④超能力一家の秘密~兄編~
第4話です。主役は兄です。
「次に兄の話をしていいか?」
「止めたりはしないわよ。どうぞ。」
「兄貴は読心術が使えるんだ。相手の心の声が聞こえるらしい。」
「心を読めるって…それってかなりの能力だよね?相手の心を読めるなら、会話で失敗しないだろうし、相手の心をコントロールできるかもしれない。ちょっと怖い能力者な気がするけど。」
「いや、そうでもないんだよ。周りの人の本音が全部聞こえすぎて、心がやられちゃったんだ。電車とか、人が多い場所に行くと、みんなのストレスや不満が一気に頭に飛び込んできてさ、それに耐えられなくて今は入院中なんだ。」
「その世界観、どこかで聞いたことがあるわね…。」
「入院中も、天使のような見た目の看護師さんに優しく体を拭いてもらったりするんだけど、心の中で『コイツの頭、臭っさ』とか言われたりして、精神的に余計に不安定になってるんだよ。」
「お兄さん、回復するといいね。」
「まだまだ時間がかかるかもな。周辺にいる人たちの心の声に敏感すぎるんだ。最近も『森〇菜の悪口ばかり言うのやめろーっ!』って叫んでたし。」
「森〇菜ってそんなに嫌われてるの…?」
波留は心の中で思った。最近キム〇クの悪口がネットで増えてる気がするけど、街中にいる人たちの声は、そんなにキム〇クへの風当たりが強いのか?ぜひお兄さんに訊いてみたいと。
でも、それを口にはしなかった。
次は第5話です。主役は姉です。いよいよ佳境に突入する予定です。