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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
5章 アシュミスト連続殺人事件
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金髪美女

 朝早くから始まった葬儀屋フネーラの準備はもうそろそろ終わろうとしていた。

 ディオス、ファズマ、ミクの三人で掃除をした為に早く終わり、後は掃除道具を片付けるだけ。そんな時、店の扉がドアベルを鳴らして開いた。

 今の時間ならマオクラフが郵便配達で来る頃である。だから誰も気にせず振り返った。

「おはようございます!」

 だが、そこにいたのは長髪の金髪という美女であった。

 マオクラフでないことと見知らぬ美女の登場に三人は驚きのあまり声を出せずに硬直した。

「えっ?ちょっと!?」

 三人が驚いて硬直してしまったのを見た美女は戸惑い声をかけるが全く反応を示さない。だから、

「誰ですか?」

「誰だ?」

「誰?」

 と三人が同じことを口にしたのは当然のことである。

 その言葉にショックを受けた美女が慌てて声を甲高い女の声から僅かに低い男の声へと変わった。

「俺だよ。郵便配達のマオクラフです!」

 美女なのに声が男。しかも、その姿での正体暴露に再び三人が硬直した。

「え?だから俺が何した?」

 何かをしたという心当たりないのに再び硬直したのを見て美女姿のマオクラフが慌てて尋ねた。

「お~い!」

 硬直した三人に手を振るも反応を示さない。

 それから数秒後、

「ええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 一番早く我に帰ったディオスが店内でこれでもかと言わんばかりに叫んだ。

「マオクラフさんって女だったんですか!?」

「何だよそのボケ!違うから!男だからな!」

 驚きのあまり訳の分からないことを言い出したディオスにマオクラフの突っ込みが炸裂した。

「ざっけんな!何でんな格好で来てんだ!ヅラ被んな!何で金髪なんだ!」

「ええ!?何でダメ出し!?」

 普段使う荒い言葉を人前では使わないようにと意識して話すファズマがこの時ばかりはその制限(リミッター)を全解除してマオクラフを攻めた。

「鳥のかぶりものの方がいい」

「そこ!?」

 ファズマの言葉遣いの制限全解除の決め手となったことを口に出したミクにマオクラフが僅かなショックを受けた。

 そこにファズマが更に追い討ちをかけた。

「んなもん決まってんだろうが!鳥の被り物被ってんのがマオクラフだろ!何金髪に変えてんだ!」

「いや、誘き出す為にちょっと変装を……」

「お前の顔は飾りで頭は装飾か!」

「言ってることが滅茶苦茶で意味は分からないけど酷いこと言われてるってことは分かるぞ!」

 もはや金髪美女に変装をしたマオクラフに遠慮を使っていないファズマ。マオクラフの容姿がどの様なものなのか知っているだけに言葉は鋭く、初めから遠慮はしていないが今回はそれを通り越して無礼のところまで来ている。

 だが、止めを刺したのはディオスの一言である。

「まあ、鳥の被り物を被ってないとおかしいですよね。それと、その姿でその声気持ち悪いです」

 金髪美女姿でいつもの素の声で話すマオクラフにはっきりと言ったディオスの言葉にファズマとミクが同意して頷いた。

 いつも葬儀屋フネーラに訪れるマオクラフが鳥の被り物、もしくは馬の被り物を被って訪れるからその姿で慣れてしまったのだ。そこに別の姿、人の姿で訪れることは違和感しかないのである。加えて、姿と声が不一致であるというもの耐えられないのである。

 その言葉と三人の様子ににショックを受けたマオクラフはその場で膝まづいてしまった。

 余談ながら、郵便局ではどうしていたかと言うと、金髪のかつらの上に鳥の被り物といつもの姿で出勤をし、外に出たとたんに金髪美女に変身している為に仕事場でそれに対する突っ込みと言及がなかったのである。

「それで、手紙は?」

 もうこの世の終わりという様子のマオクラフに気にせずミクが尋ねた。

 こういった場面でミクの無邪気な行動は本当に助かるものであるのだが今回にいたってディオスとファズマは全く気にしていなかった。

「これ……そう言えばモルテは?」

 まだショックから立ち直れていないマオクラフだが仕事だからとミクに手紙を渡すとモルテが店内にいないことに気がついて尋ねた。

「店長は奥だ。昨夜襲って来やがった死神について調べている」

「は!?」

「え!?」

 まだ荒い話し方をするファズマの言葉にマオクラフは予想出来たがディオスも驚いた様子を浮かべた。

「ファズマ、死神が襲って来たってどうゆうこと!?」

「知るか!んなことその死神に聞け!」

 何故死神がモルテを襲ったのか分からないディオスはファズマに尋ねるもいい返答は帰って来なかった。

 それとは別にマオクラフが鞄からあるものを取り出して頭に被った。

「モルテ――!」

「それ被る意味あるんですか!?」

 鳥の被り物を被り物奥へとダッシュしたマオクラフに突っ込んだディオス。

 散々金髪はおかしいと言っておきながらいざ鳥の被り物を被って奥へと駆け込んでいく様子に突っ込むとは何とも酷い話である。

 奥へと駆け込んだマオクラフを追った三人が見たのは二階に上がって行く姿であった。

「モルテ無事か――?」

「うるさい!」

「ふぎゃぁぁぁぁ!!」

 マオクラフの叫ぶ声を聞いたと思った瞬間、モルテの冷たい声が鈍い音を鳴らし、大きな音と共にマオクラフが階段を転げ落ちて一階に不時着した。

「うわぁぁぁ……」

 その様子に痛く感じたディオスが呻き声を漏らした。

「まったくうるさい」

 そして、マオクラフを階段から突き落とした張本人、モルテが不機嫌な表情を張り付けて降りて来たのだった。

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