死神集会
この日、葬儀屋フネーラには一日中電話の音が鳴り響いた。
電話が鳴るたびにモルテが店内に駆けつけたり店番をしているディオスかミクが受話器を取りモルテに渡すということを続けていた。
その電話の相手は複数の人物からだった。共通していることは男で全員がモルテに要件があって連絡をしたもの。モルテ一人を指名していることから仕事の要件でないと思われる。
ちなみに、葬儀屋の仕事で電話が鳴ったのは三回だけ。警察とハイネロテ病院、そして殺害されたヴェロニカ・エラニーロの遺族だけであった。
そして、この日の営業も無事に終わり、また真夜中に仕事が入ってくるかもしれないと準備も終えた頃には夜となり、リビングではディオス、ファズマ、ミクがくつろいでいた。
「それにしても、今日は電話が鳴ったな」
「よくあることだよ」
「そうなの!?」
一日中電話が鳴り響いたことを思い出して呟いたディオスにミクが慣れてしまったように言った。
「多分調整でもしてたんだろ。二日に三人も死んでんだ。相当やばいことになってんだろうよ」
「やばい?」
「ああ。だから早々に集まる必要がある。その調整の為に電話が鳴ったんだ」
電話が鳴り響いた理由を知るファズマはそう言うとカップに入っているコーヒーを飲んだ。
そんな時、二階から階段を降りてくる音が響いてきた。
「全員いるな」
リビングに入って来たのはモルテであった。だが、モルテの恰好は外出の恰好。今から出かけるようである。
「店長、もしかして今から?」
「そうだ。それまで店を頼む」
モルテの恰好に驚いたファズマだがモルテは全く気にせずいつも通り指示を出した。
「気を付けてね師匠~」
「行ってくる」
ミクの見送りの言葉を受けてモルテは急いでリビングから出て行ってしまった。
「店長、どこかに行くんだろう?それも、こんな遅い時間に?」
モルテが店内へと通じる扉から出たのを見届けた三人の中で唯一モルテがどこにどの様な用事で出かけるのか分からないディオスがファズマに尋ねた。
ディオスの言葉にしばらく考えたファズマが口を開いた。
「どのみち今回の事件はディオスも聞くことになるだろうし言ってもいいだろう」
自分に言い聞かせ納得をするとディオスにモルテが何故真夜中に出かけたのか話し始めた。
「死神集会だ」
「死神集会?」
ファズマの言葉におうむ返しをするディオス。
「死神集会ってのは村や街なんかにいる死神が集まって話をしたりするんだ」
死神と言っているからそうだろうなと思っていたディオス。実際にその通りだったから少し引いていた。
「集会っつってもそんなに堅苦しいもんじゃねえ。時々集まっては酒飲んで話したするな」
ただの世間話をする場所ではないのかと思ってしまうディオス。話をする内容があれであるが集会と言っているのに緊張感がない。
「どうしてそんなこと知ってるの?」
「何度か店長に連れられたからな」
モルテの同伴者として死神集会に参加したことがあるファズマ。
「あとは店長の代理だな」
「代理?」
「たまに出席できなくなる時があるんだ店長は」
それを言いながらファズマはその理由を思い浮かべ、あれはもはや運命なのではと言いたくなる。
「だが、死神集会の本当の役割は大体は大きな事件を起こした生霊とかをどうやって倒すか話し合ったりするんだ」
そして、ファズマは話を戻して死神集会とは何なのかと話した。
「もしかして、今回の事件は生霊が原因?」
「いや……」
ディオスの言葉に顔を歪めたファズマだがすぐに話を戻した。
「今街には店長を入れて七人の死神がいる」
「七人?何だか少ないような多いって言うか……」
死神の人数を述べたファズマにディオスはどっちらとも言えない反応をした。
「これが大体普通らしい。多い所は多いらしいがそれでも一つの場所に三桁はいねえらしい」
ディオスの反応にファズマはかつてモルテから聞かされたことを言った。
「そもそも、この街も昔は沢山いたらしいが今は高齢で引退したらしいし、遺体に関わる仕事なんかに就くのが少ねえからあんまりいないんだ」
それを聞いてディオスは今の話を元に死神が誰なのだろうと考え込んだ。
ガイウスとレオナルドは自ら死神と名乗ったからモルテを入れて三人。後の四人は考えるも分からない。
「後の四人は誰だ?」
ディオスの呟きにファズマが少し驚いた表情を浮かべた。
「何言ってんだ?ディオスはその内の二人と既にあってるぞ」
「え!?」
ファズマから予想もしていなかった言葉にディオスは目を丸くした。
さあ、その二人とは誰でしょうか?
そして、何とか区切り(?)がいい所まで書けた……
ストックはここまでです。
次回はスマホが直ったらすぐに投稿をしますのでそれまでお待ちください。




