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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
5章 アシュミスト連続殺人事件
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同行者

 不機嫌な表情を張り付けたままモルテはマオクラフを睨みながら階段を降りた。

「一体何の騒ぎだ。それも、断りもなく奥に入って来るなど」

 事情は知らないが店で大きな声を上げたマオクラフに迷惑だという意思を向ける。

 ファズマが答えようとした時、モルテの言葉を受けて階段から転げ落ちたマオクラフは体を揺らし、反動を着けて起き上がった。

「ちょっ、モルテ!襲われたって本当?」

「話を聞かんか!」

 そして、無断で奥へと入って来た理由を述べないマオクラフの頭にモルテの鉄拳が加えられた。

「い、いたい……」

「話を聞かんからだ」

「襲われたって聞いたからだ!」

 鉄拳を加えたモルテにマオクラフは被り物を抑えて悲痛に唸りながら理由を述べた。

「本当に襲われたのか?」

「だったら何だ?」

「本当に?」

「本当だが」

「本当の本当に?」

「しつこい!」

 疑いの様子で尋ねるマオクラフにモルテは逆に何事もない様子で答える。

 その様子に何故マオクラフがこれ程までにモルテに尋ねるのか不思議であった。

「嘘だろ!?」

「事実だ」

 それを聞いたマオクラフは途端に肩を大きく下げた。

「嘘だろ……俺の変装じゃなくモルテに行くなんて……!」

「そこかよ!」

 落ち込むマオクラフにファズマが突っ込んだ。

「って、何で変装?」

「そこから!?」

 ふと、変装と聞いてディオスが疑問符を付けて呟いた言葉にマオクラフが大袈裟な反応を示した。

 これではいつまでも騒がしくなり用事を早く済ませたいモルテは短い溜め息をつくと強く言った。

「うるさいぞマオクラフ。その様子から見るに昨晩は何もなかったのだな」

「なかった。集会終わってすぐにまた起きたって聞いてもしかしたら近くにいると思って歩き回ったんだけどまさか……」

「私を襲うとは予想外、と言いたいのだろう」

 モルテの言葉に素直に何度も首を縦に振るマオクラフ。

「安心しろ。私も思っていなかった」

 モルテもマオクラフと同じと同意する。こればかりはアシュミストに存在する死神も予想外であったのだ。

「レナードには既に報告した。今夜再び集まることになる」

「そうか」

 モルテの言葉に納得したマオクラフは予定を立て始めた。

「それじゃ、もう変装はいらないか」

「しているのか?」

 夜だけかと思っていたマオクラフの変装がまさか今も変装していると思っていなかったモルテは驚きの表情を向けた。

「そおそお、狙ってくれってさっきまで歩いてた」

 マオクラフの爆弾発言にモルテが頭を抱えた。

「今それをやる意味はあるのか?」

「モルテが襲われたからなくなった」

 モルテの言葉にはっきりと正論を答えてしまったマオクラフにどの様に反応をしたらいいのか困ってしまう四人。

 困ってしまい、モルテの殺気が僅かに表面に現れる。

「と言うことで、また!」

 そう言ってマオクラフはモルテから逃げるように葬儀屋フネーラから出て行ってしまった。

 あまりの早業にモルテは小さく舌打ちをした。

「師匠、手紙~」

「ふむ」

 微妙な空気が漂うようになった中、ミクが振り払うようにモルテに手紙を渡した。

「と言うことだ。今夜も出かける」

「大丈夫なんですか?」

 今夜の予定を言い出したモルテにファズマが心配そうに尋ねた。

「問題ない」

「いや、店長が強いのは分かりますが、集会まで無事に行けるか心配なんです」

 つい心配事を口に出してしまうファズマ。

 その言葉にディオスもモルテが襲われたことを思いだし、再び遭遇することもあるのではと考えた。

「ならば、どうしろと言うのだ?」

 ファズマが引く様子がないと直感したモルテは今やっている用事をすぐに再開したい為に話を合わせた。

 そして、モルテの言葉を聞いたファズマはディオスの肩を叩いた。

「ディオスを集会に連れて行ってください」

「え?」

 ファズマの予想外の言葉にディオスの目が丸くなった。

最近気がついたことだけど、マオクラフって葬儀屋フネーラの中に入ると必ずモルテの制裁が2回入ってる気がする。

そして、ストックピーンチ!

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