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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
5章 アシュミスト連続殺人事件
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死神集会、再び

 ディオスは肩身が狭い思いをしながらエノテカーナにいた。

(どうして俺ここにいるんだろう?)

 明らかに場違いなのではないかと思いながらエノテカーナに集まったアシュミストの死神達を見た。


 早めに夕飯を食べ終えたモルテとディオスは死神集会の会場となっているエノテカーナへに一番に入った。

 入るなりエノテカーナのマスター、レナードの声を聞くなりモルテは早口に言った。

「資料は?」

「これだ」

 レナードはそう言うとカウンターからテーブルに置かれている紐で縛られた紙束を指差した。

 それを見たモルテはすぐに座るとものすごい早さで資料を見始めた。

「は、早い……」

 あまりの早さにディオスは驚きと自分では無理であると思っていた。

 一方でどうして酒場が死神集会の会場であるのか考え、レナードを見て、もしかしたらレナードも死神かその関係者でないのかと考えていた。

 しばらくして、レナードの気遣いでモルテにいつものカクテル、ディオスにはコーヒーが出されると、エノテカーナに死神が続々と入って来た。

「お~うモルテ!」

「珍しく早いですね」

 入って来たのはガイウスとレオナルドであった。二人ともモルテ一番にがエノテカーナにいることに驚いていた。

 ディオスはというとこの二人が死神であるのを知っている為に死神集会には出るだろうと思っていると、

「マスター、ブランデー・サワーを頼む。……ん?モルテのところの。久しぶりだな」

「え?」

 次に入って来たリーヴィオの言葉に全く面識の記憶がないディオスは目を丸く頭に疑問符を浮かべ、

「どうしてディオスがいるんだ?」

「警部さん!?」

 予想していなかった人物、アドルフがエノテカーナに入って来たことて死神であると知り驚き、

「たっだいま~って皆いる!?はやっ!」

「もしかして、郵便配達の人!?」

「そう!郵便配達とは仮の姿!正体は死神!……って何でいるの?」

 何故か店の奥から出て来たその声にディオスはマオクラフであると知り驚いた。

 いつも何かの被り物をしている為に素顔を見たことがなく、初めて素顔を知ったことと死神であることに驚いたのだが、マオクラフもノリノリで名乗るがディオスがエノテカーナにいることに驚いていた。

「マオクラフ、お前待ちだ」

「分かったよ父さん」

「父さん!?」

 マオクラフの一言にマオクラフとレナードを交互に見るディオス。

 どことなく似ていると感じながら、

「全員揃ったことだ。ゲストもいるが死神集会を始めよう」

「マ、マスターさんも!?」

 レナードも死神であることを知りもう今日だけで何回目になるか分からないし驚きを浮かべるディオス。

 あまりに驚きすぎたと気がついたのはこの直後。

 モルテ以外の死神から視線を向けられたディオスは自身が場の空気を読まずに驚いて声を上げていたと知り恥ずかしくなり小さくってしまった。

 なお、死神達はディオスの様子を面白いと思いながら見ており、それを知らないディオスである。


 始まると言ったレナードの言葉を聞いてからマオクラフが手を上げた。

「その前に質問!どうしてディオスがいるの?」

 マオクラフの言葉に肩身が狭く小さくなっていたディオスは肩をピクリと震わせた。

「ファズマが連れて行けとしつこくてな」

「あ~、成る程」

 モルテの部分的な説明にマオクラフは思い当たる節に気がついて納得した。

「マオ坊、勝手に納得しないで説明をしろ」

「するよもちろん!聞いたら驚くから」

 その様子にアドルフが尋ねると、マオクラフが面白く言った。

「昨日の夜に襲われたんだよ。犯人に」

「は?」

 マオクラフの言葉に死神達が信じられないと言った様子で慌てだした。

 慌ていないのは襲われたモルテとそれを知るディオス、マオクラフ、レナードのみ。レナードが知っているのはモルテから電話で聞いたからである。

「嘘だろ!?」

「何かの冗談じゃ!」

「ですが、モルテは嘘が苦手と言っていますし、こういった状況で嘘をつくともお前ません」

「それじゃやっぱり……」

「信じぃられないがねぇ~」

「信じられないだろ普通!」

 モルテが襲われたと聞かされたガイウス、レオナルド、アドルフ、リーヴィオはやはりあり得ないと話が止まらない。

「あ、あの、すみません……」

 そんな四人に小さくなっていたディオスが話が気になってしまい勇気を出して尋ねた。

 勇気を出したディオスの言葉に四人が話を中断した。

「何がそんなに信じられないんですか?えっと……」

 そう言ってディオスは次に出すつもりであった言葉が出なくなりリーヴィオを見た。

 リーヴィオを見た理由は話をしている中で一番モルテが襲われたことを信じていなさそうだからである。

 そんなディオスの考えを一瞬で気がついたリーヴィオはさらに言おうとしていた言葉にも気がついて僅かに呆れた様子を浮かべて言った。

「リーヴィオだ」

「え……?」

「名前だ。俺に言おうとしていたんだろう?」

「は、はい……」

 まさか気がついていたとは思わなかったディオスは毒気が抜ける感覚に陥っていた。

「よし、この際に自己紹介でもするか」

 突然、レナードがディオスに自己紹介をすることを提案するとリーヴィオを見た。

「まあ、構わないけど……」

 レナードの視線にどうやら言い出しっぺの自分からなのだとリーヴィオは肩を下げた。

「俺はリーヴィオ・メサド・ゲブラー」

「え!?」

 ディオスに自身の名を名乗るリーヴィオ。だが、それとは反してディオスは驚きの表情を浮かべた。

「貴族名?」

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