8の秘密 入学式前編 (直人編)
この物語は、番外編と考えてもらいたい、主人公は徹の新友、名瀬直人がお送りします。
俺の説明をしようかしないか、悩んだところ徹ちゃんがしてくれてると思うから、俺からしないよ。
ついに俺が語る時が来たか、徹ちゃんみたいに主人公みたいにはいけないけど、俺は俺で頑張って行きますとしますか。
俺が主人公だからって、読むのをやめるなんてしないでくれよ。俺だって徹ちゃん並に恋愛したり、学園の謎を解いたり、悪魔と戦ったり、神と戦ったり、サイヤ人と戦ったり、青いタヌキと戦ったり、吸血鬼戦って自らが半吸血鬼になったりしないように――嘘だけどね
時系列的に言うと、徹ちゃんが寝た時から始まる。なんで分かるかって? それは秘密だよ。
みんなで食事を終えて、自分の部屋へとやって来る。
「暇だなぁ……寝るには、まだ早いしな、ゲームやろっかな」
家から持ってきたのは、携帯ゲーム機と置き型ゲーム機とパソコンぐらいかな。これがあれば、生きていけるよね。
部屋に着信音が流れる。
「ん、メールか誰だろうな」
携帯を開いて、メールを確認する。誰かは、秘密だなしいて言うなら情報を共有している人だな。
――学校に行けば面白いものが見れるって言うことが書いてあった。
やることも決まれば、即行動だ。さっそくジャージに着替えて、学校へと向かう。
玄関へとやってきた。
「あれ、直人こんな時間からどこ行くの?」
花音がジャージ姿で俺に話しかけてきた。
「よお、花音こそどうしたんだよ」
「私は、ちょっと走ってきただけだよ」
「そうかそうか、えらいなー。じゃ、俺はこれで!」
逃げるように走っていく。
どうせ、連れてってーとか言うんだろ。
「待ってよ、直人こそどこで行くの?」
「ふっ、俺は少々旅に出かけてくる」
「じゃ、私も付いてくね」
「何でだよ!」
「面白そうだから」
――ばれたか。
「わーたよ、学校から行くからな」
「うん!」
明日から4月なのでそろそ暖かくなってくるかと思うんだけど、まだ夜だから寒いな。
「花音どん位走ってきたんだよ?」
「うーんとね、軽く五キロぐらいだよ」
「いやいや、軽くじゃないから、五キロって」
「えーそうなの。……直人ってどうしてこの学園来たの?」
「どうしてって言われてもな……別にそんなにたいした理由は無いけど」
「ふーん、私も適当なんだよね――それで直人と同じ学校に入れるなんて、本当にすごいよね。お父さんお母さん知ってたのかな」
「さぁな、分かんないけど、知ってたんじゃね」
うちの親なら、知ってても教えなさそうだよな。
「だよねー、隣の家だもんね――中学のときも話はしてたよね、そっちの学校はどうだとか」
「そうだっけ?」
「そうだよ」
そんな話もしたっけな。まったく覚えてねえや。
「でも――また花音と同じ学校楽しみだわ」
「直人……」
うっすら頬が赤くなっていた。
「顔赤いぜ、花音」
「えっ、あっそうこれは、走ってきたからねだよ」
「そかそか、大変だっただろう。ジュース奢ったるわ」
「えっ、いいの! じゃ、オレンジジュースよろしくね」
「へいへい」
花音と最初に自動販売機へと向かう。
この学校は、自動販売機が一つの場所にあり、そこにはかなりの種類の自動販売機がある。
「なぁ、花音これ見てみろよ」
指を差した先にある自動販売機は、ランダムジュースと書かれている。名のとおり何が出るか本当にお楽しみらしい。1回100円。
「面白そうね、直人あんたも買いなさい」
「そのつもり」
百円を入れて、何が出てきたか見る。
「キャベツジュース?」
「あはは! なにそれ、キャベツって何? せめて青汁にしなさいよね!」
大爆笑する、花音。
「次はお前の番な、ほれ百円」
ありがと、と花音がいい。百円を自動販売機へと入れる。
「何が出たよ」
「……ジャガイモとこんにゃく合わせだって」
「なんだそれ! ジュースじゃねえよな、食べ物かよ!」
俺も大爆笑。花音が当てたやつも一応はジュースなのだが……
「じゃ、飲んでみますか」
俺と花音は同時に一口飲む。
「どうだった……?」
花音が聞く。
「キャベツを液体にしたなこれ……飲めるもんじゃねえよ。そういう花音は?」
「じゃがいも? こんにゃく? でもジュース」
「いや、分けわかんないし。ちょっと飲ませて」
花音からジュースを奪うと、一口もらう。
「うわっ何だよこれ、ホントまじーな。飲めるもんじゃねえな」
「……」
「花音、どしたそんなにまずかったか?」
「あっ、いや、別に大丈夫だよ」
上の空で答える花音。
――どしたんだろう?
二人とも時間はかけたがジュースは最後まで飲みほした。
――そろそろ、書いてあった時間だな。
「さぁ、面白いものが見れるって場所へ行きますか」
俺達は、食堂へとたどり着く。
食堂で何があるかは、本当に俺にもわからない。
「何が面白いの、見当たらないね」
花音が周りを見回しながら言う。
「いや、どう考えても、あれだろ」
俺が指を指したほうには神谷がいた。どうやら神谷は女の子から告白を受けているらしい。
でも感じから読み取って、神谷が女の子の告白を断っているな、あれ。だって女の子泣いてるし。
女の子は、走ってこの場から立ち去った。
「おやおや、これはこれは、神谷君ではないか」
「おまえは、名瀬と花澤か。どうしてここにいるんだ」
睨みながら言って来る。
「怖い怖い。俺達がなぜここにいるか、それは聞かないでくれ。でもさ神谷さん同じ寮の仲間じゃないか、仲良くやろうぜ」
「すまんが、そういうのは苦手だ」
「まぁねー、初めて会った同士だからね、緊張するのは分かるよー。俺もそう」
「お前のどこが緊張してるんだ、俺はもう帰る」
帰ろうとする、神谷。
「なぁ、どうして今日ここに来たのに、いきなり告白受けてんだ?」
「お前には、関係ない」
そういって、神谷は食堂から出て行った。
うーん、やっぱり答えてくれなかったか。
「さあ、俺達も帰るか」
「そうね」
俺と花音は、学校を出る。
「ねえ、直人。あんまり面白い物見れなかったよね」
寮へと戻っていく中での会話。
「そんなこと無いぜ、あれゃなんか隠してるから、そこを暴き出して……神谷のお坊ちゃまを……ぐへへ」
「だらしない顔しちゃって。その神谷くんをどうするの?」
「決まってんだろ、情報を手に入れて脅す」
「そんな堂々と脅すって言われても、ぼこぼこにされるわよ」
「俺は殴り合いは弱い! でもな喧嘩なんてな、相手の弱みを握れば楽勝なんだよ」
そう、相手が俺に楯突く事ができないほど。
――見栄っ張り
――嘘
――騙し
――脅し
正直に言って俺にはこれだけしか持ってねえよな。でもそれで何とかできちゃうのが俺なんだよな。
そんな会話をしていると、寮へと着いた。
「じゃ、明日なお休み」
「うん、お休み」
俺と花音は自分の部屋へと帰っていく。
部屋へと帰り、すぐに眠りについた