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15の秘密 部活動始動!

 新入生歓迎という会があってから一週間今日から部活動が始まる。

 俺は文芸部へと入部届けを出し、今日から部活動が始まる。この前であった三人の先輩たちとも仲よくしていきたいな。


「どうしたー徹? ものすごく顔がゆるんどうぞ」


 直人と花澤さんが二人揃って話しかけてきた。


「えっそんなに緩んでた?」

「うん。ものすごくだよ、例えば三人の先輩と仲良くできるから楽しみだなっていう顔してた」

「断じてそんなことを考えてないよ!」


 決してそんな事は思ってないぞ! 


「徹ちゃん文芸部だろ、桐嶋と一緒に行けばいいじゃないか?」


 桐島さんのほうを見ると、今準備が終わり図書室へと行こうとしていたところであった。

 

「あのー桐島さん。一緒に図書室に行かない?」

「行かないわ」

「えっあっそうですか。ならまたあとで……」


 桐島さんは教室から出ていく。


「振られたな」

「うん。苗木君振られたね」

「……」


 ショックのあまり呆然と立ち尽くしている。


「それより、直人と花澤さんは何の部活に入ったの?」

「あっ、動いた。五分くらい止まってたよ」

「うん。もう大丈夫、桐島さん用事あったんだよ」

「都合のいい脳だな。俺は剣道部に入ったよ」

「私は剣道部マネージャーだよ」


 剣道部って奈央先生が顧問の部活かいいな……。


「――本当に直人って剣道やってたの?」

「俺は小学校からずっとやってんぞ?」

「ほんと、花澤さん?」

「うん、本当だよ。私は小学校で辞めちゃたけどね」

「なんで徹ちゃん俺を信じないの?」

「直人だから?」

「……」

「あーあ、直人が凹んでるよ」


 花澤さんが直人の背中をさすっている。

 直人メンタル弱すぎだろ!


『1年3組苗木徹君学生会室に来てください』


 突然校内放送で呼び出された。

 藤本さんの声だ。


「苗木君なんかやったの?」

「いや、たぶん兄貴が用もなく俺を呼んだんだと思う」

「そういえば会長さんは苗木君のお兄さんだったね」

「そう、だからなんの用件もないのに呼んでると思う」


 俺は教室を後に学生会室へと向かう。


「失礼します。苗木です」

「徹君来てくれたんだ!」


 兄貴がドアまで来る。


「いや、兄貴が呼んだんだろ! 全校放送されればだれでも来るわ!」

「ごめんね徹君。大河君も用が無くて呼んだわけじゃないのよ。さぁここに座って」


 俺が席に座り、琴音さんがお茶を入れて持ってきてくれた。


「ありがとうございます。それでどうしたんですか、琴音さん?」

 

 お茶を啜りながら琴音さんに聞く。


「それがね……こちら側の人間としては、すごく言いにくいんだけど――徹君次の学生会に立候補してみない?」

「学生会に俺が?」

「えぇ。実は今の学生会は私と大河君とあともう一人の三人でやっているのよ、今年も私たち3人はやることは決まってるの、それでこちら――学生会側からの推薦なんておかしいんだけど、徹君やってみない?」

 

 俺がこの学園を引っ張っていく存在になっていくのか?


「でも、まだ入学して全然日が経ってませんよ。それに俺がやらなくてもだれかが立候補するかも知れないじゃないですか?」

「……」


 俺の言葉に琴音さんが黙りこんでしまった。

 俺がやる理由があるのか?

 兄貴が会長でこの学園が壊れていないんだ、俺がやらなくてもだれでもできる。


「徹君じゃなきゃ駄目なんだよ」


 兄貴が琴音さんをフォローするように言う。


「何が俺しかできないだ、兄貴」

「徹君にしかできないよ。俺がこの学園の学生会にいるなら徹君が学生会にいてくれないと駄目なんだ」

「その意味がわからないんだよ! 兄貴が会長だから俺が学生会に入る? なんでなんだよ!」


 兄貴と琴音さんが理由をはっきり言ってくれないため、俺は怒鳴ってしまった。


「――徹君が文芸部に入るんだろ、そしてあの桐島と書道部に負けないくらいの力を手に入れようとしているんだろ?」

 

 兄貴が部活に対する質問をしてきた。さらに俺のことではなく桐島さんのことも。

 

「俺が文芸部に入るのなんで知ってるんだよ?」

「徹君仮にも俺は学生会会長だよ、この学園の情報なら大体わかるよ、大体ね」

「そうだよ、俺は桐島さんと文芸部に入る。力って何なのかわからないが、俺は3年間頑張るつもりだよ、兄貴」

「お兄ちゃんとして、かわいい弟の部活は応援したいけど、文芸部か……」

「文芸部が何かあるのか?」


 兄貴がすごく言いにくそうにしている。

 昔はすぱっと何事も言う兄貴のイメージは、この学園に入りそのイメージは崩れていった。


「いや、何もないよ。頑張ってね文芸部」


 結局文芸部のことは何も言わなかった。


「ごめんね、徹君。用件は言ったから、部活に行っていいよ」


 俺は席を立ち扉を出て生徒会室を後にする。

 扉に出たところには、いつの間にか居なかった琴音さんが居た。

 

「徹君……あなたはこちら側の人間ということだけ、覚えていてね」


 琴音さんは学生会室へと入っていく。


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