11の秘密 入学式当日編
自分の席へと戻り、桐島さんに話しあける。
「あのー、桐島さんって文芸部に行かないんですか?」
「行くわよ。苗木君はどうするの、文芸部に入るの?」
「俺は……俺文芸部に入ります!」
「――そう、一緒にがんばりましょうね。そして、書道部に勝ちましょうね」
「はっはい」
その桐島さんの笑顔はまだ二日しか一緒にいないけど、始めてみた見た。
――可愛い……いつも冷静な桐島さんがこんな笑顔をするなんて。
それにしても、文芸部って小説を書くんだよな、俺書けるかな?
「苗木君、もしかして文を書くのが不安なの?」
「えっあぁ、まぁそうですね」
「大丈夫、苗木君私が一から教えてあげるわ」
桐島さんが、一から教えてくれる!?
「是非!!!」
「それじゃ、来週から部活が始まるから、明日から練習しましょう」
「はい!!」
練習って何やるのかな、もしかして大変なことに!? ……なるわけ無いよな、桐島さんはとても真面目だからね。それにしても練習かどんなんだろうな、夕焼けに向かって走れっ! とかそういう体育系だったら面白いのにな――実際は書き方とか教えてくれるんだろうな。
――今から、文芸部に行ってみるかな、どんな感じなのか見てみたいし。
迷わずに部活動の部屋へとやって来た――事前に地図が書いてある紙をもらえるから、迷わなかったんだけどね。
そんで着いて、図書室。
本がたくさんそろってるから、図書室でやるのかな。
「失礼しまーす。部活動の見学させてください」
図書室のドアを開けて、中へ入る。
「おぉー、見学? いいよいいよ、こっちおいで!」
少し、ハスキー気味の元気な声の女性の声がする。
少し、奥から聞こえる。
――奥?
少し歩いていくと、丸い机があり、そこで座っている。座っているのは、女子生徒が三人いる。
――女の子多いなぁ。
「見学者ですか? どうぞ何も無いところですが見ていってくださいね」
すごく穏やかな声で、言う女の子。髪が長くとてもきれいな髪をしている。
「先輩達が何もしないから何も無いんですよ!」
最後の一人の女子生徒が、たぶん後輩らしいきひとが二人の先輩に言う。
実際に作業していると思われる人は、一人しかいない。ほかの二人は、作業をしていないと見える。
「私はここ、文芸部の部長、三年の小清水愛だよ、よろしくね、新入生君」
ハスキー声の女の人が挨拶してくれる。
俺もよろしくお願いします、という。
「私も三年の風舞凛です、よろしくね」
穏やかな声の持ち主の風舞先輩も挨拶してくれる。
俺も挨拶し返す。
「私は2年の安里香奈です。先輩がこんな人たちだから、大変だと思うわよ。文芸部でいいの?」
安里という人はこの二人の後輩らしく、でも信頼となんていうか、なんていうか、尊敬しているような感じが分かる。
「なんだよ、香奈ったら私達で大変ってどういうことだ?」
「きょとばどうりえすょお(言葉通りですよお)」
「そんな悪いことを言ったのは、この口かこの!」
安里先輩は、小清水先輩にほっぺたをすごく伸ばされて、しゃべりずらそうだ。
なんだかすごく落ち着くな。
「こらぁ、愛、香奈をいじめちぁ駄目だよ」
風舞先輩は小清水先輩をとめる。そして手を離す小清水先輩。
「ふぇえ、痛いですよ、愛先輩」
「そんな口の悪いように育てた覚えはありません!」
「愛先輩に育てられた覚えはありません!」
「こらこら、二人ともそこまでよ。新入生君がすごく困ってるから。ところで君の名前は?」
小清水先輩と安里先輩は、風舞先輩に注意を受、けて、俺のほうを向く。
この部活とってもなかいいんだな。なんだか羨ましいな――
「はじめまして、一年の苗木徹です。小説など、書いたことなんですが、興味があるので入りたいと思っています」
「そかそか、よろしくね。苗木君。これでこれからの文芸部は安泰だね、男子部員がついに来たな」
愛先輩が言う。
「あれ、男子部員って俺一人なんですか?」
「そうよ、今年は苗木さんが一人だと思われますよ」
――そうなんだ、俺一人なのか――とっても楽しそうな、部活動ができそうだ!
「他にも三人くらい一年生が来ましたよ、他の子もいい子で可愛かったよ」
香奈先輩が笑顔で俺に言ってくる。
「そ、そうなんですか。それは楽しみです」
「とっても素直ね。苗木さん部活を体験していきますか?」
風舞先輩が勧めてくれる。
どうしょっかな、体験してみようかな……今日はもう寮に戻ろうかな、桐島さんが教えてくれるって行ってたし。時間帯的にいい頃か。
「本当にありがたいですが、もうひとり文芸部に入る人がいて、その人に小説について教えてもらう約束があるので、今日は帰りたいと思います」
「そう、勉強熱心だね。いいことだ!」
小清水先輩がほめてくれる。
「それじゃ、失礼します」
図書室を後にする。