「それ止めろってことだよね?」

「縛れと言ったのだ」

「そういうのはあまり好きじゃないと思うけどな。向こうが」

 大雑把な作戦をその場で立てるとマオクラフも鎌を持ち直した。

出来れば戦闘は長くしたいなと思っています。

多分あと1、2話くらい?

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