第二幕: 作者の殺意相談
やあ、君。
ベーカー街221Bの空気は、霧のように重い。
ホームズのヴァイオリンが静まった部屋に、突然の闖入者。
創造主コナン・ドイルが、ファウスト不在の隙を突いて現れる。
殺意の相談? それとも、魂の対決か。
ファウストの幻視が、作者の影を映し出す。さあ、扉を開けよう。
やあ、君。19世紀後半のロンドンのベーカー街の下宿の一つ、221Bでの会話を聞いたかい?
第一幕は、創造者であるコナンドイルさえもクソジジイと見下し、推理を中途半端に披露するホームズの姿を見たはずだ。
彼の鋭すぎる知性は、脳を完全なツールとして利用している。
人間性も彼の前では役にも立たない。
なのに、本の中では推理を披露。
彼の知性は誇張されていた。
おや?
張本人のコナンドイルが、
ベーカー街の221Bにやってきた。
ジョン・ファウスト・ワトソンが不在で、ホームズがパイプをふかしている。
波乱の幕開けだ。
ホームズが一人でくつろぐ部屋の扉が急に開かれた。そこに一人の中年男性が立っていた。茶色い短髪には白髪混じり、灰色の髭が口元を隠していて、体はがっしりしていた。
「ワトソン・ファウストはいるかね?」と男は室内を一瞥した。
「知性を売りに出かけている」とホームズは肩をすくめ、安楽椅子に身を沈める。
「君が彼を働かせすぎてる」と言ってホームズは、コナンドイルをせせら笑う。
コナンドイルは、不愉快極まりないという顔をして、ホームズをどうやって始末しようかと考えこんでる。
「シャーロック。君は泳げるか?」とコナンドイルは聞く。
「ああ、もちろんだとも」とホームズ。
「崖から落ちたら、どうだろう?」
「そりゃあ、君。僕でも死ぬさ。水面に叩きつけられて、意識を失って水底さ。助からない。」
「なるほど。他には?」とコナンドイル。
「他に、なんだい?」とホームズ。
「君をどうやったら劇的に始末できるかと聞いてる。」とコナンドイルは声を荒げた。
「僕を、ああ始末ね。いいだろ。話を聞こう。どう始末をつけたい?」
「感動的な終わりだ。君。金は充分ある。あとは、物語を感動的に終わらせるべきだ」
「ほう。...感動的ね」とホームズはニヤニヤする。
「続けたまえ。ファウストには聞かせるなよ。彼はショックで筆を折るかも」
「この建物を焼いて更地にするのはどつだい?」とコナンドイルは目を輝かせた。
「ははん。いい案だ。でも、場所を焼くのはいただけない。再利用ができない。そうだろ。僕を殺してファウストにでも使わせた方がいい。」と微笑む。
「なるほど、そうくるか。では、隕石が突然落ちてきて、君の天才的な頭脳を終わらせるのは、どうだろう?」
「隕石で始末される名探偵か。なかなかロマンチックだ。ぜひ、君から試せ。感動的なシーンだ」
コナンドイルのヒゲがビクッと跳ねた。
「そう隕石なんて落ちてこん!」とコナンドイルは叫ぶ。
「...証明されたね。続けたまえ」とホームズは軽く流す。
「なんと無礼な男だ。私とワトソン・ファウストだけだぞ!君がクソのような人間性で周囲を見下してまわるのは!何が少年探偵団だ。浮浪者の集まりを利用して!小さな子どもすら事件に巻き込む、人でなしが!読者はなにもみやしない!君を賛美までする!
ああ、君は悪魔だ!」
「もしも私が悪魔だとして、君のやった事は立派な扇動だぜ。到底ほめられたことじゃない。」
「だから、人間性のある彼を被せたんだ。君が更生するかと。ちゃんとヒーローになると思ってね。
だが、君は彼を病ませたんだ。
ワトソン・ファウストを追い込み、あざけって、自分をよりよく見せて、哀れだ。可哀想に」
ホームズはここで感情を露わにした。
「ファウストを哀れだと思うなら、彼を休ませてやれ。君の名で小説を書けばいいだろ!」とホームズは言った。
コナンドイルは、ホームズを睨むと物語の外へと歩き出した。
(こうして、第二幕は名探偵の不機嫌で幕を閉じる)
第二幕、ホームズとドイルのメタバトルが熱く燃え上がりました!
作者の苛立ちが「悪魔」呼ばわりで爆発する中、ホームズのカウンターが容赦なく刺さる展開、創作の闇をユーモラスにえぐってみました。
ワトソンの不在が余計に緊張感を煽るんですよね。ドイルの叫び、胸に響きませんか?
第三幕では、さらなる茶番が…。感想お待ちしてます! 次もすぐアップします。