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死神の葬儀屋  作者: 水尺 燐
5章 アシュミスト連続殺人事件
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さらなる犠牲者

 倉庫街からほど近い市場の酒場の裏口から女性が一人、まださむい空気に息を白くしながら出て着た。

「全く何なのあの客は?」

 先程まで対応していた客の印象が悪く愚痴ると口に煙草を加えて火を付けた。

 女性の周りには煙かの匂いが漂う。

 接客業だから客の前では煙草は吸えない。こうやって休憩の時だけ煙草が吸えた。

「全くやになるわこの仕事」

 そろそろこの酒場で働くのを止めようかと考えていると、人が来る気配を感じた。

「あら?」

 気配の方を見ると暗くて分からないが人がこちらに歩いて来ていた。

「ここは関係者以外立ち入り禁止よ。元来た所に戻りなさい。……聞いてるの?」

 女性は歩み寄ってくる人物に声をかけたがその人物は全く止まらないどころか何も言わなかった。

「ちょっと聞いてるの?」

 止まる気配のない人物に女性は先程対応していた客の苛立ちもありさらに苛立ちながらその人物に近づいた。

 次の瞬間、女性の悲鳴が響いた。


 * * *


 悲鳴が響き渡ってから僅かに時間が流れた。

「酷いなこれは……」

 酒場の裏口ではホーマン・サライヘッド警部が女性の遺体を見て呟いた。

 女性の遺体は鋭利な刃物で首を切られたようで、首を切られた以外に外傷はなかった。

「明らかに殺すつもりでやってるな」

 首を切られれば息が出来ない。どんな方法で首だけを狙って切りつけたかは分からないが殺意が高すぎる。

「これは同一犯と見るべきか」

 加え、昨晩に同じ殺人事件があったばかりだ。模倣犯もいるという考えも持つべきだが今は犯行の手口から同一犯と考えた。

 それに、昨晩起きた殺人事件調査の担当でもある。それが今夜と同じ殺害方法で若い女性が殺されている。

 共通点が多い事件にこれが同一犯なら何としても早く捕まえなければならないと決意する。

「近くの店に聞き込みをしろ。営業中に何をしていたか、不審な人物、見かけない人物がいたかだ」

「はい」

 ホーマンの指示に部下数名が返事をした。

「警部、大変です!」

 その時、一人の部下が殺害された女性が働いていた店から慌てた様子で出て来た。

「どうした?」

「旧住宅街でまた若い女性が殺害されたと連絡が入りました」

「何だと!?」

 部下の報告にホーマンは驚愕した。

 決意した矢先に再び犠牲者が出たのであった。


 * * *


 時間は少し遡り、旧住宅街では真夜中の通りを女性が急いで走っていた。

「何でこんなに遅くなったの?」

 女性は仕事場から自宅へ帰路についていたことろだった。

 仕事で任された仕事をしていて、気がついたら夜遅い時間となってしまったのだ。

「こんな時間に帰りたくなかったのに」

 夜遅くまで仕事をしてしまった自分に愚痴りながら急いで走る。

「きゃっ!」

 その時、暗闇でそこに人が立っていると気づかず女性はその人物に思いっきりぶつかった。

「すみません」

 たじろいたが何とか転ばずにすむと女性は急いでぶつかってしまった人物に謝罪をした。

 しかし、ぶつかられた人物は女性の言葉に何も言わずそのまま近づいた。

「あの?」

 やっぱり怒っているんだとぶつかってしまったことに罪悪感を感じる女性。

 次の瞬間、甲高い女性の悲鳴が響いた。


  * * *


「話には聞いていたがこれは酷いな……」

 ホーマンからヘルプを引き受けて旧住宅街で殺された若い女性の遺体を見てアドルフは顔を歪ませた。

 若い女性の遺体は鋭い刃物で首を切られたようでった。

「ホーマンの言った通りだな」

 ヘルプを引き受けた際に重要な所をあらかじめ聞いておいたアドルフ。

 実際にその通りであったがアドルフは別のことも考えていた。

「おえっ……」

「おい!大丈夫か?」

 近くでは部下の誰かが遺体を見て吐いたようだ。

 だか、今はそれを気にする暇はない。

「おい、誰か葬儀屋フネーラまで走ってくれ」

 予想もしていなった上司の言葉にアドルフの部下が驚いてアドルフを見た。

「あそこの店長、モルテならすぐに詳しい死因を確認できる」

 まずは死因の確認が大事であると指示を出した。

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