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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
1章 新従業員採用
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思わぬ登場

商業街裏通りに入ってすぐにそびえる大きな建物。その3階にある一室には複数と言う言葉では収まりきらない大量の男達が気を失って倒れていた。

殺伐とした室内。何故なら……


「ぐっ……きさまぁ……」

「うるさい」

「ぐぁつっ……!」

倒れていた血の気が多そうな男が立ち上がろうとするも、机に座っていたモルテが足で頭を叩きつけた。

男は抗う事が出来ずそのまま再び床に倒れた。

モルテは気にせず先程部屋の中で見つけた資料を見ていた。

また一人、立ち上がれないながらも顔だけを上げた気障男が声を上げた。

「お、お前は、俺達に手を出す事が、どうゆう事か知っているのか……?」

「知らん」

気障男の言葉にモルテはあっさりと切り捨てた。

「私は対等な金で貴様らから情報を買おうとしたんだ。貴様らがこの様になったのは欲をみたからだ」

冷たい目で見下ろしてモルテは言った。

モルテは目的があってここへと訪れた。だが、相手が欲を見て決裂。手を出して来た為に防衛をしたら部屋にいた全員を相手にしてしまい気づいた時には倒してしまったのだ。

全員を倒してしまった後、モルテは後悔した。得ようとしていた情報を聞きそびれたしまったからだ。仕方なく資料をあさり自力で情報を得ようと行動して今に至る。


モルテは手に持っていた資料を見て目を細めた。

「やはりガッロか」

モルテは情報が正しかったと思った。そして、先に見た資料をもう一度目にした。

「お前は、終わりだぁ……俺達に手を出した……頭が許さねぇ……メオックスもお前を捕まえる為に追いかけるぞ……」

気障男がモルテに語りかけた。

「頭はお前ではないのか?」

気障男の言葉にモルテは驚いた表情を浮かべたがすぐに顔を強張らせた。

「答えろ。貴様らの頭はどこにいる」

「さあな。今頃はどこかで金を返せと言ってるはずだ」

モルテの言葉に気障男は鼻で笑いながら言った。

モルテは得たものを得たとして一枚の紙を手に持つと机から降りた。

その時、突然気障男が笑い出した。

「お前はもう、逃げられない……逃げられるなら逃げてみろ……」

気障男の言葉にモルテは冷たい目で見下ろした。

「それは貴様だ」

モルテが呟いた直後、部屋に一つしかない扉が思いっきり開け放たれた。

「警察だ!!」

扉を開けて部屋に入って来たのはアドルフ率いる十数名の警察。

突然の登場にモルテ以外の意識が目覚めた男達が驚いた。

「遅いぞアドル」

「うるせぇ!これでも急いだんだ!」

モルテの毒舌にアドルフは部下に指示を出しながら突っ込んだ。

倒れていた男達を含め気障男は何故警察が自分達を捕まえるのか分からない表情を浮かべながら部屋から無理矢理出されて行った。

「まったく、モルテは警察嫌いなのに警察使いが荒すぎる!」

「動くのに必要な証拠をファズマが全部集めたんだ。それ相応の働きをしてもらわなければこちらが困る」

今度はアドルフが毒突くがモルテの言葉に反論出来なくなった。

「確かにそうだが……おかげで上から下が大騒ぎだ……」

「警察の中に協力者がいたとなってはせっかくの回復傾向が落ちるからな」

そう言ってアドルフとすれ違い部屋の出口へと向かった。

「待て、どこへ行く?」

「こいつらの頭がいるところだ。窓ガラスの弁償金を倍にして払わせる」

「おい……」

モルテの言葉にアドルフは呆れて頭を抱えた。一体どこに弁償金の為にここまでする葬儀屋店長がいるのか。

そんなアドルフを知らずにモルテは駆け足で部屋から出た。

「……そういや、心当たりあるのか?」

周りの感覚が変わった事を感じながらアドルフはモルテがどこへ向かったのか疑問に思った。


* * *


ディオスはアパート裏口から顔を出し人影がいないか確かめた。

「大丈夫」

人影が見当たらないと見てシンシアとユリシアに声をかけると安全を証明する為に最初に出た。

そうして、シンシアがユリシアの手を引いて裏口から出た。

妙にあっさりとアパートから抜け出る事が出来た。

三人供ファズマがどうなったのか気になりアパートを見た。

「母さん、早く!」

だが、今はこの場から逃げなければならない。ディオスの声にシンシアはユリシアの手を引いてディオスの後を走った。


曲がり角に近づいた時だった。

「うわっ!」

暗闇から手が伸び、ディオスの首を握った。

「捕まえたぞ!」

「ディオ!?」

「お兄ーちゃん!?」

曲がり角から現れた傷男にシンシアとユリシアの悲鳴が響いた。

ディオスは首を絞めている手から離れようとするが力が強く離れられない。

「足を思いっきり踏め!」

どこからともなく声が聞こえた。こんな苦しい時に一体誰がと思いながらディオスは思いっきり首を絞めている傷男の足を踏んだ。

「ふん!」

「ぐっ!?」

傷男から僅に呻き声が上がったら。

「次は蹴ろ!」

「くっ!」

「だあぁぁ!!」

一体どこを蹴ろと思いながらディオスは傷男の脛に蹴りを入れた。すると、傷男が悲鳴を上げ首を絞めている力が弱くなった。

ディオスは思いきって相手を突き飛ばした。

「ディオ!」

「お兄ーちゃん!」

首を絞めていた手から解放されたディオスの元にシンシアとユリシアが駆け寄った。

「くそっ!」

怯んで手離してしまい傷男は慌てて再び手にしようと駆けた。

「隙だらけだ」

その時、傷男の襟首を誰かが握った。そして、

「なあぁぁぁぁぁぁ!?」

そのまま後ろへと投げ飛ばされ、不時着と同時に気絶した。

目の前で突然起こった出来事に母子三人は言葉を失っていた。特ディオスは違う意味で言葉を失っていた。

「見た目だけの奴だったな」

「て、店長さん!?」

モルテの登場と荒業にディオスが叫んだ。

「よく私の指示に従ってくれた」

さっきの声はモルテだったのかとディオスは納得した。

(だけど、どうしてここに?)

ファズマもそうだがどうしてモルテがここにいるのか気になった。

ディオスの表情を見てモルテの目が笑ったかのように細くなった。

「どうして?と言う表情だな。知りたいか?ディオス・エンツォ=レオーネ」

モルテが呟いた言葉にディオスは驚いて言葉を失った。

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